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映画エッセイ

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映画が好きです。映画にまつわる話や映画のエッセイを書いています。
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#映画

日々と少女映画 | オン・ザ・ロックとバービーと

時々訪れる実家の父親の不用意な発言に苛立ちと悲しさを感じることが増えている事に最近になっ…

Fumi
10か月前
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映画『イニシェリン島の精霊』自分の人生を問われる哀しくも美しい人間の物語

中年期以降の人間ならば誰にでも思い当たるであろう「誰かとの分かれ道を感じた瞬間」の寂しさ…

Fumi
1年前
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『ボーンズ・アンド・オール』最も気高い究極の愛の話

観終わって2日以上経っているのに未だにこの2人を思い出す。きっと私が何も手につかなくなって…

Fumi
1年前
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映画 『WANDA / ワンダ』 たったひとりありのまま生きた女性の悲しい逃避行

ある時代、ある場所にいた破滅的で孤独なたったひとりの女性の人生を覗き込む。 アメリカのざ…

Fumi
1年前
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映画「カモンカモン」完璧でない私たちの世界にみえた、未来への希望

今も思い出すだけで、目から涙がこぼれ落ちそうになってしまう。きっとこれから先、何度も観た…

Fumi
2年前
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映画「マティアス&マキシム」近すぎて見えなくなるほどの、愛と優しさの物語

これは、同性同士の恋や、何か特別な恋愛物語を描いたものではない。 男や女なども全く関係な…

Fumi
2年前
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映画【フレンチ・ディスパッチ】文化への愛と、ままならない人生の物語

私が初めてウェス・アンダーソンという映画監督を知ったのは2003年、高校を卒業したばかりの18歳で上京してすぐの大学一年生だった頃だ。 映画好きだと公言していた自分に、「ウェス・アンダーソンを観たことがないなんて映画好きとはいえない」と年上の映画マニアの知人に言われ腹が立ち、(今思うとひどいな)慌ててTSUTAYAでレンタルして「ザ・ロイヤル・テネンバウムス」に衝撃を受けて以来のことである。 他のどの映画作家とも違う絵作りと音楽使い、グロテスクなほど、人間や生物の生き死にが

映画「偶然と想像」昔の終わらなかった恋愛を思い出す

映画「ドライブ・マイ・カー」の濱口竜介監督作品「偶然と想像」を鑑賞した。 パンフレットに…

Fumi
2年前
78

タイタニックの夏

私にとって、1998年の夏といえば、アメリカへの短期留学をした中学2年の時のことで、 3歳から…

Fumi
2年前
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映画「ドライブ・マイ・カー」時間をかけて考えることを肯定する

ニューヨーク映画批評家協会賞にて、映画「ドライブ・マイ・カー」が作品賞を受賞した。日本映…

Fumi
2年前
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映画 「街の上で」 下北沢という街と、あの頃の記憶

かつて下北沢という街で、それほど多くの時間を過ごしてきたわけではない。 そんな私でも、大…

Fumi
3年前
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映画 「Buffalo '66」私の青春にヴィンセント・ギャロ

映画「バッファロー’66」が20年ぶりに劇場で再上映されている。私の家の近くのミニシアター…

Fumi
3年前
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映画「燃ゆる女の肖像」 生きづらさの中で全うする、女性の愛と生の物語

気がつけば異世界へ引きづりこまれ、観た後にはまるでひとつの美術作品をみたかのような錯覚に…

Fumi
3年前
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映画「花束みたいな恋をした」創作物を愛する全ての人のための物語

久しぶりに映画のパンフレットを買った。表紙をめくったときに最初に目に飛び込んでくる文字に、思わず涙で目が潤んでしまう。これほどまでに自分の20代、あるいは、自分の過去の恋愛を思い出させる映画はもしかするとなかったかもしれない、などと考えながら、私は映画館を後にした。 「これは自分の話」 月夜のたまさんはnoteで、脚本家坂元裕二さんの言葉を借りてそう表現している。 本当にその通りだった。(そして、私もドラマ「カルテット」が大好きでこの映画の公開を何ヶ月も楽しみにしていた