だらだらポルノ小説 vol.2 -セクハラが許されるお守り-

 以下のポルノ小説についての所感をまとめる。
セクハラが許されるお守り

 ランキングについては以下の通りだった。
(ランキングで作品を評価するのは誤っていると感じる人はいるだろう。私もそう思う。とはいえ、一番簡単に手に入る数字がランキングなのでランキングで楽して評価していきたい。)

日間ランキング:1位
週間ランキング:3位

 ランキングとしてはいい値で、今回はモチーフというかタイトルがよかったと思う。これからもタイトルをよくしていきたい。
(これくらいウケそうなタイトルだといっそ1話以降書かない方がランキング的には上位にいったかもしれない。ノクターンには導入だけでランキングにのるケースがけっこうあって、「タイトルやあらすじからの期待値 ブックマーク」から「実際に読んだら期待したものと違った」を引いた値がブックマークとして残るみたいなことだと思う)
 あと、ランキングに乗った段階だとノイズ(女の子かわいい描写でもポルノでもないシーン)が比較的少なめでポルノ小説として純度が高かったのもよかったかもしれない。

今作の目標

目標#1 淫靡な状況設定を提示する
前回の記事で触れたとおり、和姦の退屈さを解消するために興奮に寄与するシチュエーションを設定する。
 文章が上手いタイプではないので、ただの性行為ではなくシチュエーションや感情の動きなど興奮する理由を毎セックスに設定していきたい。

目標#2 物語のあるポルノ小説を書く(その有用性を評価する)
 ポルノシーンではなく、物語を中心としたような小説(極端な例ではなろうで連載した小説にポルノシーンを追加したものなど)をたまにランキングに見かける。
 実験的に今作は物語性を中心に据えてその有用性を検討する。

目標#3 ポップなポルノシーンを書く
 なるべくバカでポップなポルノシーンを書く。
 これは目標#1と連動した話だ。文章の上手さや技巧的なポルノ描写をあきらめて、シチュエーションなどのいわゆる「派手で濃い味付け」で楽しませたい。そのためには文体もそれに特化したものを目指す。

目標を達成できたか

目標#1 淫靡な状況設定を提示する
 8点
 
「ある日、性行為が許容される特権を手に入れる」という100万回読んだことのある設定だが、「許すとはどういうことか」という軸を設定することでキャラクター表現を同時に行えた。これはかなりよくできた設定だったともう。
 一方で10点でない理由だが、妹相手には設計段階で性行為に興奮する「理由/魅力」を設定しきれなかった。特に最終話は「できれば最後に妹とセックスして終わりたい」で用意したが、どうすればいいものができるまで考えておらず見切り発車で執筆して、かなり苦戦した。
 最終的な完成品はそこそこに「理由/魅力」を設定できたと思うが、それは執筆時に考えるものではなく、設計段階で用意されているべきものだった。

目標#2 物語のあるポルノ小説を書く(その有用性を評価する)
 8点

 こちらについては「物語の流れがあること」「伏線が張られていること」を目指し、それらは達成できたと評価している。

物語があること:以下のようなよくある流れを用意した。
1. 問題のある主人公を提示する(周囲に対する興味が欠けておりつまらない人生を送っている)
2. ある時、手に入れた特権を使用して人生が偽りの勝利を迎える(お守りによる幸福は一度失われることになる)
3. 主人公と同じ問題を抱えた敵が目の前に現れて偽りの敗北を得る。(楠子は主人公と同じく周囲に興味がない女だ)
4. 主人公は抱えていた問題を解消することで真の勝利を手に入れる。(なぜ弓場は楠子に勝てたのか? 楠子は何故敗北したのか? それは人に興味を持ち、違いがあることを知っているかの差だ)

伏線が張られていること:ここでいう「伏線」は「このあと使用するギミックを先に見せておく」くらいの意味だ。以下に作品内に用意した伏線を記す。
・楠子は確認癖がある。
・楠子には男性関係で悪いうわさがある。
・天音は楠子に強い感情を向けている。
・璃乃は最初のセックス時に「許されない」と言っている
・マキャヴィティは学校の物を持ってくることがある
・妹にお守りを見られてすぐ隠す
・iOSの端末を2つ所持していて、それらはGPS機能やサウンド再生機能を持つ
……etc

 10点でない理由は、物語が存在することをすべての読者に気付かれたかというとそうではないと思っているからだ。ほとんどのシーンがポルノシーンの小説であり、「なんか不要なあれこれがついてるな」くらいに認識されてたんじゃないだろうか。
 だからといって、「全員に届くように書いたほうがよかった」かというと、それをしたら今より悪い作品になっていたんじゃないかと思う。今の状態でもノイズが多すぎる。とはいえ、目標を立てた以上は実験と割り切って10点を目指すべきだったかもしれない。

目標#3 ポップなポルノシーンを書く
 6点
 以下のような記載を増やした。(文体はZAP氏を参考にした)
・擬音だけの行(くちゅくちゅ!みたいなの)
・「!」マーク付きの地の文(○○した!みたく勢いをつけたモノローグ)
・「かわいいね!」などのどう思って欲しいかのモノローグや台詞
・セックス中の会話(動作や感想を台詞で説明した)

 正直、手癖の動作ベースで書いたほうが生産性が高いのでだいぶ全体的に一貫性を持って書けなかった。

目標自体の評価

#1 淫靡な状況設定を作成する
 今回の作品のよさは8割設定のよさだと思う。今後も状況設定を意識したい。

目標#2 物語のあるポルノ小説を書く(その有用性を評価する)
・物語を用意したことで作品が良くなったか悪くなったかというと、悪くなったと思う。何も嬉しくないノイズとなるシーンが多くなり過ぎた。
・書く側としてはテーマがあることで、キャラクター設定や描写の取捨選択がかなり楽になった。何もないと無限に等しい選択肢の中からキャラクター設定や描写を選択しないといけないが、テーマがあることで「テーマを示すのに最大化する選択をする」という目標が生まれ選択が楽になる。これからも生産性を高めるためにテーマは設定していいかもしれない。
・一度、敗北して「この女に復讐したい」という読者の気持ちを煽るのはわりと上手くいったんじゃないかと思う。この期待させる構造は今後も取り入れてよさそう。

目標#3 ポップなポルノシーンを書く
・これも継続的に今後も目指していってよさそう。
・ポルノの方向性として主人公に羞恥心や絶望を煽るような台詞を大量に言わせたが、ポップで何も考えてない主人公の口からそういう台詞が出てくると怖いな……。お前は何を考えてるんだ……? ポルノのコンセプトと雰囲気のコンセプトが衝突してる。
・とはいえ、お気楽馬鹿ポルノ小説だし別に主人公が何考えてるか分からなくて怖いの、解決しなくていい問題かな。どれくらいみんな気になるんだろう。

気付きや反省点など

・主要人物のうち、天音と楠子はもっと「この子とのセックスシーンが見たい!」みたく感じさせる魅力をアピールできるとよかった。もっと魅力的な属性を盛りたい。
・楠子は「背が低くて目つきが悪いナード」というのが十分に魅力的な属性の組み合わせという認識だったけど、反応を見るとそうでもなさそう。
・妹は正直かなり手癖で書いたけど、けっこう評判がよかったので「自分はこういうのが評判がいい」と認識していきたい。

教訓、次作の目標など未来の話

 2022年はずっと更新が止まっているアレをいい加減終わらせたい。あいつを終わらせなきゃ……おれは前に進めない……っ!

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