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基礎研究ってなんだろう?

基礎研究を辞書で調べてみると、

特別な応用・用途を直接に考慮することなく自然世界を追究し、仮説・理論の形成や新しい自然認識を得るために行われる理論的・実験的研究。
                           デジタル大辞泉

と書いてあります。他の辞書では、別の意味が含まれている場合がありますが、私の考えは上記に近く、研究結果が直接的に応用されることや、ある目的に貢献することを前提としないで、研究者の知的好奇心に基づいて自然界の未知な現象を解明する研究だと考えています。
 近年はノーベル賞を受賞した大隈良典氏が、日本の研究における基礎研究の競争力の低下を懸念し、その重要性を喧伝しています。では、なぜ基礎研究は重要なのでしょうか?基礎研究の成果は直接的に社会に還元されるものではありませんが、間接的に私たちの社会生活に貢献する可能性は十分にあるでしょう。このような多くの可能性が積みあがることで応用研究を行うための基礎ができます。例えば、iPS細胞の発見はそれこそ多くの基礎研究の成果(カエルのクローン胚研究やマウスのES細胞の研究など)結晶であると言えます。可能性という点で見れば、今すぐに役には立たないけれども、数年後、数十年後に役に立つときが来るのかもしれません。つまり、下図にあるように、研究というものを社会貢献という視点から大きく3つに分けると、基礎研究、応用研究、実用化研究になり、それらは基礎研究を土台としたピラミッドをなしています。どんなものでもそうですが、ピラミッドの裾野が広いほうが先端は高く大きくなります。だからこそ、基礎研究は重要であり、未来に向けた大切な資源であると考えます。

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 しかし、現状では基礎研究は、地味でつまらない、役に立たないものだと認識され、無駄な研究であると考えられている様に感じます。皆さんに、もっと関心を持ってもらい、少しでも基礎研究の裾野を広げるためには、基礎研究の面白さを社会に発信する必要があります。生物系基礎研究の元研究者として、その役割を少しでも担えたらと思い、サイト開設しました。
本サイトでは基本的に日本の基礎研究論文を4コマ漫画として紹介するとともに、論文の日本語訳に補足や解説を足していきたいと思います。


よろしくお願いします。