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11月29日〜12月6日 第14巻 『あごひげ三十両』

11月29日

短歌ネプリ、小林さんが宣伝ツイートしてくださってありがたい限り。滑り込みで真山さんも出力してくれていた。最終的に15名くらいに出力してもらえたらしい。
通販対応で送り出した『傑作』がみーらさんに届いていて、やはり表紙をまず褒められる。これはもりたにデザイン頼んで本当に良かったところ。

11月30日

録画していた『チェンソーマン』最新話を観る。冒頭でしっかり姫野さんの身体性を描いておいて、終盤でばしばし体のパーツが消去されていく、という残酷でよくできた構成に朝から「うわぁ~」と仰け反る。

ポッドキャスト聴きながら仕事。アトロクでスーパーササダンゴマシンが『池袋ウエストゲートパーク』のプレゼンをしていて面白かった。石田衣良=現代の池波正太郎説。

Twitterは現状滅ばなかったが、マストドンのアカウントをせっかく作ったので、1トゥート分=500文字で嘘の日記を書く、というのを試しに始めてみたけど、あんまり高揚感みたいなものはなくて、長続きしなさそうだな、と思う。

『ライター入門、校正入門、ずっと入門。』を読了。ライティング・編集・校正をテーマにしたトークイベントの内容をダイジェスト的にまとめた一冊。たまたま大学の先輩と後輩がそれぞれ別の回に登壇していたのをきっかけに買った。「入門」と書いてあるが内容はより雑談に近いので、これ一冊でノウハウが学べるようなものではないけど、「落語作家」「記者ハンドブック」など話題がユニークなので、ゆるくてタメになる読み物、くらいの構えで読むと楽しいやつ。

M-1の決勝メンバーが発表されていて、とても楽しみな並び。決勝の日時を確認していなくて、あやうく予定を入れてしまうところだったが、寸前で気付いて踏みとどまった。敗者復活戦からリアタイしたい気持ち。

12月1日

Spotifyによると2021年一番聴いたアーティストは柴田聡子で、一番聴いた曲はアジカンの「雨音」。聴いた時間は63.349分で、「日本のほかのリスナーより98%以上も多く再生しています」。約1056時間。約44日間。

インボイス制度の話題で、物流業界にも打撃があるというツイートを見かけて、「うわぁ、そうか」となる。コロナ禍下の配達ニーズにより、この数年は宅配ドライバーの業務委託の求人などを例年より多く書いたが、そのあたりの人たちにも影響はあるはず。

夜は録画していた『空白』を観る。重い映画だろうと事前に覚悟はしていたが、想像を上回るどっしり感に打ちのめされる。大きな空白によって、一面的な解釈を拒んでいて落ち着かせてくれない。一応、ささやかな救いは「代弁者」によって与えられるが、当事者同士は最後まで全く分かり合えず赦しにも到達できずに終わっていくため、手放しに「よかった!」と言い切れないバランスに、作り手の手ごわさを感じる。「誰かのために」動くことで孤独から逃れようとする痛々しさを体現した寺島しのぶの怪演もすごいが、その対比的に置かれるおじさん店員のあの雰囲気とか、脇を固めるキャストも絶妙な良さ。

12月2日

今日も仕事の作業中はポッドキャストを流していて、ぺこぱのオールナイトニッポン0は、ふたりのトークのテンションはテレビと比べて穏やかなのに、「今日は一日シュウペイ三昧」なんて企画を事前の告知もなく唐突に始めるのが可笑しい。空気階段の踊り場、もぐらのご祝儀裁判回、もぐらとかたまりがぶつかり合っている様もすごかったが、元巨匠・岡野のクズ哲学の切れ味もすごかった。岡野を聴き手役にして、厭世主義の思想家とかを紹介するようなコンテンツやってくれないかな。

録画していたテレビ千鳥を観る。大悟がスープの出汁を作るため、飲食店へ食材を貰いに行く企画。関西ローカルでやっていたような企画を麻布十番でやってる。「せやねんのコーナーみたいだ、懐かしいな」と思ったら、唐突に志村けんと大悟の思い出の店が出てきて、笑いの合間にちょっとしんみりさせる緩急。その後、出汁のあまりの美味しさに爆笑する大悟の姿を、「ドリフを初めて観た時」に例えていて、一連の流れが見事だった。

笠井瑠美子編集・構成『製本と編集者』を読了。登場している編集者のうち、友田さん以外の2人はよく知らずに買ったが、読んでみると一人目の加藤木さんは、ちょうど今読んでいる『じゃむパンの日』を出しているpalmbooksの方だった。編集の仕事に至った理由や、なぜ紙の本を作るのか、といった話が三者三様に繰り広げられていて面白い。森本さんの、色んな人に会って話すことで、全ての人に伝わる本作りを目指したい、という話が印象的。

わかしょ文庫さんが『傑作』の読了ツイートをしてくれていた。

蜂谷希一『傑作』。予想していたのだけどどれも好きで、紋切り型の感傷を許さないという強い意志を感じ、柿内さんが「意地悪」と評したのはだからだろうか、と思った。(中略)「意地悪さ」と呼べるものを感じる一方で、ひとりぼっちや仲間はずれをなるべく生みたくないというムードも感じた。でも世界には孤独はあるので、どう向き合っていけばいいのでしょうか?

「意地悪さ」については、僕が短歌を作る上での基本姿勢というか、そういう切り口に持っていきがちなところがあり、これは元々の性格に加えて、題詠企画から短歌を本格的に始めたことで「お題をどういう風に見るか」を出発点として作るのが癖づいた結果だと思う。「ひとりぼっちや仲間はずれをなるべく生みたくないというムード」はたぶんここ数年で強まってきた感じがある。短歌を始めた序盤はもうちょっと短絡的に厭世的だった気もするし。独り身・一人暮らしが長く「寂しさとの折り合い」みたいなことを探る短歌もちょいちょい作ってくる中で「誰かの寂しさについて」にもリーチしたのではないか、というのは自己分析的にはあるけど、どんなもんやろか。そういえば安田短歌も序盤は安田個人の哀しみにフォーカスしていたのだけど、『シン・ゴジラ』というある種の災害的惨状において、必ずしも辛いのは安田だけではない、と、視点を広げて考えていったのだった。そのワンテーマで詠み続けたことによる影響もうっすらあるのだろうか。1首単位での感想はもらうことがあるけど、160首まとめて読んだ人からの感想というのは得難く、色々考える手がかりにもなって楽しい。

12月3日

昼前に家を出て銀座へ。銀座メゾンエルメスフォーラムで『「訪問者」クリスチャン・ヒダカ&タケシ・ムラタ展』を観る。クリスチャン・ヒダカは展示空間と絵画による騙し絵的な表現、タケシ・ムラタはデジタル性を押し出した人工的な表現が特徴で、作風は全然違うんだけど、なんだか現実がぐわんぐわん揺らぐ感触には共通性も感じた。タケシ・ムラタの犬のキャラクター「ラリー」の映像は、CGのようなゴムのような液体のような気味の悪い質感がぶよんぶよん歩いたりダンクシュートを決めたりしていて、見ていてクセになる感じ。

今日はセンケイさんと山本さんとお茶をすることになっていて、先にセンケイさんと合流。伊藤屋のカフェに行こうという話になっていたのだが、結構混んでいて断念する。カフェは建物の12階にあって、エレベーターがなかなか来てくれないので階段を使って降りようとするも、11階より下はふさがっていた。11階はレタスやら何やら野菜を栽培しているフロアになっていて、ここで育てたものが真上で食べられているらしい。エレベーターがようやく来たので1階へ。
仕事の用事で遅れていた山本さんと合流して、ふらふらあちこち歩いて、仏蘭西屋に入る。僕は腹ペコだったのでオムライスのオーブン焼き、センケイさんと山本さんはケーキやワッフルを頼んでいた。文フリの話やここ最近の近況などあれこれ喋って2時間ほど。

解散後、銀座一丁目駅から有楽町線に乗って、飯田橋に降りて、ギンレイホールに立ち寄る。閉館した旨を知らせる貼り紙がある。結局、閉館前にもう一度映画を観にくることはできなかったな。外観の写真を撮っておく。そのまま神楽坂→早稲田→高田馬場を歩いて巡り、本屋をいくつか覗いてから帰宅。

12月4日

久々に六本木へ。ブックファーストがあった場所がすしざんまいになっていて驚く。幸楽苑も以前来た時に閉店していて寂しかったなぁ。

森美術館の「六本木クロッシング2022展:往来オーライ!」を観にいく。まだ始まったばかりだから混んでるかな、と思ったが、思ったよりスムーズに回れた。同じフロアの「冨樫義博展」は混んでたっぽい。
六本木クロッシングは毎回、いろんなアーティストの作品を観ることができて楽しい。今回は往来がテーマなので、歴史や文化の異なる他者との交流をテーマに捉えたような作品が多かった。今日は時間的に余裕があったので、映像作品もじっくり観られた。キュンチョメ(性別・名前を変えたトランスジェンダーの人々へのインタビュー映像作品)、AKI INOMATA(ビーバーが削った木材を手本にした彫刻)、横山奈美(知人が書いた「LOVE」の筆跡通りの巨大なネオンサインを作り、それを油彩で描く)、竹内公太(福島県の既刊困難区域出の警備員経験を元に、光る誘導棒の軌跡で作ったフォント)などが印象に残った。

ぷらぷらと六本木から代官山へ歩いて蔦屋書店。そこから更に渋谷まで歩いて帰宅。「怪奇!YesどんぐりRPGのオールナイトニッポンポッドキャスト」が、以前やっていた「ラジオばあちゃんの踊り場の間ん家のうさぎ」のノリを持ち込んでいて楽しい。それにしてもタイトルが長い。どんぐりたけしの「ちがうちがう」を何度も聴く。

帰りの電車で「じゃむパンの日」を読み終え。エッセイも異様だが、岸本佐知子との交換日記もどんどん明後日の向こうへと発想が飛んで行ってすごい。岸本佐知子のエッセイは評判を知りつつまだ手を出せてなかったのだが、早々に読まなければ。

帰宅後、鎌倉殿。政子が妹を救うため尼将軍になった。

12月5日

シャツに染みができているのを気付かずに職場に来てしまい、ちょっともうテンションが低め。
午前中は暇だったんだけど、夕方あたりから大ボリュームの案件がぶん投げられてきて、こっちでスケジュールとか進め方考えなければいけない感じなのがストレス。作業中に、久々に今年3月にやったラテさんへのインタビューツイキャスを聴き直して、久々だけどちゃんと面白いな、と思う。ラテさん今年も激動だったっぽいので、また来年3月も話を聴かねば。

帰宅後、だらだらしてたら深夜。もう、エルピスは録画が溜まる一方で、全然ついていけていない。

12月6日

通勤で鬼平。今回は盗人が登場しない珍しい回。部下の不祥事により、謹慎を命じられた平蔵のもとへ、左馬之助が訪れる。シリーズ序盤は結構な頻度で出てきていた左馬だけど、結婚してからは登場頻度が少ないので寂しい。左馬之助は、かつて通っていた道場の先輩、野崎勘兵衛を見かけたと、平蔵に話す。元々温厚な男だった勘兵衛は女に入れ上げ、妻子を残して失踪したはずだったが、どうやら江戸に戻ってきて貧しい暮らしをしているらしい。気になった平蔵は、おまさに頼んで勘兵衛の様子を探りに行かせると……、という話。
勘兵衛の長く伸びた立派な顎髭を巡りひと騒動。堀田摂津守の家来たちが「能に使う翁の面に、勘兵衛の髭を使わせてほしい」とやってくる。タイトル通り、三十両をもらえると言われた勘兵衛は了承。しかし、摂津守の家来たちは痛がる勘兵衛を押さえつけ、無理矢理に髭を一本ずつ抜いていくという所業に出る。顎髭の売買というと少しユーモラスな話だが、貧富の差の対比もあって読んでいてキリキリと胸が痛む。最後には平蔵達が助けに入って一件落着。だが、勘兵衛が弱々しくなってしまった原因には、平蔵・左馬が過去にやむを得ず勘兵衛に切りつけた傷の影響もあるだろうことが示され、うっすらビターなテイストもある。

もう一人のライターさんが体調不良で急なお休みになり、大ボリューム案件がどうなるか不安だったが、それ以外の案件がほぼ入ってこなかったので、粛々と進めて予定よりも捗った。

途中、会社で受けたストレス・性格診断の結果説明面談がZOOMであり、カウンセラーの人と繋ぐが、こちらからのマイクの音声がどうしても入らず、向こうの説明を聞くばかりだった。性格診断によると、「他人の感情を感じ取る共感性は高いが、他人のために何かをしようとする他愛には乏しい」とのこと。受信専門か。

帰宅後、スーパーで買ってきた海老シュウマイとシャウエッセンを炒めて食べつつ、レモンサワーを飲んだら一缶で思った以上に酔ってしまって、21時前に寝ることにした。で、パッと目が覚めたら0時。

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