ああ盆か キャッチボールの 音響く

我が家は1Kのアパートメントで、したがって、玄関のドアを半開きにしつつ部屋の扉とともに、ベランダ側の窓を開放すれば思いのほか風が通り、とくに空間の狭い玄関のあたりは居心地がよい。折りたたみの椅子を広げてヨッコラショ、借りた本を読む。喉が乾けば、冷蔵庫はすぐそこである。

まだまだ明るい夏の夕方ではあるが、そろそろ洗濯ものを取り込もうとベランダに出ると、いつもは静かな裏のおうちからだろうか、ミットにボールが飛び込む音がスパーンと空に響く。洗濯紐に引っ掛けたハンガーを左手に集めながら、キャッチボール独特の呼吸とリズムを聞く。

あ。なるほどそうだった、旧盆の3日目、本日は送り盆にあたる。

親戚とも随分会っていないなあ、のようなことを思ったような思わなかったような、さてさて夕飯の準備に取り掛かろう。と洗濯ものを畳む合間も、懐かしいようなキャッチボールの音が続く。

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