がんばるひとへ
「いやあ……ラクに書けた本なんて、一冊もないですよ」
先日、バトンズのみんなでごはんを食べているとき、大越さんがしみじみと漏らしたことばです。……ほんっと、そうだよなあ! と、これまでの仕事を振り返りつつ、こういう実感を共有できる仲間がそばにいてくれることのありがたさを噛みしめました。
会社組織をつくり、チームを名乗ったところで、やっぱりライターはひとりで完走する以外にない仕事です。目の前にいる仲間たちに対しても、可能なかぎりのサポートはするけれど、最後の最後は「おれもがんばるから、おまえもがんばれ」に行き着いてしまう。「がんばり」を肩代わりすることは、できません。
ただ、なんていえばいいのかな。
そこでの「がんばり」が、どれくらい大変な「がんばり」なのか身を持って知ってるひとからの「がんばれ」。これって、ことばの厚みがぜんぜん違う気がするんですよ。他人事ではなく、かといって沿道からの声援でもなく、同じ道路を併走してもらっている感じがつよくあって。
男子校だったこともあって、一度も同窓会なるものに参加したことがなく、「おれとお前は同期の桜」とか「同郷のよしみで」とか「同じ釜のめし」とか、むかしはまるっきり理解できなかった感覚なんだけど、ひょっとしたらこういう感じなのかなあ。
ともあれ、あんまり好きじゃなかった「がんばれ」ということば。少しずつ好きになってきたところです。
がんばれー、わたし。
がんばれー、あなた。
釜めしが食べたくなってきました。