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時代が服を作る

時代の進化と共に変わって様々な物が今の時代に合った物へと変化してきた。私は洋服屋なので洋服に関連したそんなお話を今日は書いていこうと思う。

洋服の歴史は戦争と共にあると言っても過言ではないがその時、その時代に合った洋服がその時に生まれて来た。その積み重ねである。特に昔はこうだからこうと言う服作りがされて来た。

戦争中や戦後すぐは物資も無く質素でシンプルな装いであるがそこから回復を遂げると一気に服装は弾け何か新しい物が生まれて来た。有名なのはDiorのニュールック(1950年代)などがその例でその辺りから今私たちのスタンダードが作られ始めたと私は思っている。

今では考えられないが1日織機を動かしても10何mしか織れない時代もあったわけで今の高速織機と比べたらそれは風合いも全然違うし使用している糸一つ取っても全く違う。今もそんな昔のままの機械が何台かは現存し動いている。ここ何年かでその貴重性に目が向き様々なブランドから旧式織機や旧式の編機で生産された商品なんかも出て来た。

古着と付き合っていると物が良い時代はそれなりの時代背景があって面白い。特に今でも残る洋服はしっかり作られている事は前提だしある程度の生地感と縫製でないと今残っていない。

ゆっくりしか織れなかった生地、大量生産されていない時代、既製服が出来始めた頃、機械が進化した時、様々なミシンが開発された時代、化学繊維が誕生してから、刺繍やプリント技術の発展。

良いプロダクトは時代を超えて愛され、生き残る。1960年代に作られたのに何でこんなに綺麗なんだろうと感心する洋服が多い。そう考えるとここ何年かで作られた洋服は時代を超えていけない物が大量に作られた。作るのは大変なのに少し着たら捨てられてしまう、作られ過ぎて捨てられてしまう。そんなもったいない事はない。

時代が服を作る。

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