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公民連携スキルセット / 第2弾エリアマネジメント編

 前回、人気をいただいた公民連携スキルセットですが、今月も「公民連携スキルセットシリーズ」をお送りします。
 今回はエリアマネジメント編です。


 前回、公園における公民連携事業について各種制度を説明していきました。

 実際に、公園などの公民連携事業などの相談をされる機会がありますが、公園における敷地主義に陥っていることが多々あります。
 つまり、公園における公民連携事業を考えるあまり、「公園しか見えていない」と言うことです。

 本来は公園というアセット含めたエリアを発展させていくことが必要なのです。
 そのため、順番的には
 ①公園や道路、公共施設を含めたエリア全体のビジョンづくり
 ②各公共資産アセットの民間導入の可能性調査
 ③参入できる民間への声がけ
 ④公共資産における事業計画を作成
 ⑤事業着手

 ①-③は、ほぼ同時に組み上げるのがベストと考えている。モタモタやるよりは同時並行で進めるのが良いと考えています。

行政は下地づくりから始めよう

 では、プロセスは見えてきたが、いざ、行政の担当者がまだ煙も立っていない場所で何から始めて良いかが分からなかったりします。
 その時は、きちんと上司に説得するための企画書を整えましょう。
・地域経営課題の抽出(公園の維持管理費用、地域のコミュニティ、地域経済循環が低い、ローカル企業が減っているなどなど)
・地域資源の分析
・課題解決に向けて、公園がどうあるべきか?
・課題解決に向けて、公園の中で民間活力を導入する場合の制度の解説
・担い手となる民間をどう探すか?

 これらをきちんとまとまった企画書を作成することが大切です。つまり、ある程度、やろうと思ったら、このぐらいの資料はささっと作れないと土俵には上がれないと思った方が良いと思います。

上からやれ!でやることになった場合

 ただし、上記の資料作成をしなくても、上からやれ!と言われて、事業着手する場合もあります。
 この場合、上記の資料作成をしていないため、いざ事業が始まっても、事前にまとめなければいけないことをまとめていないことになります。その状態で前に前に進もうとするために、いろんなところに問題が発生します。
なので、こういった場合においても上記のような基本的な資料を最初に作る事はマストなのです。

そもそもエリアマネジメントって、何よ?!

 そもそも、エリアマネジメントって何なのかわからない方が結構いると思います。公務員の時にまちづくりに関わってきた経験から、僕なりのエリアマネジメント像を書いてきたいと思います。

地域経営課題の解決

エリアの価値向上のために、地権者・事業者・住民等による主体的な取組み

エリアの価値向上を目指して、地域経営課題を解決をする。他にも地域の発展に寄与する事業を行う。
例)
・エリアの経済発展
・エリアの社会活動の増加
・エリアの環境美化
・エリアの居住者の増加
・エリアでの起業の増加
・エリアの交通事故の減少
・歩きやすい環境づくり
・犯罪発生の減少
・都市ブランドの構築
・来街者の増加

エリアマネジメントで「4方良し」の関係を構築する

 エリアマネジメントにおいて重要になってくるのは、公共資産を中心としてエリアをマネジメントすることで、全ての関係者に利益をもたらすことが大切になってきます。
 「エリアの受益者となす地域住民」「行政」「市民やそのエリアに訪れる来街者」「そのエリアで商売を営むテナント」
 市民の資産でもある公共資産を中心に活用を進めるため、それぞれの受益者がきちんと利益を得ることが大切になります。
 特に、その地域の地権者は最大の受益者となるため、その受益者で地域を経営していくことが望ましいです。

海外のエリアマネジメントは、受益者市民によるBID組織が中心に行われている

 海外のエリアマネジメントでは、ニューヨーク市などをみると分かる通り、BID組織が中心となっています。
 そもそも、エリアで一番の受益者となる地権者が金銭的負担をして、エリアマネジメントを実施しています。具体的には、土地の地権者たちは、固定資産税にプラスして、別途、BID税を徴収されており、その徴収された資金はニューヨーク市を経由して、そのエリアのBID組織に配られます。その資金を減資にBID組織はエリアマネジメントを実施しています。

出典:大阪版 BID 制度検討会資料

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