5月31日~6月6日 第3巻 『兇剣』
5月31日
交互出勤体制は今週も継続。チーム内で相談した結果、僕は火曜と金曜が休みになる。火曜って明日じゃん! 4連休明け1日休んで、2日出勤したら3連休……。これでお給料も変わらないなんて! すごい! とは思うが、なんか休みが増えたことによる気のゆるみもあり、なんだかぬるーっと日々が終わっていく感じもしていて、これはどうにかして生活のメリハリを取り戻さなければならぬ。
夜は天気のせいかずっとダルくてベッドでゴロゴロしていたら、雷が轟音で鳴っておそろしかった。Youtubeでイキウメ『獣の柱』を見ているうちに寝落ち。
6月1日
いい感じの時間に起きれて、天気も良好。朝の時点で予定は決めていて、青山ブックセンターで無料配布の『GDX:行政府における理念と実践』プリント版をゲットして、それを喫茶店で読み、昼から映画を観ようと思っていた。それは達成されたので、ここからの記述は成功の記録となる。
副都心線・明治神宮前(原宿)駅で降りて、表参道の坂を登り青山ブックセンターへ。『GDX』はレジ横のスペースに積んであった。思ったより大きめのサイズ。一冊もらって、書店内をちょっとうろうろしてから歩いて渋谷へ向かう。
映画は14時55分からで、現在はまだ11時台。何か美術館に行くなり映画を観にいくなりしようかと思ったけど、ちょうどよく観れるものが無さそうだった。久々に渋谷モディのHMV & BOOKSに行く。3フロアあったはずなのだが、2フロア+完全なイベントスペースみたいな感じになっていて、人文のがっしりしたラインナップの棚とか、曲線の壁に沿って海外文学が並ぶ棚とかが無くなっててちょっと寂しい。
同じ建物内のスターバックスが空いてたので、そこで時間まで読書をする。『GDX』は「行政のデジタルトランスフォーメーション」のことで、僕は政治の話題にもDXの知識にも疎いのだが、しっかり本質論が展開されていて見事な解題っぷり。
「DX」において、「デジタル」は核心ではなく、むしろ「ユーザー」あるいは、もっと端的に言うと「人」なんですね。
これまでのシステムは、計画を立てて実行する上では非常に効率のいいシステムでしたが、その一方で、予期せぬ自体に高速で対応することには向いていないシステムでした。これまでは、計画を立てて遂行する業務が大半で、予期せぬ事態への対応はむしろ特殊案件でしたが、これからは、計画を立てて粛々と遂行する実務はなくなりはしないものの、予期せぬ自体が起きることを常態とするシステムが求められていくこととなります。それを実現するための中心的な命題として、「ユーザー中心」のシステムへの転換が求められているというわけです。
システムやハードウェアは、今後もどんどん変わっていきます。ということは、いまみんなが取り組まなくてはならないのは、「次に来るシステム」に最適化されたスキルやマインドセットを獲得することではなく、むしろ「今後どんなシステムが来たとしても対応ができるスキルやマインドセット」を獲得することなんです。
うちの会社でも社長とか「これからはDXだ!」という感じで言ってたりするんだけど、それは「デジタル社会の波に乗り遅れるな」的なニュアンスが強くて、なんかそれは違うのではないかともんやり思っていたのが、この本読みながらそのモヤモヤがかなり整理されたように思う。半分くらい読み進めたところで、スタバを出た。
ここのところ、「TOKYO CURRY CLUB」のポッドキャストを聞いていたこともあって、カレーが食べたい気分。映画館の近くのカレー屋のほうれん草チーズカレーが美味しかったなぁと思い、その店に行くも、メニューからほうれん草が消えていた。ちょっと肩すかしを食らったが、代わりに注文したバターチキンカレーが美味しかったので満足。
シネマヴェーラの喜劇特集で『人も歩けば』。フランキー堺演じる主人公・桂馬が29歳の設定で、僕と同い年。質屋に養子へ入るが、嫁姑からツラく当たられるのがイヤになり、家出してしまう。そこへ親類の遺産9000万円が桂馬に転がり込むことが分かり、嫁姑は大慌てで捜索を初めて……という筋立てのお気楽なコメディ。寅さんのおいちゃん役である森川信が、「占い好きの風呂屋」という設定で出ていて妙に可笑しい風情。途中、愚連隊3人が交代で喋るくだりは、吉本新喜劇のチンピラによる「ローテーショントーク」ネタそっくりだなと思ったのだが、これって共通の元ネタがあったりするのかしら。
帰宅後は『大豆田とわ子と三人の元夫』。恩人である社長の要望に全て応えようとする小鳥遊に対し、とわ子はカレーをふるまい、自分の人生を楽しんでいいと伝える。一緒に食事することで呪縛を解く松たか子と言えば、カルテットの真紀・すずめのシーンを思い出すが、ちょっと状況が違う。すずめが直面していたのは「絶対に許せない父の死に目に駆けつけるかどうか」。イヤだけど向き合わなければいけないのか、という葛藤に真紀は逃げ道を差し出し、それがすずめにとっての救いとなる。
一方、小鳥遊の人生を縛っているのは「社長への恩」であり、確かにそれは呪縛ではあるのだが、30代になるまでまともに自分の人生を生きれなかった当時の小鳥遊にとって、社長が食べさせてくれたカレーは、それはそれで救いだったはずなのだ。また、直後に小鳥遊がとわ子へ指摘するように、彼女もまたかごめとの「社長業を続ける」という約束に縛られている。しかし、それも約束した時点では、人生をやっていくための救いだったはずだ。
『anone』でハリカが語った「大切な思い出って支えになるし、お守りになるし、居場所になる」というテーマは通底しながら、『大豆田とわ子』では「でもその思い出は時として、今の自分を縛る枷にもなり得るよね」というニュアンスも加わってきた。人生の長さについての話だ……。
6月2日
今日と明日は仕事。チームは僕一人出勤、午前中は結構暇だったので、ぼーんやりとWebをぐるぐるしてたら時間が過ぎていった。別にこれはコロナ禍だからということでもなく、仕事柄振られるの待ちなので、めっちゃ暇な時もあればめっちゃ立て込むこともある。午後からはちょこちょこと仕事が入ってきたのでいい感じで作業。
最近はなんとなーくぬるっとした時間が続いていて、アウトプットへの欲やモチベが上がってないのが、どうしようかなーとなっている。油断するとダラダラして終わるので日々にメリハリが必要だ……。
6月3日
交代勤務体制が始まって、どうやら木曜が忙しいらしいなというのがわかってきた。今日も忙しくて、どんどこ仕事が流れ込んできたけど、なんとか定時内に作業を収めた。明日から3連休だけど、大雨らしいのでしょんぼりした気持ち。
『ゴジラSP』に安田が登場したらしくて、安田短歌界隈がざわざわしていた。
6月4日
大雨。朝早く起きてしまったので、とりあえず録画していたバラエティーをダラーっと観てから二度寝。昼間に起きて『GDX』を読み終えた。「作り手中心ではなくユーザー中心に」「とにかく情報のオープン性を大事に」など、諸々のマインドセットを見てると、日本の行政でこれを実装するのかなり大変そうだなーという気持ちになる。
OLさんのスペースを聴いてたら、突発におしゃべりが発生して、初めてお話しした。ツイキャスやスペースでも声がでかい話とか、仕事の話とか、本当にザ・雑談という感じで、人と話したい欲がかなり解消された。自宅に一人でこもってるとやっぱり内に内に気持ちが凹んじゃうから、とにかく誰かと話すのは大切よね……。
6月5日
今日は行ったことないエリアに行ってみよう、と思い、意外とアクセスしやすいことに気づいたので、江古田へ出向く。確か江古田はBOOKOFFが品揃えいいらしいんだよな、と思って早速行くと、こじんまりした店舗ながら、あんまり他では見かけない人文系とかの本が並んでいて油断ならない感じだった。日藝との近さゆえのラインナップか。
お腹空いてきて、松屋に入ったらそこがたまたま一号店だった。そんなに大きな店舗でもないから不意を突かれた感じ。一号店の歴史を書いたパネルを眺めながら、ごろごろチキンのチーズトマトカレー。
それからちょっと気になってた百年の二度寝。オイルのお店の中を通った奥にあるスペースで、古本で安くなっていた『野中モモの「ZINE」小さなわたしのメディアを作る』と、ジャケ買いに近い谷じゃこ『クリーン・ナップ・クラブ』を購入した。
帰ってきて映画の録画を観ようと思って、『狩人の夜』。なんとなくビジュアルで見てあの指にアルファベット彫ってる奴がおっかないんだろうなとは思っていたが、思いのほか冒頭から狂った聖職者、という感じで出てきた上、家族にうまく潜り込む狡猾さも見せる恐ろしさだった。水中撮影の見せ方とか、結構ビジュアルのこだわりも感じられる。途中で眠くなってきたので中断。
6月6日
寝て、起きたら朝4時だった。前日19時に寝落ち同然で眠ったので9時間睡眠だが、まだ眠い。2度寝して10時ごろにようやく動けるようになってきた。ちょっと運動不足気味なので、近所のプールに行って40分くらい泳いだり水中を歩いたりする。
家帰ってきてまだ昼過ぎ。このままだと眠さに引きずられて何もせずに終わりそうだったので、なんとか鬼平犯科帳第3巻を開く。
『兇剣』は3巻の中では一番ページ数が多い話。訳あって盗賊に追われる娘を守るため、共に奈良見物へ同行させる。このあたり、追う側・追われる側のサスペンスが展開されていて読み応えあり。追手側の浪人にも「この仕事が終わったら妻子と共に江戸で暮らしたい」という夢があることを描き、ばっさりと平蔵に切らせてしまう、こういうバックストーリー芸は池波の得意技なんだな。しかしなんといっても、今作の魅力は、多勢に無勢で勝ち目のない戦いとなった平蔵を間一髪で助ける左馬之助ですよ! 前にも書いたと思うが、僕は左馬之助が「鬼平」で一番の推しキャラなのだ。平蔵のことが大好きなのがかわいい。今作なんて「平蔵がいくなら俺も京の方に行こっかな~」というノリで本当に来ちゃう左馬、どんだけ平蔵のこと好きなのよとなる。しかも左馬之助の登場は、ドラマ版では同じ回での前フリだったが、原作は数話またいでの伏線回収だ。オール讀物での連載当時、誌面で追っていた読者は、かなり興奮したんじゃないだろうか。50年以上前のリアタイ勢に想いを馳せる。
夜は録画していた『オリ・マキの人生で最も幸せな日』を観た。世界タイトルでチャンピオンと対戦することになったボクサーの話で、かなりロッキーを意識した作りなんだけど、周到にスポ根的なアツさを交わしているのが面白い。その代わりに描かれるのは、試合に絡んだスポンサー対応や記者会見の煩わしさだったりする。このあたり、最近のオリンピックや大坂なおみのことも思い浮かびながら観た。
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