出丸師匠から学んだこと~落語とコーチング~
実は・・・というほどでもないが、私はNPO法人 日本ファシリテーション協会の会員である。 定例会と称してファシリテーションに関する調査研究のため、会員・非会員に関係なく誰もが参加できるイベントが国内各地7つの支部で毎月開催されている。 関西支部の4月定例会のひとつが、「噺家から学ぶファシリテーションの極意」というテーマだった。 ファシリテーションをデザインし進行する際に、意識を向けることには色々ある。 例えば、場づくり、場のホールド、参加者への関り方、構造化などなど。 噺家さんが作る落語の世界とも共通点があるのではないか?という問いを持ちつつ、対話から学びや気づきを得る・・・そんな試みだった。
こちらのnoteではあえて、噺家さんとコーチという視点で個人的な学びを書き留めたい。 なぜなら、コーチングやコーチとの共通点がバンバンと頭の中でスパークし結びついたから。 また、「お勧めのコーチングの受け方ってありますか?」という問いを頂くことがあるが、それに対する回答のひとつにもなればとの思いから。
さて、その日は、グループディスカッション用のテーブルとイスが準備されているという我々にとっては慣れた会議室のレイアウト。 いつもと違うのは中央正面に、赤い毛氈で囲われた高台に座布団というしたて。 そこに、ピンクの着物に羽織という桂出丸師匠(桂米朝門下)が現れた。 寄席とは違うしつらえ、なんだか目つきが違う客?を前に戸惑いつつも、約20数名の参加者を、師匠はプロの話芸で少しずつ手元に引き寄せながら、落語の世界へといざなっていく。 落語をひとつ終えた後、師匠が意識していることなどを対話しながら興味津々で探っていく。
と苦笑されながらも、参加者と一体となった世界を作っていくところはホントすごい! だからこそ、師匠が何をしているのかを知りたくなる。
噺家とコーチって似てる! そんな思いが私の頭の中を飛び跳ねていた。
私が大事だと感じた共通点を3つに絞ってみると;
●Beingが大事
●ココからつくる/一期一会
●参加力
●Beingが大事
噺家もコーチも一人芸。 コーチングって決まった型があるものではない。 噺家さんは古典落語のような定型があるかもしれないが、いかに話して伝えるかは噺家さんそれぞれの芸風・話芸で大きく変わる。 更に言えば、そのBeing=「あり方」で。
コーチのあり方を「芸風」と呼ぶ人もいる。 コーチングでBeing=「あり方」は“場”をつくる大きな要素のひとつだ。 セッション中、クライアントさんが自分自身に意識という矢印をずっと向け続けられるような場づくりや関わりをする。 コーチングでなくても、なんかこの人の前だと何を聞かれたというのでもないんだけど、本音を話してしまう・・・そんな経験もあるのでは? 安心して本音で語ることができる、そんなBeingでいられたらと思う。
●ココからつくる/一期一会
コーチングでは、あっちに行きましょうとか、リードすることはしないし、もちろん、事前に決めておくこともない。 その場その場で、クライアントさんと一緒に決めながらクライアントさんが行きたい方、探索したい方へ一緒に歩いていく。 行ってみたい、探索してみたいんだけど、一人だと怖かったり、「ちょっと、常識で考えてみようよ」「立場的にあり得ないでしょ」なんて声がどこからか聞こえてきて立ち止まってしまったり。 そんなことってないですか? コーチは言葉で表現される以上のものを感じ取ろうとしながら、何かの考えにとらわれることなく関わっていく。 師匠の言う「のったなぁ」という感覚。 クライアントさんと同じ場所に立っているという、そんな感覚に似ているような気がする。
常連さんだとしても「毎度違う」。 ヒトは常に変化している生き物。変化を起こす力を持っている。昨日と今日では違う人であると思って関われとコーチングで学んだことにとても通じる。
●参加力
コーチングの場もクライアントとコーチが一緒につくっていく。 パワーバランスに大きな差があると、本当に探索したい方向にいけなくなる。 だから、クライアントもコーチもちょっと違うなと思ったら、確かめ合っていい。私がクライアントである際のスタンスは、コーチではなく、その場に身をゆだねてみること。 経験したことのないことを試してみる勇気と好奇心を持つこと。 そうすると、新たな自分の発見や体験があり、気づきも生まれる。
桂出丸師匠、面白かった~。 ありがとうございました!
コーチングの学びは、いつでもどこででも、更に続いていくのでした・・・
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