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1月11日〜15日 第16巻 『白根の万左衛門』

1月11日

山本さんが文藝の仕事をしていて、住本さんは文學界で新人小説月評を書いていて、僕は群像を読んでいる。住本さんの月評という仕事も大変そうである。群像一年分の一年を住本さんが読んでくれているそうで、しかし僕はもう1月号の感想すらまだ書ききれてないし、2月号からは全部言及するのはやめることにしたのだった。

仕事の作業中に先日の自分のスペースの録音を聴き直す。一人喋りだと「要するに」と言いがちで、しかも全然要せていない。
西田さんが「笑福亭羽光越後道中記」を読んでて、かなり面白がってくれててレコメンドしてよかったなと思う。面白かったものはちゃんと、「面白い」と言っていくことが大切。

夜は録画してた三宅唱監督『ワイルドツアー』を観た。初恋と失恋を経て、世界を捉える新しい目(カメラ)を手に入れる、というような。

1月12日

群像1月号、収録作では最もボリュームがあった木村紅美『夜のだれかの岸辺』を読み終えて、大きな峠を越えたような感触。

仕事は年を越してからも忙しいペースが続いていて、これは何か潮目が変わったのかもしれない。

OLさんと石川さんがTwitterでやりとりしていて、「その2人はいつの間に繋がっていたの?」と驚いたら、以前も同じことで驚いてたと指摘された。もうどのフォロワーが面識あるのか、全く把握できてない。

1月13日

結局金曜日も仕事が忙しかった。睡眠不足も重なって(変な時間に目が覚める)、ヘトヘトの一日。
メールが来て、機種変で申し込んだスマホが明日の夜には届きそうとのことだったので、帰宅後は諸々のアプリの引き継ぎ手順などを確認する。

気晴らしに、録画していた中から『生きちゃった』を観たら思ったより悲惨で出てくる人みんな不幸みたいな話だったので(特に大島優子)ぐったり。

1月14日

昼から久々に南森町さんの2.5次元演劇を観る企画で「MANKAI STAGE『A3!』~SUMMER 2019~」を観た。『A3!』を観るのは3本目なので、独自の構成などにはだいぶ慣れてきた。メディアを介して意図と異なる形でメッセージが届いてしまう展開が好きなので、テープレコーダーと演劇を通じて、祖父の意思が孫へ、そしてその弟へと繋がっていくストーリーが好みだった。

夜にスマホが届いたのでMNP転入とアプリの各種引き継ぎ作業。「このアプリのログインパスワードなんだっけ?」という事態が頻発しながらも、概ねスムーズに済んだ。

1月15日

朝から渋谷へ行って、渋谷らくごのはやおきらくごへ。個人的に気になってた桂蝶の治さんを観れてよかった。まだ二つ目になったばかりで、あの間とあの口調というスタイルを選択しているの面白いな。今回は「やかん」というやり取りメインのネタだったけど、もうちょっとあちこちにストーリーが動くような噺ではどういうふうにしているのか気になる。他のネタも観たい。新作しか観たことなかった信楽さんの古典「締め込み」も観れてよかった。

鬼平を帰りの電車で読み終える。平河天満宮へやってきた平蔵と忠吾。そこで偶然利平治と会い、すぐ近くにいる男女が白根の万左衛門という盗人の手下と、万左衛門の娘だと報告を受けた。忠吾と利平治に二人を尾行させる。一方、万左衛門は盗人宿として使っている筆師の家の二階で病に臥せっていて……。結婚して最近は仕事でも優秀だった忠吾だが、今回は惚気がすぎるあまり平蔵に大目玉を食らっていて、最近の活躍が台無し。ちょっと忠吾が優秀になりすぎているから、バランスを取ったのかしら、と勘繰る。万左衛門のパートは、娘や手下が遺産を狙って思惑を巡らせる展開になる。万左衛門の元妻にしろ娘にしろ、「欲深い女は殺される」という話になっていて、「関わり合っていると後が怖い」と男側は言うわけだけど、結局は自分のために女を殺すのを相手側に非があるふうにしたいだけだよなーと思いつつ読む。

帰宅後、ちょっと昼食を食べ過ぎたこともあって、区営プールに久々に行ってしばらく泳ぎながら、「締め込み」のことを考えていた。基本的には「泥棒が残した風呂敷包みによって騒動が持ち上がり、それを泥棒本人が仲裁し、なぜか感謝までされてしまう」というプロットが面白い系の噺ではあるが、そこで巻き起こる騒動=夫婦喧嘩が、痴話喧嘩レベルの話でなく、かなりシリアスだ。相手へ一方的に好意を抱き、脅迫めいたことをしてまで夫婦になった夫。妻から好意を得ぬまま夫婦になった彼にとってみれば、「妻が男を作って駆け落ちをする」という想像には、ものすごくリアリティがあったに違いない。夫婦喧嘩の中で妻が口にする経緯からは、「必ず妻を幸せにして、自分が家のことも全てやる」とまで言い張ってた夫が、結局は家父長制的なジェンダーロールに回収されて、家のことは妻に任せっきりである、という夫婦関係の核心に迫った痛い指摘もなされる。この後、泥棒が飛び出して仲裁というイレギュラーな展開によって事なきを得ているけど、夫の不安も妻の不満も曝け出した後ですんなり元鞘に戻れるのだろうか。そこでふと思ったのが、泥棒が床の下から飛び出してくる展開について。夫婦関係の”底”に流れていたわだかまりが全て露わになった結果、夫婦の部屋の”底”から泥棒が飛び出したのだとすれば、部屋の中に泥棒がいるから外から心張棒、というオチは、戸締りがあべこべになる滑稽味に加えて、夫婦喧嘩によって露呈した夫婦間のわだかまりは、外へ持ち出さずに二人の中だけで閉じ込めておくことにした、という意味もあるんじゃなかろうか……。そんなことをつらつらと考えながら平泳ぎ。

帰宅後、軽い筋トレしたり、この日記を書いたりして過ごす。

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