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3月14日〜20日 第8巻 『明神の次郎吉』

3月14日

バレンタインデーにOLさんにチョコレートの画像を送ったら、ホワイトデーのお返しで千疋屋のマカロンの画像が届いた。最高。

うたの日で、「、(読点)」がお題だったので、読点を多用する短歌を作った。

ちょ、う、か、く、を、と、ぎ、す、ま、す、た、め、す、て、て、い、く、む、ご、ん、の、わ、た、し すごいチョキだな

じゃんけんで勝った方が階段を登っていくあの遊びをモチーフにしている。数年前に同じ形式で「すごいグーだな」の短歌を作っていて、この方式はこれ一回きりの技だなと思ってはいたんだけど、お題がお題だしチョキも作ってみようかなぁ、と思って提出したら、「すごいグーだな」を覚えている方から評が付いていた。思わぬ形で自分の短歌が誰かに届いていたことを実感して、しみじみ嬉しかった。

今日は調子が良くなくて、へろへろで仕事から帰ってきたが、昨日から醤油と胡麻油に漬け込んだサーモンを食べたら機嫌がよくなった。しっとりしていて美味しい。すぐに米が消える。

3月15日

あやのさんたちがTLで競馬の話をしてたから、「競馬ってやったことないからちょっとやってみたさある」と軽い気持ちでリプライしたら、「やんなくていいんだよ」と怒られた。

友達が仕事の関係で記者会見に出るというので、数年前に記者仕事していたときの知見を基にアドバイスしたのだけど、その助言が活きたらしくかなり感心された。記者会見アドバイザー。

3月16日

中川家のラジオショーのポッドキャストを聴いていたら、プーチンとバイデンが電話で話す即興コントをやっていて面白かった。さらっと笑いにしつつ「戦争いやですね〜」くらいで処理してスムーズに別の話題に移るという名人芸。

『雑談・オブ・ザ・デッド』の前書きを書き終えた。前書きを生まれて初めて書いたので、今まで読んできた書籍の前書きたちのフォーマットを思い出しながら仕上げた。我ながら結構ちゃんと前書きっぽいので、みんなに読んでもらって「前書きっぽいな〜」と思ってほしい。

で、夜に柿内さんと打ち合わせをして、残りの作業に関しての大まかな打ち合わせをする。僕の作業としてはあとは原稿整理・チェック系のみなのでだいぶ肩の荷は降りた。なんか、「マジでこれ、本が出るっぽいぞ……」となっている。

アトロクのベケット特集をタイムフリーで聴いて、そろそろ寝ようかなと思ったら地震。かなり長い間揺れていてこれは本格的にヤバいのでは、と思ったが、とりあえず僕の地域は停電などもなくてホッとした。なかなか寝付けず、Twitterもざわざわしていたから、いくつか音楽を投稿してちょっとTLを中和してから寝る。

3月17日

昨日寝るのが遅かったからしんどい。

通勤電車で『仕事の喜びと哀しみ』を読了。最後の短編「タンペレ空港」がとてもよくて、ある一行に込められた登場人物の想いにじんわりと涙が出た。

で、『現代思想入門』を読み始める。まだ序盤だけど、これ、自分が大学1年生の春学期とかに出てくれていたら、もっと講義への理解度高かったろうな〜と感じる。能動的であることが必ずしもプラスとは言えないというような記述、似た話を最近聴いたなと思ったら、昨日のベケット特集だ。

3月18日

20代最後の仕事日だったんだけど、自分起因ではないのだが半端に関係のある案件でモヤモヤすることが起きて、「あれ、大丈夫だったかなー」と思いながら帰ることになった。帰った後や休みの日に仕事を持ち込みたくないし、そういうのがあんまりないから今の会社に勤めてるところがあり、たまにモヤモヤを引きずったまま休みに入ると非常に気が滅入る。

帰ったら部屋が寒い。ここ最近暖かい日が多かったから余計につらい。はやくあったかい春になってほしいよ。

3月19日

今日は夕方から新宿のキンコーズでもりたに歌集の表紙デザインの最終作業をやってもらう日で、もりたがくるのが遅れるということだったので、ちょっと気になってたクイックマッサージの店で首肩を揉みまくってもらう。だいぶ血流がよくなったのか、じんわりと体があたたかい。

もりたと合流してキンコーズ。貸し出しPCでの作業だが、僕はイラストレーターを使えないので、もりたがデータを作っているのを隣で見ながら「ほほーん」と感心しているだけだった。非常にバカっぽい表紙になったのでふたりで「バカのデザインだ」と言い合う。本紙データも出来上がっているので、あとは業者に入稿すれば出来上がっちゃうらしい。いよいよ、自分の歌集がこの世界に爆誕してしまう。自主制作物とはいえ、物ができてしまうというのはすげー。

作業後に日高屋に入ってもりたと軽く飲む。で、もりたの飲み友達も合流して、あれこれと話した。僕ともりたの飲み友達は初対面なので、これまでのもりたとのエピソードが中心なのだが、Twitterで知り合って気づけば5年以上の付き合いになっていると気づいて、時間の速さはおそろしいものだ。いい感じで酔っ払って帰る。

3月20日

今日はまほぴさんの歌集『水上バス浅草行き』を買うぞ!と思い立って昼前に青山ブックセンターに。歌集コーナーに行ったらもちろんちゃんと平積みされている。コンパクトでかわいいデザインでよい。買ってから、ぱらぱらっと見たら「うわっ!やられた!」となる仕掛けが冒頭の方にあって、道端でエモい気持ちになってしまった。まほぴさん、これは売れちゃうよ!

ついでに何か観ようかなと思い、そのまま歩いてワタリウム美術館へ行く。いろんなアーティストのドローイングを集めた「視覚トリップ展」で、伊藤存の刺繍を使った作品「側線ベルト」がよかった。ウサギの輪郭と、山の稜線、広がっている湖が大きな平面に断片的に刺繍されていて、一度に視界に収まらないからいろんな風景がごちゃ混ぜになっている感覚。ウサギの中から自然が溢れ出すような。

表参道から新宿まで歩いて、地下鉄で西早稲田へ行って、そこから古書ソオダ水とかBOOKOFFを覗いてから帰宅。たっぷり歩いた。

鬼平、『明神の次郎吉』を読む。盗人の次郎吉は、自分の仕事に対して引け目を感じている分、普段から人に対して親切を惜しまないようにしている人物。ある日、行き倒れの僧・宗円から、江戸に住む恩人へ形見として短刀を託された。その恩人とは何を隠そう、へいぞうのだいしんゆうである浪人・岸井左馬之助で……という話。次郎吉を盗人だと知る由もない左馬は、彼にお礼をしたいということで馴染みの店・五鉄に連れていく。旅で疲れているだろうから歩かせてはいけないと、次郎吉を乗せた荷車を引いて行く左馬。浪人とはいえ曲がりなりにも刀を二本挿している侍がそんな対応をしてくれたことに胸を打たれる次郎吉。荷車を引いて横川沿いの道を進むと、川沿いに蛍が飛んでいるのが見える……、というシーンが美しい。
一方、次郎吉たちの盗みの企てに気付いた平蔵は、左馬に事態を知られないために、密偵たちだけを使って調査を進めて行く。わざわざ細い道を選んで移動する盗人を、盗賊時代に培ったスキルを使って尾行する密偵たち。代わる代わる闇から現れて平蔵を導いて行く描写がかっこいい。
ちなみにドラマ版の次郎吉はガッツ石松が演じていてナイスキャスティングだった。原作の次郎吉は盗みの罪悪感を晴らすための善行だったが、ドラマ版はもっと根っからのお人好しなバランス。

そんな感じで、僕の20代は終わっていく。

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