お知らせに添えて。
時代は変わる。
ボブ・ディランの歌の話ではなく、改元の話でもなく、ほんとうに時代は変わっていく。ぼく自身にコンプレックスがあるからだろう、最近まったく時代は変わっちゃったよなあ、と思うのは「歯」である。テレビやウェブ記事に登場する芸能人、スポーツ選手などを見ていると、みんなほれぼれするくらいに歯ならびがいい。もともとそういう歯ならびの人もいるだろうけど、歯列矯正をした人だって多いと思う。時代は変わったなあ、である。
ぼくは歯ならびがよろしくなく、でっかい八重歯がある。八重歯を受け止める下の歯もならびがぐちゃぐちゃだ。そして八重歯に押しやられるようなかたちになった隣の歯は奥へと引っ込み、写真うつりによっては歯抜けのように見えたりする。
ちいさいころに、歯列矯正ができていれば、と思ったことは何度でもある。おそらくぼくが子どものころ、男子の歯列矯正はまだ一般的ではなかった。そして八重歯は、笑顔映えのする特徴のひとつとして語られることも多かった。石原裕次郎さんなんかは、その典型だ。そういえばうちの両親、裕次郎さんの大ファンだった。せっかくの八重歯を矯正するなんてもったいない、くらいに思っていたのかもしれない。
と、ここまで読んで「じゃあ、いまからでも矯正すればいいじゃん」と思う人は多いだろう。
まったく正論である。40歳になったとき「いまさら歯ならびなんて、なあ」と思ったのをおぼえている。モテたい盛りの10代、20代ならともかく、この歳になって矯正したってなあ、と当時、ぼくは思った。
けれどもそこから何年も過ぎたいま、あいかわらずおじさんなりに歯ならびを気にしている。きっと50歳になっても60歳になっても気にするだろう。
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という、見た目のコンプレックスに関する中年エレジーを書いたのは、今後いろいろと人前に出る機会が入っているからです。
6月23日(日)14:00 三省堂池袋本店 ※受付終了
『ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。』刊行記念
幡野広志×糸井重里×古賀史健トークイベント
会場:西武池袋本店別館8階
池袋コミュニティカレッジ・コミカレホール
7月7日(日)11:00 梅田蔦屋書店
『ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。』刊行記念
幡野広志×古賀史健トークイベント
司会:田中泰延
会場:梅田蔦屋書店4thラウンジ
7月17日(水)19:00 代官山蔦屋書店
『ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。』刊行記念
幡野広志×古賀史健トークイベント
会場:代官山蔦屋書店1号館 2階イベントスペース
いずれもたのしいイベントになればと思います。ぼくの歯ならびなんてどうでもいいのですが、この本だけは、もっともっとたくさんの人たちに知ってもらいたいんですよね。