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安静にしなさい、の意味。

かつてないほど盛大に、首を寝違えた。

目が覚めたとき、最初は頭痛かと思った。

しかし頭痛にしては痛みが局所的で、外傷的だ。頭の内側からずんずんする頭痛とは、痛みの震源地が異なっている。

そして次には、首に「こぶ」ができたのかと思った。イメージとしてはゴルフボールくらい、もしかするとテニスボールくらいの硬い「こぶ」。それが首の左後ろに貼りついている感じが、物理的な違和感が、たしかにあった。けれど、恐る恐る伸ばしてみた手の先には、なにも触れない。首はつるつるであり、「こぶ」などあるはずもない。

そうしてようやく、これは寝違えじゃないのか、と思うに至った。これまでの人生で何度となく経験したそれとは段違いの痛みだけれど。

まあ、言うても寝違えである。大騒ぎするほどの話じゃない。歯を磨き、着替えを済ませて家を出て、地下鉄に乗り、オフィスに着いたらパソコンに向かう。黙ってただ、原稿を書いていく。

書きながらズキュンと、激痛が走る。首の角度を少しでも間違えると氷点下の電流を伴うような激痛が、首から上半身に走り抜ける。気がついたら朝には(痛みがありながらも)ある程度できていた首の旋回が、まったくできなくなっている。首の筋肉が、硬直しまくっている。

あわてて「首の寝違え」関連で検索すると、「冷やせ」「安静にしろ」とばかり書いてある。これ、安静にするくらいで治っていくものなんだろうか。


……って、ただの病状(?)報告になるのもつまらないので気づいたことを書くと、首というのは胴体と頭をつなぐ橋である。そして、特に二足歩行の人間の場合、重たい頭をやじろべえ的に支える支柱として、首がある。その支柱が痛んでしまえば、立ったり座ったりの直立姿勢で頭を支えるのは困難になり、横になること、すなわちベッドで安静にすることによってのみ、頭は安定する。

いや真面目な話、たったこれだけの文章を書く間にも何度となく首に電流が走ってるんですよ。帰って安静にします。