化けて出るのはだいたい人間

なんやかんやで他の生物とそれほど変わらず簡単に生命すら奪う人間だけれど、なまじ知恵がついているからでしょうか、愛憎執念怨み妬み嫉みも多い。かなしいかな、「進化」したものを自称する代償よ。

したがって、人間の多く寄り集まる都市部において恐怖怪異は人間の形をしていたりする。話語りなどで怨みを抱えて死んだ者が、たいへん迷惑このうえないことに怨みの分け隔てなく生きた者を狩ったりするが、やっていることは無差別殺人と変わらないのでどうかと思う。というか、彼ら、そんなことするだろうか。

粘着室の足元に捕らえられてじっくりと朽ちていくゴキブリや、毒入りの餌を運び巣ごと殲滅される蟻や、スーパーで買ったけれど思わずダメにしてしまった食材とか、食用として飼育されるものたちなどは不思議と今日もおとなしく死んでいる。

どこまでいっても人間本位。「人間」を仮に「人種」と置き換えたら、彼らにとって異なる人種は上に列記したものたちと同じになってしまうのだろうか。そこにはもはや畏怖も敬意もないのかもしれないと思うから、私はお化けを信じたくありません。

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