映画【フレンチ・ディスパッチ】文化への愛と、ままならない人生の物語
私が初めてウェス・アンダーソンという映画監督を知ったのは2003年、高校を卒業したばかりの18歳で上京してすぐの大学一年生だった頃だ。
映画好きだと公言していた自分に、「ウェス・アンダーソンを観たことがないなんて映画好きとはいえない」と年上の映画マニアの知人に言われ腹が立ち、(今思うとひどいな)慌ててTSUTAYAでレンタルして「ザ・ロイヤル・テネンバウムス」に衝撃を受けて以来のことである。
他のどの映画作家とも違う絵作りと音楽使い、グロテスクなほど、人間や生物の生き死にが