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8月24日〜31日 第11巻 『密告』

8月24日

2000件超の原稿をCSV使って修正する作業が結構手間で、Excelスキルもうちょっと身に付けておいたほうがいいなと思う。他にもちょこちょこ案件があって割と忙しい日だった。

仕事から帰ったあと、鞄に売る本を詰めてBOOKOFFへ行く。比較的新しい本も持って行ったので、予想より高めの売値がついた。積読だけでなく既読の本でも部屋がどんどん浸食されているので、バシバシ読んで、再読しなさそうなものは売っていかねば。今はとにかく本が増えるペースが尋常でなくて、読む僕が負けている状態。ヤバい。

8月25日

今日は比較的暇だった。サンキュータツオさんがまほぴさんの歌集を紹介している文章とか、あれこれ眺めつつ、作業を進める。

夜は『岸辺のアルバム』6話。今回は父・姉・弟のほうが深堀りされる回。父に思いを寄せる部下が、吸いかけのタバコを灰皿の凹みに据え直してあげる、その動作ひとつで好意の描写として成立してしまうのが、すごいし不思議。

代わりに読む人のメルマガが来ていたので読む。わかしょさんの大相撲観戦記、正代が出ている『踊る!さんま御殿!!』までチェックしていて流石。そういえば以前、ジャンクSPORTSで相撲取りが出演している回を見ながらツイートしていたら、わかしょさんから「前々から楽しみにしていたんです、放送」とリプライをもらったことがあった。相撲に関しては疎い僕だけども、この連載で何度も見ているので正代の名前は覚えた。名前と姿はまだ一致していない。伏見さんの蓮實重彦論は体調不良の中で書かれていて、ずいぶん前に「舞台に上がっている役者ってみんな体調いいな」と思って書いた「不健康演劇を構想する」というネタ記事のことを思い出して読み返した。このコロナ禍で演劇が置かれた現状を思うと、これをネタとして書いた時期とは隔世の感がある。友田さんの連載エッセイ、配信日の昼にまだ書けていないというツイートをしていたので、間に合ったのかしら、と思って読んだら、ホーミーを最近練習しているという話で、こんなにほどよく脱力した内容を配信前の〆切ギリギリで書いているのかと思ったら面白かった。

8月26日

『仕掛人・藤枝梅安』の特報映像を見つけて、結構良さげ。特に佐藤浩市が、場面カットだけでも枯れた雰囲気ながら只者ではない存在感を漂わせていて、観るのが楽しみ。

仕事帰りで『ONE PIECE FILM RED』を観る。ONE PIECEの濃い絵柄でMV的な表現とかをやられると、かなりカオス度合いが強い。ここ最近で、こんなに視覚的・聴覚的カロリーが高いもの観てなかったから楽しかった。それにしても、歌のスキルにより人気は獲得し、世界に対してものすごい影響力を持ちながら、社会情勢や個々の生のリアリティに対する理解がすっぽり抜け落ちているウタの不憫さ……。

8月27日

朝のうちに出かけて、代官山蔦屋をくるっと回ってから、電車で移動。渋谷駅を歩いていたら中学生くらいの男の子が、小学生くらいの男の子に「リア充っていう言葉があってね、ひとりでいることの楽しさを知らない人のことを言うんだけど……」と話していた。

移動中の電車では『ことばとvol.4』のインタビュー記事『松波太郎「コトバのカラダにハリを打つ」』を読んでいた。インタビュアー役の佐々木敦さんが松波さんからのハリ治療を受けてから話を聞く、という企画。熱を持っている部分があるとき、そこを攻めるのではなく、別の冷えている部分を刺激してそちらへ熱を流してやる。そういう鍼灸、あるいは東洋医学的な思考を踏まえた小説談義が面白い。読んですぐ面白かったり、スッキリしたりする小説は凝っているところを直接揉んでいるようなもので、それはそれで即効感があってその場は気持ちいいんだけど、一方でその場では何が何やらだったのが1ヵ月とか1年とか、時間をかけてじわじわ効いてくる東洋医学のような小説もあるよね、という話。

今日はもりたカップルの家にお泊りで、だらだら映画とか配信動画を観る集まり。ぎょうざの満洲で昼ごはんを食べてから、もりたハウスへ。最近もりたがハマっているらしいオーディション番組「Dremer Z」の最新回を観る。面白かったのはスケボーの新世代スター発掘企画で、各自がその場にある台座などを組み合わせて障害物を作り、そこでどんなトリックを披露できるかを競い合う。その場で自分の考えた課題を作り、自らクリアしていく、というのは独特なゲーム性があり見応えがあった。
クレしん映画の『ヘンダーランドの大冒険』『オトナ帝国の逆襲』を立て続けに観た後、『ブルックリン・ナイン・ナイン』の最新シーズンを観たら、BLM以降の警察への不信感をきっちり物語の中に織り込んでいて、ポリスコメディながらここはちゃんとやるんだ、という気概も感じてグッときた。
『クィア・アイ in Japan!』、ヤバいTシャツ屋さんと岡崎体育の対バン番組を観たらすっかり夜になっていた。もりたハウスのソファを借りて眠る。なんだか久々に大学生の頃の夏休みみたいな一日だった。

8月28日

ゆるゆる起きてきて、昨日途中まで観た『クィア・アイ:ドイツ編』のエピソードを観終えてから外へ出る。ショッピングモールのフードコートで昼食を食べて、駅まで送ってもらったところで解散。

夕方から家を出て、晩御飯食べてから『グリーンバレット』。『最強殺し屋伝説国岡』の世界観で、ミスマガジン主演という変な企画なのだけど、ちゃんと国岡スピンオフな上に、作品を通じて主演6人のキャラもしっかり立っていて面白い。国岡の世界観では、殺し屋=「社会の”普通”にうまく馴染めない人たち」でもあるので、新人研修でありながら規律訓練的なところはグズグズ。しかし人を殺すことについてはシビアという緩急がよかった。今井上里コンビが特に好き。二人で遊んでたらうっかり殺しの仕事をすっぽかして怒られちゃうスピンオフとか観たいよ。

8月29日

今日は仕事のボリューム重め。バタバタ対応するも畳み切らず、残りは明日の自分に託す。

夜は『NOPE/ノープ』を観た。「怖いし面白いけど、何なんだこの話……?」と思っていたら、途中で「見る/見られる」の権力関係を巡る話だと提示されて「それ、俺が好きなお題!!」と興奮。映画業界における人種の問題、あるいは人種に被せられてきたイメージ、一方的に視線を向けることで感じられる優位性とそれに対するしっぺ返し(あるいは互いに見つめ合うことによる交流)などを折り込みながら、視線の権力関係を軸にあまり見たこと無い質感のモンスターパニック西部劇みたいな展開へなだれ込む。まだ消化しきれていないディテールもありそうなので、もう一回観たい。
帰ったらもう0時を過ぎていて、それからあれこれうだうだ過ごしていたらかなり夜更かしになってしまった。明日が思いやられる。

8月30日

今日もなんやかんやと仕事が忙しい。寝不足でぼんやりしていたけど、仕事を始めたら案外大丈夫なパターンだった。昼休憩中に書店へ行って『ねむらない樹』の最新号を買う。書肆侃侃房の『ねむらない樹』『ことばと』はバックナンバーを揃えておきながら積読状態が続いているので、集中して読む期間を設けたいな~と思っている。このままだとあっという間に次の『ことばと』が刊行される時期が来てしまいそうだ。

仕事終わり、ちょっと時間が厳しいかもと思ったが、電車に乗ってかもめブックスへ移動。職場からなら神楽坂駅へ行くより、江戸川橋駅で降りて歩いた方が早いっぽかったのでそうする。かもめブックスでODD ZINEの最新号を購入。バインダーに綴じる形で作られた文芸ZINEで、岸波さんやわかしょさんの作品も載っている。Tシャツを買うかちょっと悩んだが今日はやめて帰る。

帰宅後、『鎌倉殿の13人』の最新話を観た。善児が死んでしまった。

8月31日

通勤電車で鬼平を読む。平蔵宛に、今夜盗賊が深川の鎌倉屋を襲うことを知らせる密告文が届く。部下と共に鎌倉屋へ向かうと、密告文通り、今まさに盗賊・伏屋の紋蔵一味が押し入っている最中であり、平蔵たちはその場で賊を捕縛できた。密告文を持ってきたのは片足をひきずった女性だったというが、一体何者なのか……。話が進むにつれ、密告者の正体は若き日の平蔵が情けをかけてやった女性・お百であり、しかもお百と紋蔵は母子であることが明らかになっていく。
紋蔵は殺しもいとわない急ぎ働きの凶賊。こういった存在は「鬼平犯科帳」では盗人のモラルに反する者たちとして、本格派の盗人よりも極悪人として描かれがちだった。しかし、今回の紋蔵は、母親への愛情を垣間見せて、本来は善性の人物なのではと思われる描写がある。急ぎ働きをするからといって必ずしも根っからの悪人ではない。心の弱さから、より残酷な方へ足を踏み外していく場合があるのだと、平蔵は考える。一見、自身の欲のためには他者の命をいとわない残忍な輩に見える急ぎ働きについても、完全な悪として描くのではなく、善悪のグレーゾーンが設けられている。このあたり、池波のスタンスはきっちり徹底されているんだな。

月末はそんなに忙しくなく、しかし月末締めのミーティングがあるので帰りは遅くなる。遅くなったついでに代官山蔦屋書店まで出かけて本をあれこれ見て、異常に押されてるっぽい『それで君の声はどこにあるんだ?』を買った。

帰宅後、匿名ラジオのイベントのアーカイブ動画を見ながらこの日記を更新する。

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