見通しの甘さ

子供の頃の夢はたくさんありました。
看護師さん、保育士さん、芸能界に憧れた事もあったかな?宇宙飛行士なんていうのもありました。
大人になったら何になりたい?と聞かれると、どれにしようかな…と迷うくらいたくさんありました。

一度なりたいと思うと、今度はどういうコースをたどればその職業につけるかを、細かく調べます。
そしてプランをたてます。何歳頃からこんな本を読み始めて、学校はここ…成績はこの位?卒業したらここに住んで、何年後かにフリーになって…

妄想です。
痛々しいですね…。
でも、私は大真面目でした。
何かになりたいと思ったら、適性や環境、経済的条件など何も考えずになれる、と思い込んでいました。

やりたいことは次々と浮かびます。
それは大人になった今も変わりません。
そして、やりたいと思ったら、やらずにはいられません。即行動です。衝動的ですね。
昼夜など関係ありません。お金が無くても始めようとします。
何かひらめいたら、それが成功している自分のイメージでいっぱいになります。

短期目標でも同じ様な傾向があります。
わかりやすいところで、試験勉強ですね。
ここからここまでを、この期間で覚える、という計画を、きっちりとたてます。そこに、覚えられなかったら、はありません。
できる、の一択です。
なので、時間に余裕を持った計画など立てません。
ギリギリ、きちきちの計画です。
ただでさえ集中困難なのに、そんなに予定通りに学習が進むわけがなく。
思うような結果が出せない学生時代でした。

試験勉強ならばそれなりの評価しかなくて残念でした、自己責任です、で終わりですが。
社会に出ても、この傾向はありました。
大きな企画を安請け合いして、結果何件もの現場を同時進行する事になり、寝食の時間もなく仕事にかかりきりになってしまいました。
過集中の発動です。
それでも業務が進行していけば、自分のやり方に誤りがあるとは思えません。
果ては、燃え尽きてダウン。再起不能です。
残されるのは、心身共に疲弊しきった自分と、何がいけなかったのか悩む日々。
キャパオーバーだった事に気付いたのはずい分後になってからでした。

ADHDの人全部に当てはまるパターンではないようですが。
キラキラした、肥大した自己イメージを持ってしまう傾向がある人が多いように思います。
万能感、というのでしょうか。
根拠の無い自信ですね。
そこからノープランのまま(本人は綿密な計画をたてているつもり)見切り発射をして、壁に激突して玉砕、自己評価を下げていく、というパターンが多いように思います。
明らかに本人のキャパを超えているのに、本人は気付かないし、助言されても、イヤ、自分できる!と思ってしまうのですね。

我ながら痛々しいです…

実際に自分のプラン通りに物事が進む事も、少なからずあります。
また別の機会に書きますが、過集中と呼ばれる、過剰に集中した状態によって起こる成功例で、この状態からの成功は快感と呼べる感覚があります。
刺激的です。好ましい刺激になるのですね。
だから、またあんな風にばりばり頑張ってきっちり成果を挙げたいと思ってしまいます。

過集中は、寝食を忘れてその事に没頭してしまう状態です。
ADHDの当事者は集中困難を抱えていますが、一度集中のスイッチが入ると生命維持に必要な活動さえ忘れて、没頭します。

過集中に頼って仕事をしていると、自らを壊す危険性があります。

どうすればキャパオーバーを防げるでしょう。
私は、書き出すとわかりやすかったです。
例えば、システム手帳の右側のフリースペースに、その週にやらなくてはならない事、やってしまいたい事を書き出します。
やってしまいたい事まで書き出すのがポイントです。
そして、スケジュールの方に振り分けます。
この日はこれがあるから、この日にこれを入れて、と組み込んでいくと、明らかに時間が足りない事がわかります。
余った項目は月のやらなくてはならない事スペースか、翌週のスペースへ持ち越します。
やりたい事が降ってわいた時も、とりあえず書き込みます。そして、今取りかかれる事か、他の事に影響しないか、脳内会議を開きます。
脳内会議の結果、承認されたものだけが取りかかっていい事、にしています。

これをやりだしてから、見通しが立つ様になり、キラキラした自分が脳内から居なくなりました。
日常生活の全てを書き出すことによって可視化し、優先順位をつけるのですね。
一つ一つの項目を細かく分けてスモールステップにすると、さらに見通しが立ちやすくなるかも知れません。

長期目標でも同じです。脳内プランで妄想を肥大させるのではなく、書き出してみます。
実際に資料を見ながら検討する際に、実現可能な長期目標なのか、判断しやすくなります。
相談もしやすくなりますね。
妄想して勇み足になる事を防げます。

私はこれが好き、これを頑張りたい、と地に脚が着いた状態で思えたら。
次は集中コントロールです。
過集中を上手く使いましょう。
タイマーやリマインダーを使って、音がなったら絶対止める、時間を決める、等という自分との約束事を作ります。
好きな事をする前に、やらなくてはならない事を必ずする、というのもいいですね。
それらの約束事は、必ず書き出して下さい。
いつも目につく所に置いておくと効果があるかと思います。
そして、自分との約束は必ず守る事。自分を壊さないために大事な事ですね。

勉強等の嫌な事も、過集中で乗り切ってきました。
これは適度に休憩を入れて、過集中で燃え尽きない様にする事がポイントです。
集中を妨げる余計な刺激を避けて、本人が好む良い刺激を与えて飽きさせずに集中を持続させる事ができれば。
良い結果と心地良い達成感を味わう事が出来て、本人の自己肯定感にも繋がると思います。

ADHDの当時者の中には、イメージする力が豊かでアイディアに溢れる力を持っている方も多いかと思います。
それは、上手く活かせば自身にとっても社会にとっても、力となり得る能力です。
玉砕を繰り返して自己評価を下げる前に、自身をコントロールしてキャパオーバーを防ぎ、価値ある達成感を味わって、更に豊かなイメージの世界を育ててられれば良いのではないかと思います。

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