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カート・ヴォネガット 創作講座

ぼくはフィクションの書き手ではないけれど、彼が挙げた以下の8項目については、本づくりのときにいつも心にとめておくようにしています。


赤の他人に時間を使わせたうえで、
その時間は無駄でなかったと思わせること。


男女いずれの読者も応援できるキャラクターを、
少なくとも一人は登場させること。


たとえ一杯の水でもいいから、
どのキャラクターにもなにかをほしがらせること。


どのセンテンスにもふたつの役目のどちらかをさせること。
--登場人物を説明するか、アクションを前に進めるか。


なるべく結末近くから話を始めること。


サディストになること。
どれほど自作の主人公が善良な好人物であっても、
その身の上に恐ろしい出来事をふりかからせること。
--自分がなにからできているかを読者に悟らせるために。


ただひとりの読者を喜ばせるように書くこと。
つまり、窓を開け放って世界を愛したりすれば、
あなたの物語は肺炎を患ってしまう。


なるべく早く、なるべく多くの情報を読者に与えること。
サスペンスなどくそくらえ。
なにが起きているか、なぜ、どこで起きているかについて、
読者が完全な理解を持つ必要がある。
たとえゴキブリに最後の何ページかをかじられてしまっても、
自分でその物語を締めくくれるように。


『バゴンボの嗅ぎタバコ入れ』より