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バトンズの学校、開校のお知らせ。

ようやく、発表できるときがきました。

ここに至るまでの思いを正確に記そうとすると、どうしても話が長くなってしまいます。短く語りたいけど、しょうがありません。ことの発端はいまから3年前。三日続けてぼくは、こんな note を書いていました(ひとつずつ読んでいただくのもたいへんでしょうから、要約を添えておきます)。


【2018年4月18日】

【要約】
今後コンテンツは「プロダクト」と「サービス」に分かれていく。ゲームにたとえるなら、通常のパッケージソフトと、スマートデバイス用アプリが、それに該当する。ぼくがつくっているような本(書籍)は前者に、サブスク型コンテンツ(有料メルマガや有料note)は後者に該当するだろう。サブスク的な、スマホアプリ的なコンテンツは、一見すると「短い」「早い」「軽い」などの要素で成り立っているように見える。しかし、そこは本質ではない。サブスクの本質は、そこで「持続的なサービスが提供されていること」である。その持続的・永続的なサービスを提供する準備や覚悟もないままサブスクリプション型コンテンツに参入することは、少なくともぼくにはできない。

……と、ここではそんな話をしていました。


【2018年4月19日】

【要約】
なぜこんな話をしているのか。そもそもの問題意識として、ぼくには「本をつくるだけでいいのか?」との思いがある。本はつくる。すげえ本を、これからもつくってみせる。しかしそれ以外にも、なにか残すべきものがあるのではないか。コンテンツをつくるだけではなく、「それをつくる人」を育てていくことが、自分のこれからの仕事ではないのか。ある時期から、そんなふうに考えるようになった。そこでバトンズという会社を設立し、若い人たちを迎え入れ、次代のライター育成に取り組もうとした。そこに一定の手応えはある。いい環境が整いつつあると、自分でも思う。けれど、どうにもじれったい。社員というかたちをとらず、もっと多くの人たちに機会と学びを提供できないか。自分なりの「学校」をつくることはできないか。しかも、本気の学校を。

……と、話が発展していきます。


【2018年4月20日】

【要約】
ライターの養成・育成を謳うスクールは、すでにいくつもある。ぼく自身、これまでいくつものスクールに呼ばれ、講義らしきものを受け持ってきた。しかし、これらのスクールがほんとうの価値を提供できているとは、正直思えない。「豪華講師陣」を揃え、それぞれに好きなことを語らせるばかりのスクールは、場の編集がほとんど成されておらず、人脈と思い出づくりの場になってしまっている。従来型のスクールには、なにが足りないのか。

——教科書だ。

プロダクトとしての教科書がないから、どのスクールもカリキュラムもぐちゃぐちゃになり、学びの内容もあいまいになってしまうのだ。よし、学校をつくる前に、まずは本気で教科書をつくろう。コンセプトは「もしもぼくがライターの学校をつくるとしたら、こんな教科書がほしい」。心底そう思える教科書を、つくりきってやろう。学校のことを考えるのは、そのあとだ。


……そんな決心のもと、ぼくは「教科書」づくりに突入しました。

当時のnoteを読み返すと、「編集者を入れずにつくる」だの、「2019年の年明けには刊行する」だの、いまになれば笑っちゃうような戯言も口にしています。もちろんそんなわけにいくはずもなく、長い長い道のりを経た3年後の今年、ようやくぼくなりの「教科書」を世に出すことができました。



できあがった本には、自信があります。この本を真剣に読み、ここに書かれたことを自分のあたまで考え、それぞれ実践に移してくれれば、それだけで書くもの(コンテンツ)の姿が変わるはずだと確信しています。よくもこんな本が書けたなと自分で思いますし、もう二度とこんな本は書けないだろうとも、思っています。帯にある「この一冊だけでいい」のことばには、ぼくもまったく同感です。

しかし、この教科書には続きがあります。

学校という場で、とりわけ「ぼく=バトンズ」の学校という場で使われることを念頭に、書かれたはずの本なのですから。



2021年7月、株式会社バトンズは batons writing college を開校します。

次代を担うライターのための学校です。『取材・執筆・推敲』という本のなかでやり残したこと、本というパッケージではどうしても提供できなかったこと、すなわち「実践と、そこへのフィードバック」を中核に据えた学校です。

元来ぼくは、もしも自分が学校をやるのなら、ぜったいに「片手間」にしてはいけないと考えてきました。サイドビジネス的な発想なんて、もってのほか。誰よりも本気で、誰よりもたくさんの時間と労力を費やし、それこそ本一冊をつくるくらいの真剣さで臨んでこそ、受講生の方々も本気で向き合ってくれるのだし、得るものも生まれる。そこまでやらなきゃ自分が学校をつくる意味なんてない、と考えてきました。

詳細はサイトをご覧いただければと思いますが、この学校でぼくは受講生の一人ひとりと正面から向き合い、質・量ともに「これでもか!」というくらいのフィードバックを返していきます。原稿に対する添削(朱入れ)と総評はもちろんのこと、それぞれがおこなったインタビューの音源もすべてぼくが聴き、文字起こしも読んで、「取材そのもの」へのフィードバックも返していきます。7月からの来年1月までの半年あまり、ぼくはこの学校だけに集中するつもりです。費やす時間や労力から考えて、2期目のことを考える余裕はありません。やるとしても、おそらく数年後のことでしょう。

最後に、『取材・執筆・推敲』と batons writing college の関係を端的にあらわすことばを紹介しておきます。


「知ることは実践のはじまりであり、実践は知ることの完成である」

——王陽明(1472-1529)


定員は30人。求める人材は5年後、10年後のトップライター。

ぼくらの本気を受け止めてくださるみなさまからのご応募、こころよりお持ちしています。

(明日からしばらく、この学校について書いていきます)