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都市経営課題の分析力/都市圏でのポジショニング分析

先週、土曜日から体調を崩してしまい、今週2本ほどアップする予定が土曜日現在で1本目の記事になってしまいました。
体調管理は本当に大切ですね。独立して以降、体調管理の大切さを毎度、体調を崩すたびに痛感させられます。適度な運動をしなくては!と思いながら、動けずにおり、次回の不動産企画ではマイクロトレーニングジムを入れながら、自社のオフィスもそこに入れようかと自宅で療養中にふと思いつきました。この企画の続きもnoteで引き続き、掲載していきたいと思います。

そして、無事、体調は戻り、昨日は紫波町への出張、本日は大学研究室の同窓会もあり、東京へ向かっています。新幹線の混み具合もすごいもので、昨日、本日の新幹線を取ろうと思っても空きがほとんどなく、グリーン車に空きが少しあったため、滑り込みでチケットを取ることができました。病み上がりのため、立って東京へ行くみたいなことはしたくないので、安堵です。
たまにはグリーン車も良いですね。久々のグリーン車でした。

前置きは長くなりましたが、本日は都市経営課題の把握についてです。
仕事柄、都市経営課題の把握をするための分析を頻繁にするのですが、多くの人たちが都市経営課題の把握ができずに四苦八苦しているのをよくみます。
僕なりに様々な角度から分析をしているのですが、最低限、この角度から分析するよな?!と思うことを今回、記事にしていきたいと思います。
本日は僕が最近、まちづくりの支援として伺っている群馬県みどり市で分析したことを例に掲載していきます。



都市経営課題は「経営」の課題である

何事も、まちづくりをする時に欠かせないのが都市経営課題の把握です。
行政課題から始まり、いろいろな課題があるのですが、今回は都市「経営」課題の把握なのです。
経営課題なわけなのですから、基本的はお金の流れを押さえるということになります。
経営的課題をきちんと分析するチカラを持っているかどうか?それは、その都市がその後、どう飯を食っていくか生きるか死ぬかの生命線なのです。
それが上手くいかなくなると、夕張市のように財政再建団体となり、事実上、その自治体の破産となるわけです。破産後、行政サービスは著しく低下し、現在も夕張市の人口の流出は止められず、実質、再建はされていない状態です。破産後、どうなるかは下のホームページを見てもらえればと思います。読んでいるだけで、ゾッとするような記事で、絶対にこうはなりたくないと思うはずなので、公務員の方は読んでおくとよいでしょう。
局面が変わった現在、夕張市のような自治体は今後も増え続けるでしょう。

課題を出せ!と言われると98%の人が課題ではなく、現象や症状を言う

では、夕張市のようにならないため、もっと前向きでも良いですが地域が発展していくため、都市経営課題を把握しようとして、課題を出してください!という機会が多くあります。
実際、ほとんどの方がきちんとした課題を出すことが出来ません。
恐ろしいことに、自治体の局長や幹部クラスですら、課題を出してください!と言うと、返ってくる答えは「人口減少」「少子高齢化」「商店街のシャッター商店街化」などと言います。

自治体幹部クラスのほとんどが、都市経営課題を把握せずにマネジメントしていると言う驚愕の事実なわけです。
実際、民間であれば会社の経営陣たる役員たちが自社の経営課題を把握せずに経営されるわけですから、誠に恐ろしいわけです。

話を戻すと、「人口減少」「少子高齢化」「商店街のシャッター商店街化」などは、全国どこにでも起きている普遍的な課題なわけです。もっと言うと、それは課題ではなく、現象、症状なのです。本来、その症状の原因を探り、そして、原因究明後に解決案を企画し実施することが求められているのですが、原因分析も出来ずに、足並みを揃えたように他都市の同じような施策を打っているわけです。これで地域が良くなるわけがありません。
病気でいうのであれば、お腹が痛いという患者にろくに診断もせずに腹痛薬を出すという対処療法なのです。本来は原因を探り、食あたりなのか、大腸炎なのか、癌なのか、最悪のケースを想定しながら、診察をしていくことが大切なのです。診察をきちんとすることで、その解決方法としてカルテをつくり、治していくわけです。
まちづくりも本来、同様にしていかなければいけないのですが、どうやら、ほとんどの自治体で原因究明、つまり「診断」がうまくいってないのです。診断ができいないのですから、当たり前にその後のカルテは機能するわけがないですし、間違ったカルテは下手をすれば大きな損害を生むことになります。

都市圏でのポジショニングを探る

僕がコンサルティング支援に入る時に、毎度思うことが課題把握と合わせて、そのまちが今後、どのように食っていくかを考えるために、まずは都市圏分析をしていきます。僕が、自分で事業をしているまちは宮城県岩沼市で仙台駅から電車で20分に位置するため、完全に仙台都市圏の中にあり、都市圏の中でも昔から衛星都市として、発展を遂げてきました。

「衛星都市」とは、大都市や主要な都市から比較的近い位置にあり、その大都市や主要都市の機能を補完する役割を持つ小規模な都市や地域を指します。衛星都市は、交通の便が良く、大都市の人口や産業の流れを受け入れつつ、それぞれ独自の特性や機能を持っています。例えば、大都市まで買い物に行かなくても、日常買い回り品程度は衛星都市で手に入るなど、大都市を衛星都市が補完しているわけです。

つまり、都市圏の中でどのようなポジショニングを取って、そのまちが継続して飯を食っていくか?賢くやっていかなくてはいけないのです。つまり、課題把握と合わせながら、そのまちが置かれている背景や情報をきちんと押さえなければいけません。

どこの都市圏に所属しているのか?

分散型都市圏?!群馬の難しさ

先日、群馬県みどり市に伺った時に、真っ先にどこの都市圏にこのまちは所属しているのですか?!と聞いたところ、はて?!という顔をされました。その後、桐生市ですかね?!と言われたので、桐生市の人口を調べると11万ちょっとしかいないわけです。これまた、このまちは一体、どんな背景に置かれているのか不思議になるわけです。
そこで、僕が群馬県を調べてみると、また面白いわけです。まず、大きな都市がない。厳密にいうと県庁所在地の33万人の前橋市と新幹線などの交通結節点になっている36万人の高崎市で完全に二分している。
そして、その周辺に20万人の伊勢崎市、21万の太田市があり、分散しているわけです。
都市圏人口は全国の中でも11位と、岡山都市圏、広島都市圏とそう変わらない都市圏を抱えています。政令指定都市もない中で、その中で大きな都市圏を築いているのは全国の中でも特異な存在です。


大きな拠点はないが、都市圏としては大きく、それぞれで中規模ぐらい人口を抱えている多拠点性を持つ都市圏と言っても良いと思います。
つまり、多拠点性を持つ前橋都市圏・高崎都市圏の中にみどり市もいて、その中でのポジショニングを考えていく必要があるわけです。
ちなみにこれらの背景を元に、都市圏の中でそれなりに人口を持つ自治体が気になったので、調べてみると以下が見えてきます。

https://images.app.goo.gl/N2z4TDYbRJTmmtrr6

都市圏の中で、高崎・前橋・伊勢崎・桐生・太田の5都市が重要な都市でありそうなことが分かってきます。

RESASを使って分析してみよう

では、これらの都市同士が、「公共交通機関」とどう結びつき、人口が密集しているか?の中で気になったので、RESASから人口密度マップを引っ張り出し、それに公共交通機関をトレースしていきました。

RESASは無料で公開しているので、ぜひ使ってみてください。

このような分析をしていくと、みどり市は確かにみどり市職員が言うように桐生市の都市圏に入ってはいますが、大きくみると分散している「前橋都市圏・高崎都市圏」の中にあり、分散型都市圏の中で、「桐生・みどり団」がどのようなポジションを取り、持続可能なものにしていくかが必要になってくるわけです。

また、先ほどRESASが出てきていたので、RESASもみていくと、これも面白いことが分かってきます。

RESASの地域経済循環図も重要ポイント

地域経済循環図をみていくと、まず目につくのが、所得分配の部分です。地域外からの流入が多いということは、みどり市に住む住民が外に働きに行き、稼ぎを持ってきているということで、ベットタウンによくみられる傾向です。みどり市に住み、前橋や高崎、他都市に勤めに行っていることが分かります。

もう1点気になることは、その他支出で地域外への流出が403億円あるということです。もし、この403億円の何割かを自分の地域に回すことになれば、地域での生産量(付加価値額)を増やすことができ、地域での所得も増やすことが可能となります。
では、何が地域外に流出しているのか、移輸出入収支額において輸出額より輸入額が多いということです。つまり、貿易赤字を起こしていると思ってもらえればと思います。

では、何の分野で貿易赤字を起こしているか、これもRESASで調べることができます。自治体関係の方は使いこなしてくださいね。笑

上の項目が貿易赤字を起こしているわけです。
例えば、住宅賃貸関係であれば、ベットタウンなので稼げて当たり前なのですが、ここがよく分からないハウスメーカーの賃貸アパートなどを建設してしまうと、そのほとんどが地域外に流出するわけです。
ここを地元の良い工務店たちに頼みながら、かっこいい賃貸住宅などを建設すれば地域内経済が生まれてきたりします。
もちろん、地域内のそのような資源があるかなどが大切になってくるわけですが、このようにRESASをちょっと使いこなしていくだけで、様々な背景や課題が見えてくるので、それに対してどのようなビジョンをつくり地域を変えていくかの手が打てようになります。

今回の記事は、都市圏から考える分析ですが、他にも自治体の財政の部分を見たり、歴史的な背景を掘ったりと、あらゆる角度から分析をかけることになります。今回はその一部をお見せしたことになります。
人気の記事になれば、シリーズ化できればと思います!!

今回のnoteはここまで。最後で読んでいただき、ありがとうございます!これからも、noteを掲載していこうと思いますので、スキ・フォローなどを頂けますとそれを励みに頑張っていけます。



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プロフィール
洞口 文人/FUMITO HORAGUCHI
株式会社L・P・D 代表取締役CEO
特定非営利活動法人自治経営 副理事長

1985年宮城県岩沼市生まれ。法政大学大学院建設工学専攻(渡辺真理研究室)修了。
建築設計事務所を経て、2013年仙台市に入庁。入庁後、「せんだいリノベーションまちづくり」を企画し、「せんだいリノベーションまちづくり計画」の策定、定禅寺通における公民連携プロジェクトを『GREEN LOOP SENDAI』を推進した。2018年度以降は、公共施設の断熱化による莫大な維持管理費の削減に取り組み、「せんだいエネルギーまちづくり」をスタートさせた。2020年11月、仙台市を退職し、株式会社L・P・Dを洞口苗子と共同創業した。今までの経験を活かし、「建築」「都市」「デザイン」「公共」「まちづくり」を融合し、地域開発「事業」を生み出している。
2020年特定非営利活動法人自治経営を設立、副理事長に就任。
2022年東北工業大学建築学科非常勤講師を務める。
2023年都市経営プロフェッショナルスクールのコーチに就任
主な実績に、2015年『せんだい洛中洛外図』の製作、2016年古民家(築 60 年)を購入し、断熱リノベーションと共に周辺の緑道公園を再生させた『複合古民家実験住宅 -TateshitaCommon-』、『公民連携事業ケーススタディブック』の出版委員長も務めている。2020年の独立以降は、TateshitaCommonにサウナ付きライフスタイル型賃貸住宅apartmentBEAVERやTateshitaSaunaをスタートさせる。

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