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9月19日〜24日 第12巻 『高杉道場・三羽烏』

9月19日

ちょっと晴れていたから外に出たけど、電車を降りたら大雨だったので、駅なかの中華料理屋で昼飯を食べてから自宅に引き返す。

ちょっと溜まっていた日記を書いて更新。昼寝のあと、ヨルゴス・ランティモス監督『籠の中の乙女』を観た。子どもたちを外界に出さずに教育している家族だけど、だんだん歪みが生じていく、という話。音声教材を使って外界に関わる単語に嘘の意味を教えているシーンの掴みがよく、淡々としながらずっと気味が悪い。基本めちゃくちゃ嫌なテイストなのだけど、姉妹の片方が映画を観たことに影響されて、自らブルースと名付け、名前を呼んでもらって振り返るのを繰り返すシーンは結構グッときてしまった。新しい意味を付与するための名付け行為は、好きなパターンのひとつ。後で調べたけど、ブルースという名前はたぶん『ジョーズ』のサメの名前から取っているっぽい。

寝る前にネトフリで『保健教師アン・ウニョン』を2話分見た。あのヘンテコシュールな話がぴったりのルックで映像化されていた。1話終盤〜2話序盤にかけての屋上シーンがいい感じで怖い。

9月20日

仕事中に宮沢先生の訃報が飛び込んできて、全く落ち着かない気分のままなんとか残りの仕事を片付けた。久しぶりに思い出したことがたくさんある。

まっすぐ帰る気分になれず映画館のレイトショーで『ブレット・トレイン』を観た。噂通り全然実際の日本じゃなくて、しかし登場人物たちのわちゃわちゃした会話と突発的なバトルの緩急が不思議なテンポで繰り広げられるので、全体的な楽しく見た。レモンとみかんコンビが好き。伊坂幸太郎ってたぶんアンソロジーか何かに収録されていた短編くらいしか読んだことがないので、長編も読んでみようかしら。

9月21日

藤井隆の新譜が配信されていたので聴きながら通勤。あとで宣伝用映像を見たら、ロイヤルホスト50周年のプロモーション映像という作りで、アルバムの宣伝はラストにちょこっとだけ、という相変わらず奇妙なコンセプト。毎度、どうやったらこのコンセプトに行き着くんだろうと思う。アトロクの藤井隆インタビューも聴いて、ロイヤルホストとのコラボの経緯が語られていたけど、それでもここまで振り切ってるの変だと思う。

ちょっと多めにご飯を食べたので多めに歩いて帰宅。ブックオフで『ブレット・トレイン』の原作を買おうかなと思ったけど、思ったより分厚くて、今は他にたくさん積んでるからな、と思ってやめておく。

9月22日

3連休の影響で早めにお給料が入ったので、家賃など振り込みを済ませる。早めに給料が入ったということは、次の給料日までの日数がいつもより長いということで、今月はちょっと節約したい。

定時間際に仕事で大ミスをしたことが発覚するも、この時間からは関連窓口も閉まっていてとりあえずその日はなす術がない。ここ最近の仕事の慌ただしさ、作業中に別の人起因のミスが発覚したのでその対応に気を取られていた、など色々見落としの要因はあったにしろ、今回は僕の背後にセーフティネットがない案件なので、しっかり僕のミスなのだった。この後の対処がどうなるのかがハッキリしないまま今日は退勤するしかなかったから、凹んだ気持ちを引きずっている。
帰りに焼肉を食べて、レモンサワーを飲んで、気力を少し回復する。

「寝れねぇ!」となって、『私たちはAIを信頼できるか』を読み切ってしまう。ちょうどTwitterで、AIが描いたイラストの偏向についてのツイートが流れてきたが、なんでそんなことになるのかも含めてAIの基本的な知識や課題などが整理されていて面白かった。
本の中で大澤真幸が言う「客観的主体化」というのが、僕が短歌でたまにお題にする、システムの指示に合わせていく主体、みたいなことに絡んでいる気がする。大澤真幸は著作読んだことないんだけど、何かとっつきやすいものがあれば読んでみようかしら。

10月に西田さんが東京に来るかも、ということで楽しみ。うまく予定が合って会えるといいな。

9月23日

三連休一日目、天気が不安だけどとりあえず家にいても仕方ねぇという気持ちで出かける。三鷹まで出て、水中書店とりんてん舎を覗く。最近Twitterで見かけた新しい書店UNITEまで足を伸ばしてみようと思い、線路を挟んで反対側まで歩く。おしゃれで落ち着いた雰囲気のお店。マイルス・デイヴィスが流れていた。新刊専門かと思ったら、古本も扱っていた。できたばかりだからか、お客さんも結構多い。とりあえず今日は見るだけにしてそのまま歩いて吉祥寺に行く。地図によるとジブリ美術館が近いらしいけど、今日は行かない。外観も見ず、この辺にあるんだな、ということだけ認識。
防破堤、百年。百年の文庫棚に伊坂幸太郎『マリアビートル』があって、ブレット・トレイン原作をやはり確認しておきたいな、となってここで買った。

西荻窪へ移動して、今野書店で「短歌西荻派」の選書をチェックしてフリーペーパーを入手。fuzkueへ行こうかなと思ったがかなり雨が激しいので、帰宅することにした。

帰ってきて、TVerで『ランジャタイのどっち食べタイ?』を観る。国崎が飲食店2軒を訪ねたロケ映像を見て、伊藤がどちらの店の料理を食べたいか選ぶ企画なのだけど、国崎が食事をせずに何かと言い訳を付けて2店舗を行き来する、という企画ぶっこわし企画で走りきっていた。他の番組でも企画壊しアプローチしてたけど、今はあんまりそういう仕掛け方を徹底している人がいないから、バラエティー番組を見ていても「ランジャタイ見てるなー」と感じる。

夜はトゲアリトゲナシトゲトゲの特番を見て、タモリ倶楽部に入った辺りで寝落ち。

9月24日

雨の中、高田馬場へ三遊亭天どん・古今亭駒治二人会へ。会場はばばん場という最近できた演芸専門の会場。神田川沿いの奥まった場所で、静かなエリアのビルの3階。後ろに受付兼ドリンクカウンターがあって、らくごカフェを参照したんだろうなと思う。
天どん師匠は「さんま火事」「サプライズツアー」。特に最近、潮干狩りの出てくる落語ってないのかなと調べていた時に見つけた古典「さんま火事」を初めて見れたのが嬉しかった。潮干狩りが楽しかったという思い出にいちいち気を取られる演出は、天どん師匠オリジナルなのかしら。他の人で聴いていないのでプレーンな型がわからない。駒治師匠は「地下鉄戦国絵巻」「ひろしのおっかけ音頭」。特に東京メトロと都営地下鉄が抗争する設定の新作がバカバカとウケる。鉄道ネタってコアっぽいけど、東京の地下鉄のあるあるなど、都心で働いている人であればよく分かるところだろうし、都内でやる分には射程の広いネタなのかもしれない。

帰宅後、双子のライオン堂の配信イベントで岸波さんとわかしょさんの対談を聞く。岸波さんの本の文字が上部に寄っているレイアウトは詩集っぽさを意識している、とか、わかしょさんの「ランバダ」の由来とか、そうだったのかと驚くこと多し。今年、歌集を自主制作したこともあり、とりあえず作ってみることでわかることってあるよなぁと思う。

鬼平を読む。粂八は自身が営む船宿・鶴やで、盗みの相談が行われているのを聞く。賊の頭である長沼又兵衛は、かつて平蔵や左馬之助と共に同じ高杉道場に通っていた剣友だった。又兵衛一味が狙っていたのは密かに高利貸しをやって金を溜め込んでいる寺。そこへ京より江戸へやってくる途中、母親が急死した武士とその家来という設定でやってきて、弔いをお願いして油断させたところでしゅうげきするという、又兵衛一味の手口が面白い。平蔵vs又兵衛の斬り合い描写も見応えある。又兵衛がかつて盗んだ高杉道場の免許皆伝の伝書が白紙だったという設定は、「カンフーパンダみたいだな……」と思った。

『初恋の悪魔』最終回。ラストで濃厚な坂元裕二節が炸裂していて号泣。1話見た時には全く想像もしていなかった場所に連れてこられてしまった。


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