読んだ観た聴いたもの感想もっとざっくり書く 2022年1-6月

サボりにサボってこうなってしまったけど、とりあえずの記録として。上半期分。

▼マンガ
・『午前2時まで君のもの 上・下』(奥田枠)
こういう作品が、BLをふだん読まないマンガ好きに発見されないままになることがとても惜しいと思う。
映像化してもよさそうな、とても良質で巧みなドラマ。

・『ジェリコー』(中原たか穂)
西洋美術へのふわっとした興味が持続していることもあり面白く読んだ。
ダ・ヴィンチでの連載だったそうで、面白いことできる媒体で羨ましい。

・『ケーキの切れない非行少年たち』(鈴木マサカズ、宮口幸治)
新書の内容をストーリー化しているのではなく、書き下ろしのシナリオであることを知らなかった。
作画とのマッチングがとても良い例。

・『ヴィリ』(山岸凉子)
電書解禁ありがたいなあ…。『テレプシコーラ』の頃に話題になってはいたけど読めていなかったやつ。
カテゴリとしては『テレプシコーラ』と同じ枠ながら、さすが、のひとことでした。

・『怪獣になったゲイ』(ミナモトカズキ)
ずっと気にはなっていた作品。コミティアで著者ご本人から、同人誌と一緒に購入。
着地点に思うところがないではないが、意義深い作品であると思う。

・『千年の翼、百年の夢』(谷口ジロー)
世田谷文学館の展示を見て、手ぶらでは帰れず購入。
西洋美術への関心をここでまた補強された。

・『ジーンブライド』(高野ひと深)
あまりよくないかたちで話題になっていたときは、それもあってスルーしてしまっていたが、いずれ読もうとは思っていた。
この先生だなあ…!という面白さには満ちているが、同時にものすごく、それこそ暴力的なほどの道徳観にも満ちていて、少しつらい。

・『劇光仮面』(山口貴由)
特撮美術、いわゆる「ガワ」に特化した大学のサークル仲間、メンバーの死をきっかけに紡がれ始める物語。とにかく特撮へのリスペクトがものすごい。主要キャラクターの中に「真っ当な大人」になれている人物がいるところが、過去の山口作品とは違うなあと思う。(『衛府の七忍』は読めていないのですが)

・『これ描いて死ね』(とよ田みのる)
とよ田先生の漫画家マンガが面白くないわけないんだよな~~~ということがわかっていたのでなんとなく悔しくて(?)刊行後少し経ってから読んだのだけど果たしてとてもよい。各話タイトルに「来るべき世界」「ロストワールド」とかあってニヤニヤしてしまうな。

▼書籍
・『欲望会議 性とポリコレの哲学』(千葉 雅也,二村 ヒトシ,柴田 英里)
性表現にまつわる仕事をするようになって2年が経ち、いろいろと思うところがありなんとなく手に取った。結論は自分の中でも出ない。けれど、突っ込んで考える余地のある事柄であることを再認識できた。

・『推しエコノミー 「仮想一等地」が変えるエンタメの未来』(中山淳雄)
自分が携わっている範囲では今のところあまり参考になる話ではなかったかも…と思いつつ、でも、こういうことを射程圏内に入れて考えうるようでなければ、これからのエンタメビジネスは成立しないのかもしれない、とも思った。ここで観測されているようないわゆる「オタク的な」消費がされないようでは、もうこれからは難しいのではないだろうか、と。

・『この30年の小説、ぜんぶ 読んでしゃべって社会が見えた』(高橋源一郎、斎藤美奈子)
小説(純文学)を積極的に気にするようになったのはこれを読んだのがきっかけだったかも。

・『自閉症は津軽弁を話さない 自閉スペクトラム症のことばの謎を読み解く』(松本敏治)
バズってて気になっていた本。読みものとして面白かった。発達障害領域の研究はいつも興味深い。

▼小説
・『こちらあみ子』(今村夏子)
・『浮遊霊ブラジル』(津村記久子)
・『生命式』(村田沙耶香)

何億周遅れなのかという感じだが、昨今はおもしろい女性作家が多いなあ…!と認識した期間だった。昔は女性作家の作品って恋愛がテーマのものばっかりというイメージがあったけど、実際はそんなことなかったのかな、どうなのだろう。上記の3人と松田青子さんが今フェイバリットです。居心地悪く生きている女性の小説もっと読みたい。

▼映画
・『世界で一番美しい少年』
『エロイカより愛をこめて』の伯爵の幼少期まんま…な美少年が被った、目を覆いたくなるような仕打ち。どんな感情になればいいのやら…という感じだったが、でも、美しかったなあ…。

・『ドント・ルック・アップ』
『箱舟はいっぱい』みたいだな~と思いながら観ていて、オチで「くあ~~おもしれ~~!」と思わず声が出てしまった。ネトフリオリジナル映画を観たの、この作品が初めてだったかも。

・『コーダ あいのうた』
良い作品だったけど、個人的には予想の範囲を上回りはしなかったかな。でも良い作品でした。

・『子供はわかってあげない』
良い実写化。すべての登場人物がイメージ通りだったし、原作のいちばんの魅力ともいえる、「言葉にできない感情の機微」をみごとに表現してくれた役者さんたちもすばらしかった。

・『我々の父親』
これもバズってたのきっかけで観たんだった。心底ゾッとするドキュメンタリー。

・『トップガン:マーヴェリック』
こういう劇場で観なければ意味がない作品は観たくなってしまうね。リアルタイム世代の方ほどにはきっと楽しめていなかっただろうけれど、シビれるかっこよさを堪能しました。

・『犬王』
アヴちゃんがめちゃくちゃよい芝居をしていた。というより、アヴちゃんのためのキャラクターであるかのようだった。笑ってしまうほどめちゃくちゃロックで、でもこれは架空の歴史だからそういうこともあったかもしれない。というところも面白かったな。

・『ハケンアニメ!』
エンタメ産業の端っこに携わる者としてグサグサに刺された。大手には、目先の数字を追わずに芯の太い作品づくりをしてほしいよね。目先の数字を追うことでしか生きられない小さき者たちのためにも…。(そんなことがテーマではない)

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