“博物館標本から深海生物キヌガサモヅルの新種を発見する“を支援しました。

学術系クラウドファンディングサイトのexperimentに掲載されているこのプロジェクトを支援しました。
プロジェクトの詳細はココです。

このプロジェクトは、棘皮動物のクモヒトデの仲間であるキヌガサモヅルの新種を海外の博物館の標本の中から発見することです。
クモヒトデとはという方にイラストを書いてみました。

プロジェクトの内容について詳しいことはサイトにありますので、このプロジェクトの立案者を見ていきます。

立案者は岡西政典 特任教授。
現在の所属は東京大学三崎臨海実験所です。
個人のサイト チームてづるもづる があります。こちらのサイトにはもっと詳しく経歴が載っています。ずっとクモヒトデを研究対象にされているようで、生態や行動、形態、分類と幅広く研究されています。こちらでクモヒトデのテヅルモヅルについて説明があります

2014年には日本の学術系クラウドファンディングサイトacademistで” 深海生物テヅルモヅルの分類学的研究”というプロジェクト“を成功させています。このときの成果の一部が論文として発表されています。

2017, ZooKeys
Non-destructive morphological observations of the fleshy brittle star, Asteronyx loveni using micro-computed tomography (Echinodermata, Ophiuroidea, Euryalida)
X線マイクロトモグラフィによる新鮮なキヌガサモヅルの非破壊的形態観察
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5523172/

論文の謝辞を見ると

Financial support was also obtained from xxx…, via ‘academist’, crowd funding site for scientific research.


とあり、支援者の名前(xxxの所)が載っています。
また、academistのプロジェクトはキヌガサモヅルの新種を発見することでした。新種については2018年に論文が発表されています。

2018, Zoological Anzeiger
A new cryptic species of Asteronyx Müller and Troschel, 1842 (Echinodermata: Ophiuroidea), based on molecular phylogeny and morphology, from off Pacific Coast of Japan
日本の太平洋沿岸から、分子系統と形態に基づいて、新しいキヌガサモヅル属を発見した
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0044523118300263

残念ながら、こちらの論文は有料のため謝辞を読むことは出来ませんでしたが、2017年の論文と同じように支援者の名前が載っていることでしょう。

今回のプロジェクトは日本以外にある標本から新種を探すプロジェクトになります。これまでの結果から、新種を発見する可能性は高いかと思います。academistとは違い、experimentでは支援者へのリターンがほとんどありません。他のプロジェクトを見るとリターンが設定されていないことが多いようです。このプロジェクトでは20ドルで「特別モヅル感謝状」、200ドルで論文の謝辞へお名前の掲載となっています。もちろん、研究の進捗報告はどなたでもあるようです。

プロジェクトが成立した際には、研究の進捗報告について公開できる範囲でしていきたいと思います。


よろしくお願いします。