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123.日記(7月19日〜7月21日)

7月19日

仕事は程よく作業があって程よくやる。

大西連『絶望しないための貧困学 ルポ 自己責任と向き合う支援の現場』を読了。「貧困学」というタイトルだけど、生活困窮者の支援活動の著者の体験を基にしたエピソードがメインで、データや理論というより実際の現場ではどのようなことが起きているのかを描いているので取っつきやすく、しかし考えさせられることがとても多い本。個人的にはアパートとネコの話が印象的。他人から見たら些細なことでも自分にとってとても大切なものがあったとき、それが制度とうまく合わないのはなかなか難しい問題だなと思う。福祉事務所の職員さんのことが、人間味を持って描かれていたのも良かった。世に蔓延する「自己責任論」について、100%自分に責任がないケースなんてほとんどないんだから、自己責任であることを指摘しても問題は解決しないと指摘されていて溜飲が下がる。そうだよね。

もりたのクーチェキ連載原稿が来たので赤字を入れる。相変わらずテンションが高すぎて良い。

7月20日

朝、早く目覚めてしまい、寝ぼけまなこを擦りつつ早稲田松竹へ。今回はスパイク・リー特集。スパイク・リー作品はちゃんと見るのは初めて。
『ブラック・クランズマン』はもっとポップな作風なのかと思いきや、意外とじっくりサスペンスな見せ方が巧くて引きつけられる。まぁ二人一役やるなら声が違いすぎだろという気がしないでもないが(特にアダム・ドライバーなんて低音ボイスが特徴的なのに)、終盤の大惨事、さらにラストでドキュメンタリーに振る作りなど、エンタメを導入にしつつがっつり「で、今でもこれなんですけどどう思うよ⁉︎」を突きつけてくる凄み……。
併映は『ドゥ・ザ・ライト・シング』。緩い日常の描写が続いているようで、実はあちこちに衝突が起こる火種があり、ユーモラスに見えて緊張感が漂っている。そしてその火種が爆発してしまう瞬間の最悪さたるや。
スパイク・リーって社会性の強い作品が多いくらいのイメージしかなかったんだけど、素朴に「いいな!」と思うシーンが結構あったので、他の作品も観ていきたいなと思った。

そこから池袋に行って新文芸坐に入り込みさらに二本立て鑑賞。
一本目は『ハンターキラー 潜行せよ』。まずカメラが上空から水中に入るシーンの音響がすごく良かった。これは爆音に近い音響設定の新文芸坐で見たからこその効果かな。そこから作戦遂行のための手に汗握るサスペンスフルな展開が立て続けに繰り広げられ、同志たちの絆も描かれて、とっても満足。
『オーヴァーロード』は事前に戦争×ゾンビという情報を聞いてたんだけど、実際は戦争7:ホラー3くらいのバランス(微妙にゾンビとは違うような)。冒頭の銃弾飛び交う中をスカイダイビングするシーンから、全く気が休まらない時間が続き、ホラー描写もちゃんと怖い。映像の迫力も抜群で見応えバッチリ。個人的に好きなキャラはティベット。軽口を叩く嫌味なやつのようなんだけど、戦闘の実力は結構高いし(だからこそ戦場でも冷徹になりきれない主人公を批判的に見ていた)、作戦実行の際のあるセリフとか、子供と仲良くなるくだりとかとても好みだった。

友人にオールナイト上映の当日券確保を頼まれてたので合流。チケットを渡して軽く夕食を食べて帰る。

7月21日

起床してすぐ選挙へ。投票所が家のすぐ前だから、5分足らずで完了。
そこから新宿へ移動してジュリアン・オピー展。ピクトグラムのような記号っぽい人の絵で有名なアーティストの展覧会で、作品自体はシンプルなのでサクッと観れてしまう。単純化・記号化されているが、人種やどういう属性の人なのかは伝わってくるバランス。記号と具体、あるいは記号と抽象の境目はどこにあるのか、などぼんやり考えた。

帰りの電車で今村夏子『あひる』読み終える。平易な言葉遣いでありながら、ほんのりとした恐ろしさがあるのが不思議。気になるディテールをするっと通り過ぎていく感じも好み。他の作品も読みたいな。

そのあとは家にこもってDVD観たり本読んだりしてまったり。

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