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マルチタスクが苦手なワケ。

大型連休が近づいてきている。

カレンダーを眺めながら、今年は思いきって10連休を取っちゃおうかな、なんて先月までは考えていた。それがだんだんと「ま、カレンダーどおりに働こうかな」になり、ついに先ほど「憲法記念日にアレをやって、みどりの日は……」などと算盤をはじいている自分を発見した。なけなしの貯金を切り崩すかのごとく、さほど多くもない祝日を切り崩しているのである。

そんな事態に追いやられた理由は明白で、締切のはっきりした仕事が複数、入っているからだ。そしてまた、複数の仕事を同時進行でこなすことが心底苦手だからだ。

マルチタスクの苦手な人は、一般に「優先順位の付け方が下手」だと言われる。そして古典的な手法として、「緊急度」と「重要度」に応じて優先順位を明確化するマトリクス(いわゆるところのアイゼンハワー・マトリクス)が紹介されたりする。実際ぼくも、20年近く前までは、担当する本のなかでしばしばこのマトリクスを紹介していたものだ。

けれどもぼくがマルチタスクを苦手としているのは、どうやら優先順位云々とは関係なさそうだ。

それよりなにより、ひとつびとつの仕事を片づけるのに必要な時間を正確に見積もることが、苦手なのだ。

たとえばABCと3つの仕事を抱えているとした場合、そして現在Aの仕事に取りかかっているとした場合、ぼくはかなりいい加減に「まあ、Bは半日もあれば終わるだろ」とか「Cだって、せいぜい2日あればじゅうぶんだ」などと見積もり、目の前のAに集中する。Aばかりに時間をかけ、BとCをおろそかにする。しかしながらBやCの仕事をテキトーに片づけることもできないため、結局は休日を潰したり、会社に泊まり込んだり、なんの成長もない働き方を続けてしまっている。もしもBやCに必要な時間を正確に察知することができたなら、もうちょっと上手に時間配分できるのだろう。


そして現在、まさにABCと割り振るべき3つの緊急案件を抱えているのだけれど、Aの原稿にかかりきりになっている自分がいる。ほんとはABCどころかDやEもわりと緊急にあるのだけれど、DとEについては来月になって考えようなんて思っている自分がいる。

大型連休の貯金、ずいぶん切り崩すことになりそうだ。