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265.落研で作った新作落語の話

大学の落研時代にちょこちょこ新作落語を作ったことがあった。ただ、あんまり外のお客さんが来る会ではやったことはなく、たまに仲間内で披露したくらいだ。

最初に、大学の先輩と作ったのが『落語版バック・トゥ・ザ・フューチャー』。立川志らく師匠が洋画を落語の世界に置き換えた「シネマ落語」という演目をやっていたので、自分たちでも作ってみようと、夜中のサイゼリヤで先輩と話しながら作った。
デロリアンは人力車、ドク役は平賀源内、タイムスリップのきっかけはエレキテルの誤作動で、ラストは隅田川の花火大会で追いかけっこが繰り広げられる。「レーガンが大統領になる」というくだりを「紀州の吉宗が将軍になる」と変えてみたり、大枠のストーリーにある程度は沿いながら作ったのが楽しかった。一晩で作ったので時代考証的におかしいところは多々あったが、個人的には結構お気に入りの仕上がりだった。
これは一回くらい外部で披露してもいいなと思ったのだが、何せフルでやると1時間近くかかるので断念。仲間内の勉強会で少しやっただけになった。

バック・トゥ・ザ・フューチャーは夏の噺だが、他の新作は冬の噺が多かった。
友達が高校時代、バイト先のコンビニで女子スタッフの代わりにミニスカサンタの女装をしたという実話を元に一席作ったり、入院していた時に思いついて作った冬の病院の噺など、実話ベースなものは作りやすかった。
あとはタイトル先行のパターン。古典落語にありそうな架空のタイトルとして、先輩が思いついた『雪見宗兵衛』を、実際に作ってみたりもした(人情噺になった)。

これらの噺はもう僕が語ることもないので、誰にも知られず消えていくのだ。寂しいなぁ。僕の頭の中だけにあるノスタルジーの象徴だ。

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