5月22日~28日 第20巻 『怨恨』
5月22日
立て続けのイベントが終わって通常の仕事日。で、帰宅後、溜まっていた日記を書いてぼんやりしていたらもう夜中。試しに、群像を通読することについての原稿を書こうと思ったが、ゆっくり練りつつ書くような文章を最近書いてないから全然ノッってこない。日記は頭からバーッと書いているだけなので、平気で書いているけど、もうちょっと丁寧めに書く筋力も取り戻さなければならない。
5月23日
「心を鬼にする」って言葉は、「心が鬼になる」じゃないのが面白いな、と思う。鬼にする、という行為を自覚的にやっている時点で、あなたの心は全然、鬼じゃないのでは。
針山さんが文フリでの『傑作』購入ツイートをしてくれていてありがたい。とりあえず、一冊は売れたことが確認できただけで、だいぶうれしい。残りの『傑作』は編境の柿内さんの棚においてある。柿内さんへの負担にならぬよう、ゆっくりでもいいから売り切れてくれ。
最近、夜はちょっと暴食気味なのでまずいな……。
5月24日
朝、録画していた『日曜の夜ぐらいは…』の2話を観た。思わぬ展開で「そういう話!?」と驚く。途中流れてきたCMが「ダニの被り物をしたほんこんが嫌われ者コンテストで優勝し、優勝スピーチ中に上から落ちてきた防ダニ剤に押しつぶされる」という内容で、CM中ずっと「イメージです」「CM上の演出です」と表示されていて、そりゃそうだろと思った。
仕事の作業中にポッドキャストで配信されていた『エレキコミックのラジオ君』を聴く。『日曜の夜ぐらいは…』の作中に登場する架空のラジオ番組を実際に放送するという込み入った企画で、ドラマの内容を取り込みつつ、15年続いている番組という設定に薄ら笑いを浮かべながら、見事に面白い番組として盛り上げるエレキコミックのラジオスキルの高さに感服する。
そして帰宅後、『日曜の夜ぐらいは…』最新話までを観た。宝くじが当たったのに浮かれることなく、「大金が急に転がり込んで不安でいっぱいだけど、仲間として一緒に幸せになっていこう」という形で友情と連帯が芽生えていくのは、ユニークだけども起こりえる温度感でいいなぁ。
5月25日
明日は有給休暇を取ったので、仕事の取りこぼしが無いようにバタバタと進める。帰り間際にケアレスミスを起こしていたことに気付いて無事にリカバリー。
帰宅後、『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』の企画で、高橋一生のTwitterスペースを聴く。思ったよりも高橋一生がメインとして進めていく配信で、とても落ち着いたトーンで進むいい配信。高橋一生パーソナリティのラジオ番組をぜひやってほしい。TL上でも聴いている人が多くて、フォロワーのフォロワーが高橋一生にツイートを読み上げられて大騒ぎになっていたりした。
5月26日
午前中、明日の結婚式でのご祝儀に備えて、銀行で新札へ両替してもらいに行く。人生初のご祝儀づくり。
午後からお出かけ。肩こりのマッサージを受けてから、昼飯は餃子の王将。ひとりカラオケで久々に大声を出してから、吉祥寺で立川談笑一門会。いつも平日に開催されているから、気になっていたけど来れなかった会。武蔵野公会堂は初めて来たけど、思ったよりしっかりしたホール。平日だからそこまで混む感じではないけど、近所の人も落語好きもいるような雰囲気で、ほどほどに集まっていた。前座の笑王丸さんは初めて観たけど達者。笑二さんの「つる」はアレンジたくさんで楽しい。談洲さんの「夢の酒」はするする進めながらも、「つながらない」のフレーズや押し負ける旦那が可笑しい。吉笑さんは新作「犬旦那」。三題噺企画でできたネタなので荒っぽい部分も感じるけど、変な設定を貫き通す剛腕さを感じる。談笑師匠の「お血脈」は途中、ごろっと時事ネタが放り込まれてぎょっとするけど、罪を帳消しにするアイテムについての話で、現代社会で起きている様々な罪を観客の眼前にしっかり提示しておく意図がある気はする。しっかり落語を浴びて満足して帰宅。
5月27日
予定よりもかなり早く目が覚めてしまって、そわそわしながらスーツに着替える。今日はあやのさん夫婦の結婚式に参加するのだった。天気が良くて、スーツを着て歩くと少し汗ばむ。
教会に着いた。今日は新郎新婦の家族と友達数人だけで、僕は友達メンバーの中では一番に到着してしまった。いきなり初対面の新郎父に話しかけられて、気さくな人だったので多少緊張はほぐれたのだが、こんなにしっかり挙式から参加するのは初めてだったので、なんとも落ち着かない。後からあかりさんが到着。あかりさんにとっては、あやのさんも、一緒に参加するもりたも「推し作家」なので、推しに会えるイベント的なソワソワ感を出していたのが面白かった。新郎Hくんに頼まれて、スマホで式を撮影する準備を手伝ったり、初対面の親族に式次第の紙を配ったりしているうちに、もりた夫婦やHくんの友人・Wくんもやってきた。あやのさんの幼馴染・Yさんは新婦側の証人でもあり新郎新婦のサポートもあって忙しげに動いていた。
リハーサルが終わってから教会内へ呼ばれる。もしかしたらこんなにちゃんとした教会に足を踏み入れたのは初めてかもしれない。装飾が空間全面にめぐらされていて、確かに特別な空間、という感じがある。あやのさんは純白のドレスに、花の髪飾りがピンクに染めた髪に映えていてきれい。神父からのお話や誓いの儀式などあり、僕は傍らの三脚に設置したスマホの画面を時折覗いて動画がうまく撮れているかも確かめながら、式の進行を見つめた。あやのさんのお母さんが僕の2列前に座っていて、その横には写真立てがあやのさんの方へ向けて置いてある。
式が終わり、写真撮影タイム。みんなで集合写真、友達だけ、男子だけ、女子だけなど色んなパターンを撮る。途中からもりたがカメラマンとして興に乗り出して、片膝立ちでスマホを構えてパシパシ撮っていた。ブーケトスもあって、僕とWくんの一騎打ちの構図を作られたのでそれに乗っかり、見事ブーケを得た。フラワーボーイだぜ。
あやの夫妻はYさんの車に乗り、親族との食事会があるとのことで、一旦、教会で解散。あかりさんともそこでお別れし、僕ともりた、もりたの夫さんa.k.a先生と、Wくんの4人で打ち上げがてら昼飲みに行く。ダンダダン酒場で餃子にビール。途中で串カツ田中に移動して更に飲む。串カツ田中のチンチロリンドリンク、もりたはサイコロも手元も全く見ずに正面を見据えたまま振っていて、謎の貫禄があった。結婚式の話からじわじわ雑談もして夕方ごろ。一度あやのさんに連絡を入れると、夜から合流できそうとのことだったので、一旦先生の運転で車に乗り、もりた夫婦の家まで行く。途中、僕とWくんは疲れと酔いですっかり寝てしまう。
もりた家に到着、僕とWくんはスーツ着っぱなしがいい加減つらくなってきたので、もりた夫妻から服を借りる。Wくんが、ペヤングの歴代パッケージが描かれたとんちきなデザインのスウェットを借りて、着てみたらなんだかしっくり似合っていて面白かった。車であやの夫妻の最寄り駅まで移動して、駅近くの居酒屋で飲む。やってきたあやの夫妻とYさんはそれぞれ身軽な私服に着替えていたけど、ヘアメイクはそのまま。あやのさんの頭には小さな花が咲いているし、Yさんの黒髪の上で金箔が輝いている。みんなずいぶん疲れているはずだが、祝いのあとだからか妙にテンションが高くて、何だかあれこれ喋って、大学生の頃みたいな飲み会だな、と言い合ったりした。Wくんは見るたびにどんどん、ペヤングのスウェットが似合っていく。
深夜に解散。Wくんはペヤングルックのままあやの夫妻の家に引き取られ、僕はもりた夫妻の家に泊めてもらうことにした。あまりに眠くて移動中の車でも寝て、もりたハウスについてからもソファに横になると、すぐに眠りに落ちた。
5月28日
11時前に目が覚めてまだ眠い。スマホを見たら、もりたが僕の寝ている様子を写真に撮って、結婚式参加の友人グループにシェアしていた。昼に車で駅まで送ってもらって、そこから電車を乗り継いでやっとこさ帰宅。スーツを脱いで風呂に入って、もうひと眠り。
夕方から出かけて、最寄りの映画館で『ソフト/クワイエット』『最後まで行く』の二本立て。『ソフト/クワイエット』の途中で気付いたが、二本とも犯罪を隠ぺいする映画だ。『ソフト/クワイエット』はそういう映画だとは分かりつつも、やはり思っていた以上にイヤな展開へ転がり込んでいくで恐ろしい。さっきまで調子に乗って散らかしていたものが、片づけなければいけないときにものすごいストレスフルなものに感じられる、という反転のさせ方も巧みな感じがした。『最後まで行く』は岡田准一のリアクションがデフォルメ強すぎな印象も受けたが、綾野剛との対比ならあのバランスでいいのかも。とにかく綾野剛は怪演モードでかなりいい仕事っぷり。ただ怪しいだけでなく、「焦っているけど表情には出さないように務めているけれども表情に出ちゃっている」の顔の可笑しみも。
帰宅後、鬼平も読む。元盗賊の煮売り屋・喜十は、体を壊してしまった昔の仲間・源蔵を家の中二階に匿っていた。喜十は普段、密偵・五郎蔵に盗人の情報を提供しているのだが、源蔵については昔からのよしみもあり、五郎蔵へ報告できずにいる。一方、その近辺に潜んでいた盗賊・磯部の万吉は、浪人崩れの盗賊・杉井の手を借りて、源蔵殺しを企んでいて……という話。いつもと様子が違う喜十を怪しく思う五郎蔵も含めて、それぞれの思惑を浮かび上がらせつつ、意外とそれとは関係なしに捕物が行なわれて何事もなく解決してしまう。万吉たちが捕まり、源蔵が無事に逃げられたことを察した喜十が、嬉しさを漲らせながら仕事に励む話の閉じ方がしみじみと良い。
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