不敵さは健在 秋山準、再びプロレス界の中心へ

プロレス界は2020年の年末を迎える中、様々な話題に包まれている。

業界内、最大のビッグイベントとも言える新日本プロレス東京ドーム大会を目前に控え、この時期に胸を昂らせているプロレスファンは多いだろう。また近年、同じ1月4日に後楽園ホール大会をぶつけているプロレスリングNOHAも団体としての勢いを取り戻してきており、来年2月には日本武道館大会開催することを発表している。他の団体も含め、プロレス界の年末年始は、未来に向け大きな動きをみせる季節でもある。

その中で、一人のレスラーの言動が注目を集めている。現在、DDTを主戦場とする秋山準だ。

今月27日まで行われていた団体内のリーグ戦で優勝を飾り、試合後、秋山独特のマイクパフォーマンスを繰り広げている。そこでは、自身の強さを表現することはもちろん、現移籍先のレスラーたちへの賞賛、さらには他団体選手への挑発ともとれる内容も含まれていた。

新たな勲章を手にした51歳の言葉は、相変わらず謎めいていると同時に、プロレスファンの心を揺さぶる「スパイス」が効いている。そしてこの発言により、またしても業界全体が激しく動き出す予感を引き起こしている。

19年前、秋山準はまさにプロレス界の中心にいた。

当時所属していたNOHAのチャンピオンに君臨し、団体内でその強さを発揮した他、他団体である新日本プロレスに外敵として乗り込み、ビッグマッチへの出場を果たしている。年が明けた2002年、1月4日の東京ドーム大会ではメインイベントで新日本の永田裕司を相手にタイトルマッチ防衛戦を戦うなど、現在では絶対に起こり得ないことを実現させてきている。

その行動力、そして一個人だけでプロレス界全体に及ぼす影響力が絶大だったこの頃、まさに日本のプロレスストーリーはこの男を中心に回っていたと言っても過言では無い。

その後、NOHAを退団、前所属の全日本プロレスでは社長という地位にも就き、一線を退いたかにみえたものの、若手が集い可能性に満ちたDDTに移ってからはコーチ役も務めながら、一人のレスラーとして輝きを取り戻している。先のリーグ戦決勝ではフィニッシュをアームロックで決めた試合内容やコンディションの良さが窺えるフィジカルは流石という他なく、20代のころから磨き上げてきたその言葉のセンスもさらにキレを増している。

来年2月には、秋山が語った「プロレス界で認められた3人」のうちの一人である、チャンピオン・遠藤哲哉とタイトルマッチを戦うことが決定した。団体内で最高に栄誉であるシングルベルトを巻いた時、次はどんな動きをみせ、どのような発言が飛び出すのか今から楽しみにしているファンも多いだろう。

そういえば、若手の頃より「プロレスラー秋山準」は、とにかく高いところからものを語るのが似合っていて、ヒールともとれるその不敵さが秋山の最大の魅力だったことも思い出した。(佐藤文孝)

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