読後のホイッスル
見出し画像

読後のホイッスル

古賀史健

一冊の本をつくるとき、ぼくがぜったいに抑えなきゃ、と思っているポイントはみっつあります。

ひとつは、情報の希少性。週刊少年ジャンプの名コピー「○○先生の漫画が読めるのはジャンプだけ」ではありませんが、ここでないと読めない、ここでしか手に入らないといえるだけの情報が、しっかり盛り込まれているかどうか。これは企画段階での詰めが、大事になる部分です。

ふたつめが、読みものとしてのおもしろさ。途中で退屈することなく、次のページをめくりたいと思ってもらうことができるか。そして刺激的なスパイスや定番の化学調味料を極力控えながら、最後まで胃もたれすることなく完読してもらえるか。ここはライターとして、最低限クリアしないといけない課題ですね。

そしてみっつめが、読後のホイッスル。「読んだらおしまい」にとどまらない、「読んでからはじまる」なにかが盛り込まれているか。最後のページを読み終え、本を閉じて顔を上げた瞬間、まわりの景色が違って見えるか。これ、いちばんむずかしい課題ではありますが、いちばんたいせつな課題でもあるので、いつも意識しているところです。

情報の希少性、読みものとしてのおもしろさ、読後のホイッスル。

このみっつが揃ったとき、ようやく5年10年と残ってくれるような「いい本」ができあがる。だから講談社さんの「おもしろくて、ためになる」ってコピー、大好きなんですよね。

もちろん、ぼくの note でもこのみっつを兼ね備えた話が書けるといいのですが、なかなかそうもいかないところです。

Thank you!
古賀史健
ライター。バトンズ代表。最新刊『取材・執筆・推敲』。その他著書・共著に『嫌われる勇気』『古賀史健がまとめた糸井重里のこと。』『20歳の自分に受けさせたい文章講義』など。週日更新しています。http://www.batons.jp