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ぼくらの朝のルーティーン。

朝、目を覚ます。

トイレに行く。パジャマ代わりのスウェットを脱いで、ジーンズなどに履き替える。リビングに入る。目を覚ました犬が、ぼんやりこちらを見ている。犬小屋の扉を開け、おはようと挨拶する。水を飲んだり、トイレに向かったり、気分によっては身体を擦りつけてきたり、犬がする。カーテンを開け、外の光を採り入れる。ベランダ側のサッシを開け、空気を入れ換える。天気がよければ犬は、よろよろとベランダに向かう。陽の当たる場所を探して、ぺったり身を横たえる。トイレシートを交換し、手を洗い、コップに汲んだ水を飲む。ソファに座ると犬はときどき、隣にやってきて身体をくっつけてくる。膝の上にあごを乗せ、一緒にぼうっと目が覚めるのを待つ。

朝のこの時間、犬とぼんやり過ごす10分ほどの時間が、たまらなく好きだ。

彼は、ぼくが朝ごはんの準備をはじめるまで隣でぼうっとしている。おそらく1時間でも2時間でも、ぼうっとしている。彼をほんとうの意味で起こすのは、ごはんだけだ。

朝ごはんをつくるためキッチンに向かうと、機敏な動きでシュタタタタッと駆け寄り、ぴょんぴょんジャンプする。腰を悪くしそうなので止めさせたいのだけど、なかなか飛ぶことを止めない。仕方なく、ごはんを準備しているあいだは「ハウス!」。おとなしくそこで待機するよう厳しく教えているものの、待ちきれずキッチンに駆け寄り、またジャンプをはじめる。

ドッグフードの入った器を持って歩み寄ると、喜びのあまり彼は、その場でくるくる回転する。そう躾けられたかのように毎回、くるくる回転する。そしてがつがつがつ、ものすごい勢いで食べる。食べ終わると飛び散った欠片や水分を拾うように、自分の手足を舐めはじめる。けっこう何分も、こちらが器を洗い終わったあとも念入りに、べろべろ舐める。だいたいこれくらいの時間帯に一度、おおきなげっぷをする。勢い込んで、空気もたくさん飲み込んでいるのだろう。人間のげっぷを聞くのはあまり好きではないけれど、彼のげっぷを聞くのは大好きだ。

朝ごはんを食べ、「かつどう」のスイッチが入った彼は、そこから気ままに振る舞いはじめる。洗濯機の置いてある脱衣所から靴下を拾ってきたり、なにか落ちていないかと床をくんくんしてまわったり、あるいはソファや自分用のベッドにだらしなく寝そべったり、ベランダに出て行って陽の光を浴びたり、部屋に戻っておおきいほうのトイレをしたり。

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同じような毎日だけど、ほんとはぜんぶちがうよね。