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11月8日~15日 第6巻 『猫じゃらしの女』

11月8日

まだ寝不足を引きずっていて仕事中もしんどい。

夜は『阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし』第1話を観た。木村多恵に完全に江里子さんが憑依していた。「美穂さん!」と呼びかける声とか完璧。安藤玉恵は表情のニュアンスが豊かで素晴らしい。このクールは全然連ドラを観ていなかったけど、これは続きも観たいな。

深夜に本を整理していて坂元裕二の『往復書簡 初恋と不倫』を手に取り、ふと音読していたら楽しくなってしまって、結局寝るのが遅くなった。寝不足だったのではなかったのか、俺よ。

11月9日

志の輔師匠の『大河への道』が映画化らしい。自作の落語が2本も映画化されるのすごいな。

夜はラジオ英会話をやって、ミルハウザーを少し読む。街で自殺が多発したり、海岸で見つかった人魚の死体をきっかけに街にムーブメントが起こったり、群衆に何かが巻き起こるのを記述していくような短編が多い。これが一冊の中に立て続けに並んでいるのが、複数の世界観のコンセプトを順番に見せられている感触で面白い。

11月10日

新刊の紹介文をワードクラウド化するというサイトで、わかしょ文庫さんの『うろん紀行』もワードクラウドになっていたんだけど、「蕨」の文字がバカでかくて面白かった。

今日はポイエティークRADIOの収録日で、柿内さんが僕へのお便りも募集していた。人生でまさかお便りを募集される側になるとは。

で、21時から収録スタート。雑談・オブ・ザ・デッドの第二弾でテーマは『セーラーゾンビ』。これは元々僕がゾンビものとして実は面白いことをしている作品だと柿内さんにレコメンドしたドラマだったんだけど、柿内さんが想像以上に深く鋭く読み解いてくれて、約90分、熱量が途切れることなくしゃべりきった感じがある。予定では一本録って終わりのつもりだったけど、「まだ話せますね…」という感じになり、「まぁ、一応ね、録ってみて、そんなに盛り上がらなければボツにしてもいいですし……」と試しに録ってみたらまだ全然話せて、最近の良作『リトル・モンスターズ』の感想を話したり、柿内さんからロメロのゾンビ以外の映画について聞いたりしていたら、あっという間に1時間くらい収録できてしまった。めちゃくちゃ喋って、なんか頭の筋肉が痛くなるくらいだったが、とにかく楽しい時間だった。

11月11日

『雑談・オブ・ザ・デッド』をZINEにしようという話が持ち上がり、それはとても楽しいんだけど、クーチェキと合同ブースにするとなるとこれまで「そのうち文フリ出したいですね〜、へへ〜」と緩く言っていたのが俄かに現実味を帯びてきたので、色々準備しなければな、と思う。まずは歌集ZINE用に短歌のセレクトを進めなければ……。

前日フルスロットルでトークしたにも関わらず、年末調整の書類も提出し終えて、仕事もある程度ちゃんとやったので、今日はとても偉かった。

11月12日

急遽仕事の取材があったりポンポンと業務が降りかかってきて、結構慌ただしくやっていたら1日が終わってしまった。ずっとヘロヘロとしていたけど、なんとかこなせて週末へ滑り込む。

11月13日

天気がいいので外へ出て、思いつきで初めてたばこと塩の博物館へ。入場料100円はすごく安い。杉浦非水の特設展があって、図案デザインをする上で、まずは自然をきっちり観察する写生的な目線があって、その上で個性が匂うのがよい、という感じのことが書いてあった。確かに植物や虫の写生が多く残されていて、そこまで書き込みが細かいわけではないのに線が精緻。
それから常設展。でかい岩塩が置いてあったり、世界各地のパイプが展示されてあって楽しい。落語でよく仕草を見ている割によく分かってなかったキセルでのたばこの吸い方を映像込みで見れたのが勉強になった。

そこから歩いて浅草方面へプラプラ歩く。Readin’Writin’をちょっと覗いて、さらに上野まで歩いて電車に乗った。そのまま帰ろうかとも思ったがふと「今から渋谷らくご行けるな……」と思ったので、その足でユーロライブへ。「おしゃべり緑太の会」は初めての参加。柳家緑太さんのひとり会で、長めの枕にサクッと落語1席で1時間というパッケージ。落ち着いた語り口で、ゆったりと可笑しいエピソードが語られていくのが心地よい。自転車イベントでの話にゲラゲラ笑う。これは次回もまた行きたいなぁ。

11月14日

すごい嫌な夢から目覚めたら朝5時。どんな夢だったかは思い出せない。もう一回2度寝したら12時過ぎで、そのままぼんやり過ごす。

ポイエティークRADIOで「ゾンビになってしまう側の話」についてしゃべりたいですね、ということになっていて、「そういえば観れてないけど確か『コリン』ってそんな映画だったよな……」と思いレンタルしに行く。で、ついでにそういやこれもゾンビものだったよなとなって『パラノーマン ブライス・ホローの謎』も借りてきた。

本をぬるーっと読んだりテレビを見てたりしたらすっかり夜で、とりあえず歌稿だけ作った。

『パラノーマン』を久々に観て、ゾンビもの、というほど実はゾンビがメインではないのだけど、しかしゾンビというものを使った展開作りは巧み。一方、中盤で幽霊の存在が完全に忘れ去られているのはなんだかなぁと思う。

11月15日

最近は仕事が忙しくて、日々来る案件を消化していたらもう夜になっている。何かこのペースだと凡ミス起こしそうで心配なので、ずっとうっすらピリピリしている。

ポイエティークRADIOのセーラーゾンビ回が更新されて、Twitter上に何人か当時の視聴者が発見された。武塙さんも観ていたとは。ポイエティークRADIOのアカウント(すなわち柿内さんだけど)もちょっとテンションが高くて、「キャストにも届くといいな。大和田南那さん、川栄李奈さん、高橋朱里さん、そして何より風見梨佳さん」とノリノリだった。ちなみに風見梨佳さんは僕が大好きな名キャラクター・田淵役。

Twitter上はにわかにあやのさん主催クリスマスパーティーの話で盛り上がっていて、うわぁそれは楽しそうだな、となる。僕も行きたい。マンションのパーティールームを貸し切れるかも、ということで、それは『来る』のあのいけすかないパーティーを再現できるのでは、と思う。それにしても忘年会的なことをコロナ禍以降やれなくなってしまったこともあり、すでにちょっともう高揚している。

鬼平は『猫じゃらしの女』で、密偵・伊三次のメイン回。原作でもドラマでも最初から密偵として登場し、優秀なアシスト役として平蔵をサポートしているキャラではあるが、これまでバックグラウンドはあまり描かれていなかった。
岡場所でなじみの女・およねから、客が預けていったという妙な物を見せられた伊三次。鍵を複製するための蝋の型だと気付いた伊三次は、賊が絡んでいるのではないかと勘づき、密偵仲間の粂八と共に事態を探っていく、という話。ここまでシリーズを読んでくると、平蔵チームの中でも特に優秀な密偵である伊三次・粂八が連携する展開はアツい。どうやら賊のアジトらしいところで粂八が一人、慎重に状況を探り囚われた男を助ける緊迫感もいい。
実は捨て子であり、関宿の宿場女郎たちに育てられた伊三次。その女郎のひとりがおよねの母親だった。そういった腐れ縁に加え、平蔵も勧めることだし、これは夫婦になっていく展開かなと思ったら、およねは性欲が強いから自分では体がもたないといって伊三次は首を縦に振らない。とはいえ、これが全ての理由というわけでは無さそうで、伊三次が密偵だと知らないおよねは、捜査に巻き込まれて誘拐されかける危ない目にも遭っているから、彼女を危険に合わせないためにも、距離を取りたかったのではないか。

夜、柿内さんの日記が更新されていて、ポイエティークRADIOのセーラーゾンビ回についてのところが面白かった。

ポイエティークRADIO の『セーラーゾンビ』回を聴いた奥さんは、知らないコンテンツについて熱く語り合ったオタクが最終的に熱い抱擁を交わすようなのってなんかよくわかんないけど感動的だよね、と評してくれた。終盤のRyotaさんの「これは、俺しか、もはや俺しか分かってないな!」という叫びが最高だったということで、わかるわかる、あそこいいよねえと嬉しくなる。

あそこは僕も好きで、単に情報のやり取りだけに留まらず、そのやり取りの中で語っている側にも何か変容が起きたり何かが顕わになったりする感触がちゃんと音の流れに乗っかってしまっている。柿内さんの圧倒的に深くものすごい熱量の読み解きに対し、最初は聴き手的なポジションから補足を加えるなどしていたはずが、最後には過去ひっくるめて祝福を受けてしまったのだった。

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