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2021年度正社員を募集する今の気持ち

2020年は想定外のシーズンだった。でも一方で、こんな中でも新しい事に取り組み一定の成果を生み出せたことで、返って自信が生まれた1年でもあった。

守りに出るか、攻めに出るか決断を迫られた時、判断するのに長い時間は必要なかった。攻めに出るために、私たちは正社員を募集することにした。

アルバイトを含めても9名しかいない会社にとって、正社員を採用するというのは大きな決断だ。採用も慣れていないから、いつも手探り手作り状態。私たちにできるのは、愚直に、ありのままの私たちを伝える事だけだと思っている。

おかげさまで、会社説明会へのお申込が増えている。閑古鳥ではと心配したので、ひとまずほっとしている。もちろん、”たった一人”との出会いを求めているから、まだまだ頑張り続けるけれど。

この機会に”人を雇用する”ことに対する思いを綴ってみようと思う。業務委託や、最近流行りの様々な連携のスタイルがあると思うのだけれど、どこか私は正社員にこだわっている。そんな背景を整理してみたい。

創業期

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あまり話すことはないのだけれど、2012年、共に働きたいと言ってくれた人とふたりで創業した。自由な私と、きっちりしたい彼女のペースが合わず、半年ほどで別の道を歩くことになった。幼い子どももいたから、一人では無理だとわかっていたけれど、誰かと働くことの難しさを痛感していた。この時は雇用という形ではなく、私も彼女も給料なんか出せる状況ではなかった。

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2年目の2013年、帯広市のフードバレー政策の一環として畑ガイドの育成を受託することになった。それが、私が初めて人を雇用することになったきっかけだった。多様な働き方を認めたい、そんな強い思いがあったから、子どものいる女性を何人も採用した。当時のメンバーはみんな、それぞれに特技のある優秀で個性的な人ばかりだった。

唯一の男性Aさんは、慣れない委託事業の事務作業を全てこなしてくれたし、Kさんはきっちりと経理をこなし、頼りない私をシャチョー!シャチョー!と呼んで社長に育ててくれた。

その1年で、私は、人に働いてもらうことの楽しさと、そして難しさを知った。

始めからわかっていたことなのだけれど、優秀で個性的なメンバーは、みんな独立していった。子どものいる人を採用し過ぎたら、子どものいない人の負担が増えてしまった。

自分と似た自立した人は、創成期には強い原動力として必要だけれど、共に会社を育てるには、むしろ自分に足りないものを持っている人が必要なのかもしれないと思うようになった。

私は、子どもを産んだ事により前の職場で働き続けることができなくなった。だから、女性が働きやすい職場にしたいと強く思っていた。でも、続けているうちに、女性も色々だし、当然男性だって色々だとわかった。全ての人が働きやすい環境を整えることが社長の役割だと、今は思っている。

右腕・白木由美との出会い

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白木由美は、私の右腕だ。

彼女との出会いは衝撃だった。ハローワークに求人を出し、すぐに決まったので取り下げようとしたところに申し込んできたのだ。面接くらいはと会ってみたら、偶然いただきますカンパニーのことをテレビで見た元の職場の先輩が、「あなたはここで働くべきだ」と連絡してきたという。正社員からアルバイトに条件を拡げた日に、いただきますカンパニーの募集が目に留まったというのだ。すごいご縁もあるものだと、採用した。

先に働いていたメンバーは、とにかく個性的で、それぞれ突出した特技のある人たちだった。そんな中で、由美ちゃんは目立たない存在だった。役割を与えてあげられるほど業務は整理されていなかったし、誰も余裕がなかった。でも彼女は、私が作ったデコボコ道を、次に人が走れるように着々と舗装してくれていた。会社に足りないものを見つけて補完してくれていたのだ。

3年目、彼女は正社員として会社に残ることになった。気が付けば、なくてはならない存在になっていた。今では役員となり、札幌と行き来する私に代わって十勝の事業を一手に引き受けてくれている。

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初めてふたりで対談したので、その内容は近日公開予定。代表が前面に出ることが多いけれど、現地を見に来てくれた人は誰もが、白木由美がいるからこそのいただきますカンパニーだという事を理解する。連れて帰ろうとする人も続出だけれど、絶対に渡さない(笑)。右腕論は私が聞いていても本当に面白かったので、乞うご期待。

初めて募集した正社員・岡野香子との出会い

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香子さんは野鳥ガイドだった。鳥たちが米を食べてしまうという事から、農家さんとのつながりもあり、食べることが好きだった事も相まって、鳥から食へ転向したという異色の経歴だ。

こちらとしては、正社員を募集するという初めての機会(白木はアルバイトから正社員になったため)。履歴書を送ってください~という前に、こちら側から、どんな会社なのか自己紹介する必要があると思った。仕事も子育ても忙しく時間を取るのが難しかったので、「朝活」と称して、朝の時間に隙間時間に興味を持ってくれる人と会うことにした。応募者の面接ではなく、こちらから個別に会社の説明をするという、いわば逆面接だ。お正月を挟み、帯広と札幌で20人くらいの人に会った。

香子さんとは札幌で会った。色々と質問された。その答えに安心したようで、その場で履歴書を置いて行った。私は、彼女からの面接に合格したという事らしかった。男性もいた方が良いよね…と最後まで悩んだけれど、性別関係なく選ぼうという事で、最終的に香子さんを採用した。良い選択だった。

3人目の正社員・大嶋成美との出会い

代表ひとりに、正社員3人というのが、私の理想だった。はじめは、自分も入れて3人いれば良いと思っていたけれど、やはり立場が違うと難しいものだ。3人寄れば文殊の知恵ともいうし、2人では意見が分かれた時の決断が難しい。どうしても感情的になってしまう事もある。病気や怪我で一人欠けてしまった時の負担を考えても、3人がベストだと考えていた。

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そろそろ3人目を採用しようか…そんな話をしていた時に飛び込んできたのが大嶋成美だった。道下広長農場のナガイモ掘りピクニックに、偵察に来たのだ。高校教員を辞めて、大学生活を過ごした帯広に戻ろうと考えていた。偶然同行してくれていた道下さんの強烈な推薦もあって、彼女はいただきますカンパニーを希望してくれることになり、私たちもまた、彼女を採用することになった。

食育に関わる仕事、かつ自分の時間も大切にできる会社という事で選んでくれたと聞いて嬉しかった。帯広畜産大学の後輩で、農業の専門知識があるメンバーは心強かった。子どもたち向けのプログラムも充実させたかったので、教員経験者の知見は非常に有難かった。

新たな体験プログラムの開発を担当し、農業をテーマにした運動会”アグリンピック”を完成させた。コロナで一般観光客が激減する中、このプログラムがあったことで修学旅行が急増し、救世主となった。

なぜ正社員にこだわるのか

冒頭にも書いたが、業務委託などの方法もある中で、なぜ正社員にこだわるのか。古いかもしれないけれど、私は社員を家族だと思っているからだと思う。一緒にこの会社を育ててくれる、中心となる仲間が欲しい。次の段階になったら、委託できることも増えてくるかもしれないけれど、今はまだ核を作る時だ。

誰かに何かあった時に、補いあえるという事も大切だ。一定の業務だけを委託する相手に、総合的なサポートはお願いできない。困った時に助け合えるのは、やっぱり身内なんだと思っている。

今回は、会社のステージとして広報に関するスキルや興味を持っている人が来てくれたらと思ってはいるけれど、一番大切にしたいのは、この会社を育てる核となってくれるかどうかだ。

どんな人との出会いがあるか、日々届く会社説明会への申し込みを眺めながらワクワクしている。


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