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【資料】キリスト教界の同性愛差別の歴史を学ぼう

※表題のツイキャス対談の要点をまとめた記事です。
※ふみなる( @fumiwriter )と、Reina@ギリギリ牧師( Reinau25 )さんによる対談です。
※対談動画(ラジオモード)は↓から。

①府中青年の家事件

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 この後、施設側(行政側)を相手取った訴訟が行われた。結果OCCUR側が勝訴した。近年でおそらく最も注目されただろう同性愛差別裁判のキッカケを作ったのがキリスト教団体だった、という不名誉が残っている(そのキリスト教団体はその後、何の声明も出していない)。

 正面から差別して攻撃してくる人間(この件で言えばキリスト教団体のメンバー)と、表立った差別はしないが差別を止めようとしない人間(この件で言えば施設側の職員)の両者がいる。後者は一見「中立」だが、差別側である。差別問題において「中立」という立場は存在しない。

「府中青年の家」裁判 - 特集-|諏訪の森法律事務所
http://ne.jp/asahi/law/suwanomori/special/supplement3.html…

②98年 日本キリスト教団総会における差別発言

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98年1月 伊藤発言「同性愛者が牧師になることを聖書は否定している」
98年5月 同性愛指向をカミングアウトしたゲイ男性が牧師試験に合格。
98年11月 大住文書1「同性愛者は教会の教師になれない」
     大住文書2「教会は同性愛者は受け入れるが悔い改めを求める」

 これは牧師試験を受けるゲイ男性に対する露骨な差別であり攻撃だった。上記の「府中青年の家」事件と同じ構造。それをキリスト教会が主導してしまっている。

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 これに対して複数の抗議の声が上がり、常議委員会は後日改めて対応する旨を約束したが、結局そのまま議事終了となった。何も解決されず、放置されたままの状態。

 この件から既に20年近く経っており、伊藤発言・大住文書の存在自体を知らない世代が多くなっている。アーカイブを残さないことで、また同じようなことが繰り返されてしまう恐れがある(現に同性愛差別は繰り返し起こってきた)。歴史を学ぶことの意義はここにある。

大住雄一氏文書をめぐる動き
http://jca.apc.org/~maki_t/kyodan-oosumi.htm
薄井篤子「宗教とジェンダーをめぐる議論の現在 日本基督教団・性差別問題特別委員会の活動を通じて」
https://jstage.jst.go.jp/article/religionandsociety/10/0/10_KJ00006476359/_pdf/-char/ja…

③韓国の状況

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・厳しい処罰が明文化されている。明らかな人権問題。それが教義や聖書理解の問題にすり替えられているのではないか。

④対談で見えてきた課題

・ネガティブな出来事であってもしっかりアーカイブを残し、後の世代に伝える必要がある。
 でないと同じことを繰り返してしまう。

・キリスト教会が同性愛指向の人々に対してサポーティブになるとはどういうことなのか。
 同性愛指向の人が初めて教会に行く場合、そこが同性愛指向に対して開かれた教会なのか、あるいは同性愛指向を断罪する教会なのか、わからない。ゆえに同性愛指向であることを慎重に隠さなければならない。
 なのでサポーティブな教会はたとえばレインボーフラッグを掲げたり、それとわかるイラストを掲載したりすることで、サポーティブであると表明することができる。
 個人の場合は、普段から同性愛差別に反対する発言・発信をすることでサポーティブであると表明することができる。
(発言しないこと、表明しないことは、サポーティブと言えない。)

 ただ一方で、口で「サポーティブです」「理解があります」と言うだけで実質が伴っていないこともあり得る。なのでジェンダーに関する一定の教育や訓練を受けた教会だけが受けられる認証(LGBT認証、的な)の仕組みが求められる。

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