【小説】Oxymoron(オクシモロン)
梅雨。薄暗い体育館に幽閉されていたからか、雨上がりの夕暮れはこの世のものとは思えないほど美しく見えた。
僕は今日のホームルームを終えた後、一人で図書室へ向かう階段を登った。
一つ階が増える度に人の気配がなくなり、遂に誰もいなくなった五階に図書室があった。ドアを開けると、中には誰もいなかった。そして、窓から見える夕暮れの美しさにつられるように窓際の席に座った。
一人の時間が好きだった僕は、毎日ここで呼吸をすることができた。
参考書を開いて勉強をするフリをして、それを手元