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12月7日〜11日 第14巻 『尻毛の長右衛門』

12月7日

前日、お酒を飲んで酔っ払い早めに寝たのに、深夜0時に目が覚めて、そこからなかなか二度寝できず、4時ごろにようやく入眠してしかし7時頃には起きて、かなりの絶不調。

明後日からの社員旅行に向けて下調べ。自由時間は現代美術館、熊本城に行きたい。本屋も調べたら宿泊するホテルの近くに橙書店があるらしいので寄ってみようかな。

出発は明後日だけど、明日は早く寝るつもりなので、荷造りは今日する。と言っても一泊二日なので、着替え1セットと充電器と移動中に読む本を入れるだけだが。溜まっていた日記を書き終えて、ちょっとだけもりたとLINE通話して就寝。

12月8日

気付かぬ間に、落研の同期男子陣のグループLINEの名前が「犬鳴村」になっていた。

今日は先に旅行に行ってる組がいるので、あまり会社に人はおらず、仕事もそんなになくて、粛々と一日をやり過ごした。

不毛な議論の、しずちゃん結婚報告回がよくて繰り返し聴く。山ちゃんが報告に驚くあまり語彙を失い「え!?」としか言えなくなったり、「あやしいと思ったんだよ〜」と言って出したエピソードが全然関係なくて的を外してたり、山ちゃんがテンパりながらも嬉しそうなのがいい。

帰宅後、風呂に入ってすぐ就寝。

12月9日

4時前に目が覚める。とりあえず寝過ごさなくて一安心。5時過ぎに家を出て、7時ちょっと前に羽田空港。一緒に動く会社のメンバーと合流して搭乗。飛行機に乗るのは、コロナ禍前に北海道に行った以来だな。乗っている間は辻本力『失われた”雑談”を求めて』を読み進める。

熊本空港に到着、すぐリムジンバスで中心地へ向かう。場内アナウンスを聞いていると、「テクノ団地」「味噌天神」など不思議なバス停の名称が飛び込んでくる。
桜町バスターミナルで下車。お腹が空いたので、「こむらさき」というラーメン店に入る。とんこつスープににんにくチップが入っている。これが熊本ラーメンの特徴なのかはよくわからない。
そのまま歩いて熊本市現代美術館。「PAPER:かみと現代美術」という、紙を素材にして作品を作るアーティストを特集した展示。紙自体を作るところからアプローチする人もいれば、素材として駆使する人、書籍や新聞、切手など紙製品をテーマにする人など、紙という題材一つでも色々な切り口があるものだなぁ、と興味深く観る。思いのほか空いていて意外だったが、そういえば世間は普通の平日なのだった。
熊本城に行く。城の中は歴史を解説する展示空間になっている。熊本城の防御力を紹介するタッチパネル展示があり、城の映像と足軽もキャラが出てきて、「あなたなら熊本城へどういう風に攻め込むか」を選択肢の中から選ばされるんだけど、どっちに進んでも返り討ちに遭う。

サクラマチクマモトというでかい商業施設の中のスタバで休憩。そこから歩いて橙書店に行くと、なんとその日だけ臨時休業、という張り紙がしてあった。なんというバッドタイミング。残念……となりながら、一度ホテルにチェックインしに行く。

ホテルはまぁ普通のビジネスホテルといった感じ。テレビを点けると『相棒』の再放送が流れていて、スマホの充電をしている間にぼんやりと観る。

夕方、暗くなってきてから長崎次郎書店へ。建物が大正13年に建てられたものらしく、国の登録有形文化財に指定されているとのこと。建物の外観はレトロだが、中は落ち着いた雰囲気の町の本屋さん、といった様子。すぐ前を通る路面電車の音が店内に聴こえてくるのも風情がある。店の奥にはキャンペーン中なのか、猫関連の本・雑貨だらけの一角があった。地域の作家を集めた棚もあり、目立つのは石牟礼道子の本の豊富さ。せっかくなので何か買おうと思い、『チッソは私であった』の文庫を購入。書店のロゴが入ったカバーを巻いてもらう。

夜は社員が集まっての宴会なのだが、何人かのグループで行動していたメンバーが軒並みハプニングで大幅遅刻していて、僕を含む個人行動組数人が、ぼんやり待っている時間がずいぶんあった。しばらくしてぞろぞろみんなが集まってきて、ようやく飲み始める。馬肉など郷土料理が充実したお店。翌日のことも考えて、二次会には行かずすぐに部屋に戻って、ちょっとお酒を飲んでからベッドで眠りにつく。

12月10日

今日は社員が二台の車に分かれての移動。僕は免許がないのでほとんど後ろの席でぼんやりしていた。
阿蘇山へ到着、もうすでに遠目からでも煙(湯気?)がもくもく。中岳河口に近づくと、大量の煙がどんどこ立ち昇り、それが青空に映えてものすごい迫力があった。社員の何人かは怪しいおじさんがやっている出店で「阿蘇山の石」を買っていたが、僕は買わず。

途中で道の駅「あそ望の郷くぎの」に立ち寄って昼食。あか牛の牛丼を食べる。肉が柔らかい。猿回しなども出ているし、家族が芝生でピクニックがてらのんびり過ごしていたり、まったりとした空間。310Booksというブックカフェがあって気になったが時間の制約もあり立ち寄れなかった。

途中、白糸の滝にも寄って、山の中の遊歩道を降りていくとダーッと流れる滝が現れて、大量の水があるからとにかく涼しい。少し周辺をぶらぶらしてから、もう一度駐車場に戻ると、日が差して少し暑い。

熊本空港から羽田へ。電車を乗り継いでようやく帰宅する。へとへとで郵便受けを開けると、分厚い封筒が入っていて、表には「群像」の文字。もしや、と思って開けてみると、「講談社文庫×「群像」文庫で文学キャンペーン ご当選のお知らせ」の紙と共に、群像の最新号が入っていた。A賞の「群像」1年分が当選していたのだ。旅行疲れの身に突然の吉報で、変なテンションになって小躍りする。えらいこっちゃえらいこっちゃ。

12月11日

前日までの疲れがあり午前中はぐったり。夕方から飲み会なので出かける。電車内で鬼平。元々流れ者だった盗人の半太郎は、本寸法の盗みを行なうお頭・長右衛門の手下となった。めちゃめちゃ好人物な上に、素晴らしい盗人なのに、異名が「尻毛の」なのが可笑しい。連絡役として行動するうちに、引き込み女・おすみと肉体関係になった半太郎だったが、実は長右衛門がおすみを自分の妻に迎えようと考えていたことがわかり……という話。長右衛門に合わせる顔がないと、盃を返して江戸を出ようとしたところでトラブルに巻き込まれ半太郎は死んでしまい、急に半太郎が消えた混乱もあって長右衛門一味は。呆気なく瓦解する。半太郎の父は、以前に登場した蓑火の喜之助の配下であったと語られるのだけど、「そろそろあのエピソードのあの人はこっちの一派で…」みたいな盗賊の相関図が欲しくなってきた。五郎蔵と夫婦になってもうかなり経ったおまさが、過去に平蔵に抱いた想いがふっと思い出されつつも、「(桜花は)もう、散ってしまいました」という台詞とともにまた心に仕舞い込むような終わりの余韻がよい。

15時からクラフトビール推しのお店で一次会。サークルの同期で集まっての飲み会はコロナ前以来のことで、色々近況も変わっていて、募る話で盛り上がった。全く知らない間に結婚していた人も。二次会は牡蠣中心に海鮮が美味しいお店で、牡蠣メニューをどんどん食べる。なんだか酔った同期が盛り上がって「来年はあれをやろう!」とある企画に巻き込まれそうになったのだが、あれは本当にやろうだろうか。

寝る前に少しだけ群像を読んでから就寝。

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