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がんばって書かない。

『徹子の部屋』が今年、番組開始から45周年を迎えたのだそうだ。

それを報じるニュースのなかに、黒柳さんのこんなコメントがあった。当日のゲストだった関口宏さんに向けて語ったことばだ。

「いちばん感心したというか、ありがたかったのは、このようにゲストの方が、ちゃんとその日に来てくださるという。これがなければ続いていきません。今日もあなた(関口)が来てくださったから、できるわけじゃない? 45年、ゲストが来てくださったことが、続いてこられたことだと思う」

なるほどなあ、と思った。おそらく関口宏さんとしては、45年間も継続するコツや、そこにあった苦労などを聴きたかったのだと思う。けれども黒柳さんとしては「自分はともかくとして、ゲストの方がいなければこの『場』は成立しない。45年間、ちゃんと毎回ゲストの方が来てくださったからこそ、トーク番組としての『場』が成立してきた。途方もない数の、いろんなご職業の、いろんな性格の方々をお招きしてきて、そこに穴が空かなかったのは奇跡的なことだ」との思いが先にくるのだろう。決まったレギュラー陣で番組を回すのではなく、「毎回違うゲストを迎える」という立場にいる黒柳さんだからこそ出てくる、謙遜や上辺ではない本音のことばだ。


そんなギネス記録を持つ番組の話をしたあとに書くと、いかにもちっぽけなネタになってしまうのだけど、ぼくの note も本日の更新で1500回目を迎えるのだそうだ。「そんなに?」と言えなくもないし、「そんだけ?」と思わなくもない数字だ。この先、いつまででも続けられそうな気もするし、いつ辞めてしまってもかまわないような気もしている。

続けてきて、ひとつ思うのは「書くのが好き!」が強すぎる自分だったら、ここまで続けられなかったかもなあ、ということだ。ぼくの場合、本をつくることは間違いなく「好き」なのだけれど、こういう日々の思いを書き連ねていくことについては、「好き」というより「苦じゃない」くらいの温度感が、いちばんふさわしい。

そして、こころから「苦じゃない」と思えるまでには、うーん。5年くらいかかったのかなあ。なんて言うんでしょう、「がんばって書かないことの大切さ」というか、「構えないからこそ書けること」みたいなものが少しずつわかってきたような気がするんですよね。

あとはやっぱり、黒柳さんが「ゲストの方が来てくださったこと」に感謝しているように、「ここを読みに来てくださった方」の存在がいちばんおおきいのだと思います。ひとりの場所に、ひとりで書いていたらなかなか続きませんよね。どうもありがとうございます、ほんとうに。