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もう見えている数ヶ月後の未来。

これはもう書いた話だっけ。iPad Pro の最新版を買った。

きっかけはなんと、緊急事態宣言下での在宅勤務だった。新型コロナウイルスの感染拡大防止にともなって出された緊急事態宣言。われらが株式会社バトンズも当然、出社を原則禁止とし、在宅勤務にシフトした(ぼくはクルマ通勤に切り替え、わりと会社にきていたのだけど)。そんな折、在宅勤務中の田中さんから「明日、会社に伺ってもよろしいでしょうか?」と連絡が入った。担当する本のゲラ(校正刷り)が PDF で上がってきたのだが、朱入れをするためにその PDF をプリントアウトしたい。会社のプリンタを使いたい。そんな、「ハンコを捺すために出社しなきゃ」的な本末転倒感のただよう申し出だった。

これはいかん。社長であるぼくは思った。

聞けば昨今の編集者・ライターさんの多くは、PDF に直接朱入れをしているらしいではないか。iPad とナントカペンシルを使って、すらすら画面上で朱入れしているそうではないか。ライターズカンパニーを標榜するわれらがバトンズも、そっちにシフトせねばならんのではないか。

あわててぼくのぶんと田中さんのぶんの iPad Pro、およびペンシルを購入した。もちろんゲラの確認用に購入したのだからして、サイズはいちばんおおきな 12.9 インチである。

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みんな絵を描いたり、取材中のメモをこれでとったり、Netflix 的な動画配信サービスを視聴したり、zoom をこれでやったり、いろいろするらしいのだが、どうにもゲラの確認以外の用途が浮かばない。

そして早くこれでゲラを確認したいのだけれども、そのためには原稿を書き上げなければならず、しかも書き上げたあとには地獄の推敲作業が待ちかまえているわけで、いったいあと何か月くらい経てばおれは iPad Pro を使えるのだろう、と途方に暮れている。

しかもけっきょく「こんなもんでゲラの確認ができるか!」と投げ出しそうな数ヶ月後の自分が、ありありと目に浮かぶ。


まあ、今後の出張・旅行には、なるべくこれを持っていくことにしよう。



【御礼】

きのう『嫌われる勇気』に重版がかかりました。56刷目で、累計228万部に到達したとのことです。全世界では合計500万部を突破しており、まことにありがたいことだと関係各位に感謝しております。あとはやっぱり、あきらめずにこの企画を通し、これを書ききった30代の自分にも。