12月30日〜22年1月11日 第7巻 『隠居金七百両』
12月30日
溜まっていた日記をぽちぽち書いていたらもう昼間になっている。
大学時代からの友人の家へ行く。今日は大学のサークルの同期と後輩合計5人で忘年会をするのだ。部屋の主から「今日のテーマは最強バカパーティーだ」と告げられる。肉のハナマサで買った分厚い牛肉の塊は低温調理ののちステーキとなり、加えて、寿司とピザを近所の店で注文する。寿司、ピザ、ステーキ。最強でバカだ。
あれこれ食べながら、大学時代の思い出話やらここ最近の近況やら駄弁っていると、部室に入り浸っていたころの感覚が甦る。終電ぎりぎりで帰宅。
12月31日
昼から表参道で、立川吉笑さんの独演会「じょっぴるま」。大晦日の昼間にやるから、除夜ならぬ除昼間=じょっぴるま、だ。今回で3回目で、僕は初回から通っている。ということはここ3年の年末は帰省していないわけだ。
たっぷりのマクラに加えて、狸がかわいい「狸の恩返し過ぎ」、唇をぷるぷるやりながら喋ると面白いという力技の新作「ぷるぷる」、論理パズルを擬古典化した「床女坊」の3席で、ボリューム満点だった。
帰ってからは眠くてぼーっとしていた。紅白歌合戦をちょっと観る。中村佳穂と藤井風が圧倒的。藤井風はティモシー・シャラメにちょっと似ている。
ジャニーズカウントダウンで年越し。
1月1日
年越ししたあと、だらだらとテレビ見ながら夜更かし。『ねほりんぱほりん』が年明け早々、「女子刑務所」にいた人回を流していて、全テレビ局で一番攻めていたかもしれない。
10時前に起きたものの眠さが拭えず、ずっとベットでごろごろしていた。
笑点の新メンバーが桂宮治師匠に決定。キャラクターが濃いしパワフルだし、確かに笑点の空気感にはマッチしそう。一般認知度はどうかわからないけど、逆に変な先入観なしでお茶の間に受け入れてもらえるかも。宮治さんは僕が大学の落研にいた頃に前座で出ていて、その頃から面白かったんだけど、それにしても10年くらいで一気に真打ちになって笑点入りするとは思いもよらなかった。
『わたしの芸術劇場』元旦SP、東京都近代美術館の担当者さんの推しが靉光「眼のある風景」だと語っていて嬉しかった。僕もあの作品が好きで、大学時代にイメージからの目線について卒論で考えたいと思ったきっかけのひとつだった。今でも近代美術館で飾ってあるたび、じっくり観てしまう。また近代美行きたいな。
明日のアーのコント配信『そして聖なる飲み会へ』も観る。ファーストテイクをどうにかして終わらせようとするコントがバカバカしくてよかった。
だらだらしていたら一日が終わった。「一日の計は元旦にあり」が真実だとしたら、今年はダメかもしれない。
1月2日
午前中に、録画していた『悪人伝』を見終える。冒頭のサンドバッグはおっかねぇ!となるが、それ以外は割かし非道とも言い切れないバランスだし、最後はきっちり腹を決めて公の場に出るのが感動的。「男も見境なく襲うほどのサイコパス」という言及があったのは、江南駅事件以降の社会背景も踏まえているのだろうか。
TSUTAYAでまとめてレンタルした『ODD TAXI』を観る。Twitterなどで前評判は聞いていたりファンアートを見かけたりはしていたが、確信的なネタバレなどには触れていなかったので、思ったより序盤からきっちり展開の面白さで引っ張っていくタイプのサスペンス群像劇で見応えがあった。細かい会話の面白さや、東京をしっかりトレースしている街の背景なども演出が行き届いている。特に漫才の大会の敗者復活戦の会場がしっかり六本木のテレ朝前の風景になっていて、その細やかさに笑ってしまう。結局、夜遅くまでかけて最後まで通して観た。
1月3日
明日から仕事始めだと言うのに『ODD TAXI』一気見の反動で昼まではほとんど機能せず。午後から『ODD TAXI』のDVDを返却してあやのさんイチ押しの『ゾンビーズ』をレンタルした。
帰宅して早速視聴。ディズニー作品のテレビ映画なので、ゾンビ映画でありながら血が出たりグロかったりは一切なしの安心設計。それによって他のゾンビ映画と比べても、「ゾンビだって人間だ」という視点が前傾に出てきている。人間とゾンビの「共学校」を舞台にした青春ラブストーリーになっていて、カラフルな色彩設計とナイスなミュージカルシーンでずっと楽しい。それでいて、人間とゾンビの関係性を用いて差別問題を描き、それが周囲に馴染むために個性を隠すことなんてないんだ!という個人へのエンパワメントにもなっていて、メッセージ発信力はめっちゃ高い。一方で、ゾンビたちの凶暴性は装置で抑えつけてあり、ゾンビのゾンビ性は排除されたままである、ということはちょっと気になりもするので、この辺りはもし話せたらポッドキャストで柿内さんにも投げかけてみたいところ。個人的にはゾンビものというよりは、半人半妖ものとして、ドラマ版の『妖怪人間ベム』のこともちょっと思い出したりした。
夜は『ダイヤモンドno寄席』をアーカイブ配信で観る。リテラシー高めながらも面白い漫才コーナーに続いて、カオスなお笑い大喜利。半裸の人間が腕を縛られた状態でペタリと座り込む、という絵面があんなに面白い、というのはなんなのだろうか。「てんどん記」も「ダイヤモンドno寄席」も、同じ「お笑い」というジャンルに入っているのが、なんだかもう恐ろしささえある。なんなんだお笑い…。
1月4日
仕事始め。まだ作業は忙しくないので、のんびり進める。作業BGMは『ヨネダ2000のオールナイトニッポン0』のタイムフリー。ほのぼのした雰囲気でいい。
1月5日
まだ生活のリズムが戻っていなくて朝早く目が覚めてしまい、録画していた『なむはむ!ドキュメント〜俺としらすと江ノ電と〜』を観る。岩井秀人、前野健太、森山未來が子供が作った物語をパフォーマンス化する企画のドキュメンタリー。大人たちが子どもたち作のテキストを、真面目にふざけながら、読み解きつつ時にはあえて誤読し、ゲラゲラ笑いながら作品を作る様子がとてもいい。試しにやって観たらすごくいい感じになってしまって、そのいい感じになってしまったことに笑えてしまう感じ。物語を描いた小6の男の子が妙に大人びていて、作品の感想を聞かれて、「原作をはるかに凌駕するクオリティでしたね」と言っていたのに妙なおかしみがあった。少年のきているパーカーの胸元にはSpotifyのロゴが入っていて、そのパーカーはどこで売ってるんだ。
仕事始め2日目にしてもう結構忙しくていやだ。
久々にペアーズを稼働させようと思ったら、自分が打てるいいねの残機数が600を超えていて、そんなにたくさんいいねと思わないよ、となる。
あやのさんともりたにペアーズを再稼働させている話をしたら、プロジェクトチームが立ち上がり、ものすごい勢いでアドバイスをくれるので助かる。
TVerで『ヤギと大吾』を観る。雑草に困っているお宅に伺い、ヤギが食べて除草するという町ブラ企画。変にボケることなくヤギを可愛がり、町の人たちとフレンドリーに会話する大吾の優しい雰囲気が良い。この優しいフィーリングは、チンパンジーのパンくんと志村けんの間に漂っていたものに似ているな、と思った。
1月6日
作業BGMは「考察記」のアーカイブ音源。『てんどん記』はコントで書かれた聖書であり、進化論なのではという話があって、なんて大それた作品なんだ…となる。
浪曲十八番の玉川太福『男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け』も聴く。おそらく落語や講談だともっとダイジェストチックになったであろうところを、浪曲のメロディによってエモーションがしっかり補われている。太福さんがしっかり物まねしているのもあって、脳内にちゃんと『男はつらいよ』の映像が脳内に浮かんでくる。他のシリーズ作品も聴きたいなぁ。
雪がものすごい量降ってきたので、仕事が早上がりになった。電車が止まることもなく、いつもより90分くらい早く帰宅。読みかけていた小田原のどか『近代を彫刻/超克する』を読み終える。主に公共の場に置かれた彫刻作品についての論考で、社会・政治と芸術・美術の文脈が交差する話は面白い。それにしてもこんなところにも、電通の名前が出てくるのか。
Netflixで『ドント・ルック・アップ』も観る。彗星の衝突による人類滅亡の危機! それを防ぐべく天文学者は米国大統領に事情を説明しに行ってめちゃくちゃ待たされたり、メディア対応に追われたりする、という皮肉たっぷりのブラックコメディ。色々極端ではあるが、実際に危機が起こったら割とこんなもんだよね、というバランス。編集のテンポがめちゃくちゃいい。
1月7日
『なむはむ!ドキュメント〜俺と松戸といぬのゆめ〜』。パフォーマンスが終わった後に「この後どうするか決めてないんだ」と言って走り去る大人たちがいい。
仕事の作業中は『オダウエダのオールナイトニッポン0』『錦鯉のオールナイトニッポン』。錦鯉のメールアドレスが「bokuhabaka」(僕はバカ)で、応募呼び込みのたびに笑ってしまう。
夜はシンパイニュース。「ネクスト東ブクロ」→「ネクスコ東日本みたいに言うな!」と言う粗品のツッコミが完璧。
1月8日
昨日も結局夜更かししてしまい、動き出せたのは昼過ぎからここ最近生活リズムがぐずぐずなのでまずい。
吉祥寺へお出かけ。百年が20%割引のセールをやっていたので、2冊買う。防破堤も覗いてから帰る。
ペアーズ対策会議が白熱していて、写真を変えた方がいいとか服を買い替えようとかどんどんアドバイスが来るので、「野ブタ。をプロデュース」の様相を呈してきた。もりたとあやのさんが修二と彰なら、僕が堀北真希じゃん……。
1月9日
またもや眠くてぐずぐずである。溜まっていた日記を書き進めたり、文字起こし作業を進めたりする。
柿内さんがTwitterでコミックス版「プルーストを読む生活」を描いていて、とぼけたテイストの絵がかわいい。たぶん次のネプリには柿内さんのコミックス版人格も登場するだろう。柿内さんのネプリの人格のわけ方は面白くて、同じ柿内正午名義なんだけど、媒体や作品ごとで分裂している。僕の場合はどちらかと言えば、TwitterだとRyotaで、短歌は蜂谷希一名義で、名前が分かれるタイプ。
『情熱大陸』錦鯉の回を観る。長谷川さんが高校時代に校舎の壁にあったボタンをなんとなく押してみたら防災用シャッターが降りてきて、学校の先生にしこたま怒られた思い出を語った。傍目から見ると変に思われるけど、そういう風にしか生きられないなりに一生懸命にやってきた、と話す長谷川さんの発言を受けた、相方・渡辺さんの返答がいい。
「それでいいと思いますよ。俺たちなんか、ボタンあったら押してきゃいいんだから。押していいかわかんないボタンは、押してけばいいんだよ」
1月10日
あやのさんともりたこと修二と彰から「新しく服を買いに行け!」という指令が出たので、僕a.k.a.堀北真希はGUへ。しばらく服を買い替えてなかったので、まとめ買いする。結構時間がかかってしまって疲れた。
『ミステリと言う勿れ』1話。原作未読だけど、キャラクターがしっかり立っていて面白い。尾上松也が愚かだけど素直でかわいげのある憎めない案配。事件の真相がわかった後での、菅田将暉による遠藤憲一へのオーバーキル劇は、言葉で論破してスッキリみたいな方向でもなく、あくまで個人の意見の範疇にとどめることで、胸にざわつきを残すバランスになっている。これは原作と脚本によるものなのだろうな。原作の感じが気になる。
『恋せぬふたり』第1話も観る。岸井ゆきのは居心地悪そうにしているのと、何かに夢中で猪突猛進モードになっているのがべらぼうに似合うなぁ。
1月11日
3連休で完全に生活リズムを崩した上に低気圧でコンディション最悪なところに面倒臭い案件が降りかかってきて、面倒くさいなーとなりながらじわじわと進めていく。
ランチの時間に柴崎友香『百年と一日』を読み終えてしまって、まさにタイトル通りたった一瞬と百年のような長い時間が、現在と過去が、各章編の中にきゅっと詰められていた。こういう長きにわたる時間が、当人には思い至らぬところで静かに響き合うようなテイストは好きだ。
帰りの電車ではようやく鬼平を読み進める。『隠居金七百両』は平蔵の息子・辰蔵がメインのエピソード。茶屋の小女・お順に夢中な辰蔵は、お順が男たちに誘拐されたのを偶然目撃する。火付盗賊改の長官・平蔵の息子であるという自負と好奇心から、事件を解決しようと動き出すが……という話。以前のエピソードでも妙に肝が据わっているところを見せた辰蔵だが、今回もしっかり誘拐事件の解決に貢献していて、実は平蔵の後継としてかなり優秀なのでは……と思わせる。まぁ女好きでかなりだらしない感じはあるんだけど、それも若き日の平蔵としてダブることだし。
ちなみに今回はサイドストーリー的に、淀の勘兵衛という大物が動き始めているらしい、という言及があるんだけど、鬼平の世界盗人人口、ちょっと多すぎでは……。
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