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懲役ダイアリー番外編『元特殊詐欺主犯がルフィ強盗事件について思うこと』

2023年1月19日最悪のニュースが日本を震撼させた。

東京都狛江市の住宅での高齢者宅で起きた強盗殺人事件。

指示役の人物は「ルフィ」と名乗り、SNSを駆使し闇バイト募集で集めた、トカゲの尻尾切りの要員を集め強盗を示唆した。

犯人は捕まらないと心底思っていたはずだ。
実際に俺自身も特殊詐欺容疑で逮捕されるとは心にも思っていなかった。
しかし、心の中ではどこか不安もあった。
来る日も来る日も、後ろから誰かに尾行されていないか、自宅や詐欺をしていた事務所の周囲に不審な車が止まっていないか。
車が止まっていたら、すぐさま車内の人数を隠れてコソコソと確認し、助手席と運転席に二人座っていた場合は特に警戒心を強めたり、時間を空けて車がいなくなるのを確認するまで事務所に入らなかったりした。

渡辺優樹(38)、小島智信(45)、今村磨人(38)、藤田聖也(38)
今回逮捕された4人の容疑者。
俺みたいな考えは微塵も心になかったのだろうと思う。
なぜなら海外にいるから安心だ。
テレグラムという匿名性の高いアプリや他人名義のスマホを使用。
強盗メンバーは闇バイトで集めたごみ扱い同然のただの逮捕要員。
自分たちのところまで追ってくるなんて少しも考えなかったはずだ。

現在関与が疑われている事件はこの15件

・京都市中京区 2022年5月2日 貴金属店強盗
・東京都稲城市 2022年10月20日 強盗致傷
・山口県岩国市 2022年11月7日 強盗未遂
・東京都中野区 2022年12月5日 強盗致傷
・東京都渋谷区 2022年12月16日 建造物侵入 窃盗
・広島県広島市西区 2022年12月21日 強盗殺人未遂
・神奈川県川崎市宮前区 2023年1月9日 強盗致傷
・千葉県市川市 2023年1月9日 強盗致傷
・栃木県足利市 2023年1月10日 強盗致傷
・埼玉県さいたま市西区 2023年1月12日 強盗致傷
・千葉県大網白里市 2023年1月12日 強盗致傷
・茨城県龍ケ崎市 2023年1月14日 強盗致傷
・茨城県つくば市 2023年1月14日 強盗致傷
・東京都狛江市 2023年1月19日 強盗殺人
・広島県呉市 2023年1月24日 強盗致傷

今から裁判までの時間は恐らく1年から1年半はかかるだろう。
裁判員裁判で極刑が言い渡される可能性が高い。

この中のとある容疑者が「死刑になるのが怖い」と漏らしていたらしい。
被告人は控訴、上告をすることが予想されるが、当然棄却される。

自分の犯した罪の大きさに後悔をしてももう手遅れ。
拘置所の独居房でほぼ誰とも話せずに、ひたすら自分と向き合う人生を送らなくてはならなくなるだろう。

俺が東京拘置所に拘留されていた時の一日のスケジュールはこうだった。
07:00 起床
07:15 点呼
07:30 朝食
自由時間
11:50 昼食
自由時間
16:20 夕食
16:40 点呼
17:00 仮就寝又は自由時間
21:00 就寝

死刑囚は死をもって刑が執行された事となるので、懲役とは違い刑の執行までは未決囚扱い。
だから俺が東京拘置所で過ごしたスケジュールとほぼ同じになる。

俺は東京拘置所で過ごしていた時に、もし自分が死刑囚だったらどう思うかということを考えた事がある。

独房のドアの向こうから聞こえる刑務官のコツコツという足音・・・。
これは死へのカウントダウンを表すかのような秒針の音に聞こえる。

朝、「ガチャガチャ、バンっ」と大きな音を立てながら、突然独居房の扉が開き、目の前に刑務官が威圧的に声をかけてくる。
食べた朝食内臓から込み上げてくるくらい、物凄くびっくりする。
俺の場合は面会だったが、死刑囚にとってはお迎えがやってきたかのように映るだろう。

死刑とは死をもって刑を終えるが、その終える瞬間までの恐怖が刑なのかなとも拘置所で過ごしていた時に考えた。

今回の事件の犯人たちはこのような思いを持ちながら最期を遂げていくのだろうか。

もしくは、拘置所で何かに気づき内省し、本気で罪を償いたいと考えながら最期の時を迎えるのだろうか。

それは本人たちにしかわからないこと。

被害者の方々のことを思うと、俺は後者であって欲しいと願う。

刑の執行まで更生しながら刑を全うしてもらいたい。

そうではないと被害者の方々がいたたまれない。


ここ最近、メディアで犯罪撲滅についてお話させて頂く機会が増えた。
元詐欺師がメディアに出るななどとの意見もあるが、手口などを生々しく自分の当時の経験や考えを皆様伝えることで、俺は犯罪撲滅に繋がると考える。次回はこのノートで詐欺のの手口を紹介しようと思う。



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