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7月13日〜18日 第10巻 『消えた男』

7月13日

会社の男子トイレのドアは建付けの問題なのか、以前より軽く引いただけでもバーンっと勢いよく開いて、入り口横の壁に激突してうるさかったのだけど、業者による調整が行われた結果、今度はものすごく開くのが重くなってしまった。全然ちょうどよくならない。

夜は本屋B&Bの「代わりに読む人0」刊行記念トークを配信で見る。雑誌収録順に冒頭から3名がゲストに出ていて、それがお菓子屋・物理学研究者・小説家という並びになるのがこの雑誌の強みだな。あんなに読み応えのあるテキストを書きながら、ほとんど人に読んでもらう用の文章を書いた経験がなかったという二見さんと陳さん。ほぼ一度きりだったかもしれなかったZINEでの原稿を発見し、書き手としてフックアップして、創刊する雑誌の掴みと言える位置に配置するという、友田さんの編集手腕のすごさよ。書いた文章を音読するという話や、小山田さんが小説執筆について言った「架空のことを思い出しながら書く」という表現も印象的だった。

7月14日

昼まで仕事がなく、午後から急に立て込んでくるいつものパターン。もうちょっと作業の時間帯を散らせないものかしら。

群像一年分応募用に買った島本理生『夜はおしまい』を帰りの電車で読了。帰宅後、夜は映画を見ようと思ったが眠すぎて中断、本を読もうと思ったが眠すぎて中断し、大人しく寝てしまう。

7月15日

ナツモカモさんと林家彦三さんのスペースのアーカイブがとてもよかった。落語家を廃業するにあたって「落語家という肩書き、師匠という存在は手放すことになるけど、落語自体は取り戻せると思った」というカモさんの話が印象的。

ドキュメント72時間の浅草演芸ホール回を観る。芸協の真打披露への密着だった。遠方から初めて寄席に来た人、18歳で落語家の道を選んだ青年、落研出身ながら落語家の道は選ばなかった人、家族が最近亡くなった寂しさを紛わすため寄席へ笑いに来た人など、様々な人が客席に集う様子をコンパクトにまとめた30分。落語好きの50代男性がニコニコしていててよかった。

7月16日

昼からナツノカモさんの「カモのコテン」を観に行く。新作落語のあらすじが書かれたボードが展示されていて、気になった新作落語の音源を購入できるという企画。今回は入場特典として一演目「たぬとこ」が無料配布される。狸や与太郎、床屋など、古典落語でお馴染みのキャラや舞台を組み合わせて作った新作だ。古典落語界のキャラクターでまだ出会ったことのない組み合わせを元に落語を作るというのは面白いアイデアなんだけど、カモさんによると「被るネタが多くなるので、寄席ではやりにくい噺」とのこと。たしかにその案配は難しいところだな。あらすじを読んでどういうところに落ち着くのか気になった「無人称」を購入した。

神保町へ移動。喫茶店で本を読みつつ時間を潰して、夜は『学校の怪談2』。前作と比べて少しコミカル強めなバランス。前回の用務員さんみたいな怖すぎるビジュアルは少ないものの、巨大カブトムシ・クワガタムシの部屋などクレイジーなビジュアルも多い。テケテケはCGになっていて、公開当時の感触は分からないが今となってはかなりチープに見えてしまい、前作の人形っぽいやつの方が断然キモくてよかったなと思う。塾の合宿というひと夏の出会いと友情、ニセモノでしかない男がしかし「先生」のニセモノとして生徒を救い出してしまうシーンなど、グッとくる展開もあって、キュンとくるジュブナイルものだなと思った。特に流れ的に突飛すぎる(からインパクトもあった)社交ダンスのシーンが実は……というのも琴線に触れるところ。前田亜季の「〜しちゃうぞ」というフレーズは真似したくなりますね。「コタツ出しちゃうぞ!」「お相撲さんにサインもらっちゃうぞ」「餃子作っちゃうぞ!」

帰ってから『初恋の悪魔』。坂元脚本ながら、今のところはハズレものチームによる捜査ものという感じ。主人公たちが推理する際に社会問題に結びつけたり猟奇的な方に持っていこうとしたりするのが、散々SNSで考察されまくってきた坂元自体が「考察」文化自体をキャラのカリカチュアとして取り入れた感じがある。ただ、罪と恋愛は坂元脚本の大きなテーマとして何度も扱われたところなのでまだ油断はならない。

7月17日

国立劇場の歌舞伎鑑賞教室で「紅葉狩」を観た。今回は演目の中に名刀・小烏丸が登場することもあり、刀剣乱舞とコラボしたフォトスポットがあったり、演目が鬼との対決なので「鬼滅の刃」のオープニング曲が流れたりと、若い人向けの目くばせも多め。
平維茂が戸隠山に紅葉狩りへ出かけたところ、高貴な身分の女性が侍女たちと来ているところに遭遇。宴を催すことになるが、実はその高貴な女性の正体は恐ろしい鬼女だった、という話。宴で侍女や維茂の従者が見せる踊りが見どころの舞踊劇で、1階のど真ん中の席が取れたからばっちり楽しむことができた。まだ歌舞伎をちゃんと見るのは2回目なのでいまいちピンと来てない部分もあるけど、女形の所作の美しさや踊りの時の独特な身のこなしなど、身体表現に独特な面白さがあるなぁと思った。

『鎌倉殿の13人』を観てから就寝。

7月18日

三連休だけど特にすることなく、ちょっと散歩してから昼寝。

ゲオでレンタルしてきた『学校の怪談3』を観る。街まで怪異の舞台になったことで、塾の先生や親といった学校外の大人までもが恐怖の対象になるのが、ジュブナイルホラーとして一段階パワーアップした印象。子役から前田亜季が再登場していて、ちゃんと演技が上手くなっている。

鬼平は『消えた男』。同心・佐嶋はかつての同僚・高松と再会。書き置きを残して姿をくらましたきりだった高松との遭遇に驚く佐嶋だったが、久々の再会が嬉しく、ゆっくり酒を酌み交わしてよもやま話に興じた。ところが、高松は佐嶋と別れた後、男をひとり殺害して再び行方をくらましてしまう……。
平蔵が長官に就任する前、堀帯刀が指揮をしていた時代から火付盗賊改で働いていた佐嶋と高松。堀は自身の役目にやる気がなく、高松から協力を仰がれても取り合わなかった。それが今回の事件の遠因となっている。この辺りはサラリーマンでいうところの「上司が渋るせいで、自分のプロジェクトに予算が降りない」みたいな話になちぇいて、想定している読者層への目配せでもあったのでは。結局同心から盗人になった高松を密偵として拾い上げ、その恩義に応えるべく見事に働いた高松だが、あっけなくこのエピソード内でその死までが語られてしまう。鬼平シリーズは、いいキャラがちゃんと残る時と、単話でバッサリ切られてしまう時があって、読んでいてなかなか落ち着かせてくれない。

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