見出し画像

4月6日〜12日 第8巻 『あきらめきれずに』

4月6日

最近はなんだか、うっすら仕事中はピリピリしている。特に意味もなく。うーむ。気晴らしも兼ねて、真山さんが猛プッシュしていた最果タヒ『もぐ∞』の文庫版を買った。

エルフってギャル芸人なのにコンビ名はファンタジーっぽいな、という話から、「エルフ荒川って字面だけだとルシファー吉岡の類似芸人だな」となり、延々とファンタジーっぽい芸人の名前を探して、あちこちの芸能事務所のホームページの所属タレント欄を眺めていた。吉本のタレント一覧は名前順で大量の芸人が並んでいるので、無名芸人の並びの中からいきなり有名芸人が出てきて、その落差によって、ずっと見ているとクラクラする。

4月7日

フワちゃんもぺこぱもANN0はほぼ放送内容をフルでPodcast配信してくれるらしく、もう完全に毎日聴きこなせる量を超えてきている。フワちゃんのANN0を初めてまとめて聴いたんだけど、ものすごいテンションで突っ走り、うっかり口走った失言を自分でフォローしようとして墓穴にはまっていったり、大暴れな様子をずっとニヤニヤしながら聴いた。逆にぺこぱはコーナーでテンション高くなるところはあるが基本的に安定感があってゆったり聴ける感じ。

家に帰って、ぼんやりテレビを眺めていると、千鳥のクセすごがもう全然ネタに割いている時間が少なくなっていて、千鳥のツッコミ任せに比重を番組になっていた。どうにも、クセがすごい芸人より制作側の意図の方が透けて見えている感じがつらいなぁ。

『ウラモノ芸人ダイアリー』で、タイムマシーン3号が「漫才作らなきゃいけないんだけど、有吉の壁に向けたアイデア出しやったばかりだから、今日はもう何も出てこない」という話をしていて、そういう番組の方が信頼感増すんだよな……。

4月8日

『雑談・オブ・ザ・デッド』の表紙データが柿内さんからやってくる。なんかちょっと前まで文字起こし大変だなぁなんて言っていたのに、もうかなり形になってきていて、「本当に本になるんだなぁ〜」とは思っているが、これはやはりちゃんと物になってからの方がもっと興奮するんだろうな。

一方、歌集は部数と価格をどうしようかなぁ、と悩んでいるところ。色々と他の人のケースを聞いているんだけど、どれくらいハケるのかあんまりピンとこない。短歌界隈でそこまで交友関係あったりはしないので、ちょろっと売れたらいいかなぁ、くらいでいるのだけど。

4月9日

朝のうちにぷらっと代官山蔦屋を覗いてから、昼に渋谷へ。最近始まったジャンプの落語漫画『あかね噺』について、「落語について詳しい人に解説してほしい」とじゃがしまさんに言われて、カラオケ店の個室に入って一曲も歌わずひたすら漫画を電子版で読み進めながら落語の話をする、というやつをやった。3時間ずっと落語の話。『あかね噺』は落語漫画として、現状けっこうよくできているなぁ、と思う一方、落語の評価軸が演技力に偏りすぎているな、とも思う。一見ヘタっぽくても爆笑を起こすタイプの落語家さんもいて、そういうのも「あり」として許容している部分が落語にはあるので、その広さも今後描かれていくとよいなぁと思う。

で、夕方からはじゃがしまさんを連れて渋谷らくごへ。じゃがしまさんは落語を生で観るのは初めてだったらしい。笑二さん、文菊師匠、いちかさん、正蔵師匠という座組み。特に文菊師匠の「千早ふる」がめちゃくちゃ面白かった。キザキャラな雰囲気のマクラから、ぬるっとしているようでメリハリの効いた語り口で爆笑してしまう。話を聞きにくる江戸っ子の方のトーンを張りすぎない案配も笑いに繋がっていてすごい。文菊師匠はもっと他のネタも聴きたいなぁ。初見だったいちかさんも、芯の通った語り口で華もあり、グッと引き込まれた。

よくよく考えれば、カラオケではお茶一杯しか飲まず、そのまま何も食べずにシブラク直行だったので、ガストに寄って夕食。落語漬けの1日でほんのり二人とも疲弊していてまったり「面白かったですね〜」などと言いながらご飯を食べて、解散。

久々に落語のことをたくさん喋ったので、ヘロヘロで帰ってすぐに寝る。

4月10日

外がもう暑くて、初夏じゃないか、となる。

昼前に下北沢のボーナストラックの日記祭へ行く。最初に武塙さんのブースへ。ご挨拶をしたら、武塙さんが「その声は……!」みたいな反応だったので、ラジオスターになったような気分だ。武塙さんとは初対面だけど、この1年半分の日記を読んできたこともあり、全然初めてお会いした気がせず、なんだか二人でウキウキ話していた。一方、ユークさんについては、武塙さんの書く文の中の、武塙さんから見たユークさんしか知らなかったので、本の中の登場人物が飛び出してきてそこにいるかのような不思議な感触だった。

武塙さんが「雑談・オブ・ザ・デッドをもっと聴きたい」とツイートしてくれたおかげで、一回きりのゲストだったはずの僕は、柿内さんと共にゾンビ対談ZINEの共著者となり、文学フリマに参加することを決めた。腰が重い僕のことだから、もしZINEへの参加がなかったら、自分の歌集についても「そのうち文フリ出したいな〜」とか言って結局やらなかった可能性がある。そういう意味で、僕がなんとか自分の歌集作りへ着手できたそのきっかけの何%かには武塙さんのツイートもたしかに含まれているのだった。

武塙さんの日記最新刊を購入して、柿内さんののブースへ。歌集の試し刷りを渡す。柿内さんにはすでに歌集の原稿PDFを送っていて、それを途中まで読んだ感想を聞いたのだけど、「そうですよねー、性格バレますよねー」という感じでニヤリとした。自分の作ったものには、自分が出てしまうものだな。

テイクアウトのレモンサワーを片手に、柿内さんとfuzkue阿久津さんのトークイベントを聴く。窓際に座ったら、日差しがぽかぽかして、酔いも回ってきていい気分。

トークの中では、「日記を人に公開する理由」として、「人に見せる前提で書くと、歯止めが効く」という話をしていたのが面白かった。誰にも見せない日記はいくらでも深く深く内面を覗いていけてしまうので、ダウナーに落ち込みがちだ。それはあまりに辛い。人に見せる前提にすることで、深みに入る前に引き返すことができる。「最低限の身だしなみ」を整えることで、自分にとっても読んで楽しいテキストへと向かえる。

下北沢のいくつかの本屋を回遊して、井の頭線に乗って吉祥寺に出て、さらに百年・防破堤を覗いたら歩いて三鷹へ。水中書店・りんてん舎を見て、電車に乗って東西線直通で今度は九段下へ。そこから神保町の三省堂書店に行って、岡野大嗣の選書をチェック。歩いて飯田橋へ行き、BOOKOFFも見てから、電車に乗って帰宅する。一日、歩き倒した。

4月11日

会社の先月の社内目標が達成されたので、報奨としてギフト券5000円分もらった。また本に溶けそう。

なんだかこまごまとした仕事が立て込んで、それをこなしていたら一日が終わった。帰って溜まっていた日記を書き進めたり、歌稿の準備をしたり諸々作業を進めて、寝てしまう。

4月12日

朝、録画していた桂宮治師匠の『情熱大陸』を観る。徹底してパワフルなイメージが全く変わらない一方、カラオケの鉄人の個室で、耳栓をしたまま書き起こした台本を唱えて覚えていくシーンが新鮮だった。

通勤電車で鬼平を読む。かつての道場での剣友である小野田から、娘・お静との縁談を持ちかけられた左馬はまんざらでもない様子。平蔵は左馬の付き添いで小野田父娘に会いに行くが、その道中、お静が別の男と身を寄せ合って話している様子を目撃してしまう……。話の引っ張りとしては「お静が会っていた男の正体は……?」「お静も悪女なのでは……?」というところ。男の正体はお静の元夫で、盗賊の親分でもあり、お静は彼の正体を知って恐ろしくなり逃げてきていたのだった。出先でも、盗賊を捕まえるための指示出しが的確すぎる平蔵の活躍もあって、賊は捕らえることができて、とお決まりの流れなんだけど、最期の数行で左馬とお静が無事に夫婦になったことがさらっと書かれて驚く。こういうレギュラーキャラってなんだかんだ言って、ステータスはそんなに変わらないものじゃないの!? せめて結婚するなら、何話かにわたって登場してしっかり関係性が描かれた女性キャラとではないの!? と結構戸惑ってしまった。
あやのさんにこの件を話したら、「それこそ、推しが知らん女と結婚した時の感情だよ」と言われた。

「ナインティナインのオールナイトニッポン」もポッドキャスト配信が始まったので聴く。まともに聴くのは初めて。思っていたよりもかなりローなテンションの会話だ。岡村さんに子どもができた話で、矢部さんが「実は全部妄想なのでは」という方向に持って行ったときに、「妄想ちゃうわ!」ではなく「もう俺にもわからへんねん」と乗っかっていたのが面白かった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?