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わたしの輪郭線、その引き方。

ぼくはスカートを穿いたことがない。

あたりまえじゃないか、と笑われるかもしれないけど、ほんとうにスカートを穿かないことってあたりまえなんだろうか。男だから穿かない? それは理由としてつまんない。そして単純に、かわいいスカートもカッコいいスカートもいっぱいあると思う。きっとぼくは、恥ずかしいからスカートを穿かないのだろうし、あれがメンズファッションの一部として認知されていたなら、一度や二度は穿いているはずだ。たまに想像する。穿くと、どんな感じなんだろう。


ぼくはライダースのジャケットを着たことがない。

あの、ヘルスエンジェルス的な、不良のバイク乗り的な、パンクロック的な、真っ黒のライダースジャケットを買ったことがないし、着たこともない。恥と勘違いにまみれた自分の思春期を思い返すにつけ、一度くらいは通過していてもおかしくないような気もするファッションだけど、けっきょく着ないままにメタボ健診を受ける年齢になってしまった。たぶんこれから先も着ることはないだろうなあ、と想像する。


ぼくは長髪にしたことがない。

何度かチャレンジはした。あこがれもした。けれども伸びる途中で面倒くさくなり、うしろで結べるくらいの長髪にしたことは一度もない。最近ではお風呂上がりのドライヤー時間を短縮するため、もっと短くできないかとばかり考えている。似合うかどうかはともかく、長髪の自分へのあこがれはいまもある。けれどもやっぱり、今後髪を伸ばすことはないだろう。


先ごろ実質的な再結成を果たしたガンズ・アンド・ローゼズのアクセルさんは、その若かりし日にどれもいっぺんにやっちゃってて、すごいなあと思う。


わたしという人間は「やったことのないもの」によって、輪郭線を引けるものなのかもしれない。