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わたしのパフォーマンスを劇的に向上させる方法。

最近はメタボというカタカナに取って代わられた感があるけれど、そのむかしはメタボ的なる状態のことを「中年太り」と呼んでいた。

腹筋500回をこなしてもまったく疲れず、水泳大会では水泳部の補欠組以上のタイムを記録していた体育会系男子だった中高時代。ぼくは「中年太り」ということばの意味がわからなかった。あたかも年齢こそが太りのやむなき原因であるかのような物言い、その諦念とも自嘲ともつかないへらへらしくさった態度に、憤りをおぼえていた。

そして毎年メタボ診断の案内が届くような年齢になったいま、静かに頭を垂れる。中年とは、太るのだ。10年前と同じのような生活を送っていたのでは、いわんやそれ以下の活動量しかこなしていなければ、ものの見事に太るのだ。しかも太るだけではなく、疲れやすくもなり、バファリンとエスタロンモカ錠があればいくらでも原稿が書ける、集中力が持続する、というわけにはいかなくなるのだ。つまりは、なにかを変えねばならんのだ。


こんな話をすると、たいていのイケエグ(注・イケてるエグゼクティブ)は、ジムに通って運動をせよと言う。パーソナルトレーナーをつけて身体を鍛えろと言う。あるいは最近だと、マインドフルネス的な、西海岸のヒッピー系エグゼクティブ的な、瞑想トレーニングを推奨する人びとも増えてきた。

おそらくどれも、正しいのだろう。やれば変わるのだろう。やらない言い訳をぐずぐず考え出してる自分が悪いのだろう。

けれどもぼくは、知っているのだ。

もしも今後、自分のパフォーマンスを劇的に向上させる施策があるとしたら、間違いなくあれだと。


すなわち、鼻炎の治療だと。


生まれたときからの鼻炎持ちであるぼくは、これまでの人生で「両方の鼻がきれいに通っている」という状態を、おそらく5分と経験したことがない。つねに左右どちらかの鼻が詰まっているし、体調によっては両の鼻が閉じていることさえある。たとえるならこれは、室外機がこわれかけたエアコンのようなもので、ありったけの酸素を吸引する、という鼻本来の機能を半分も果たしていないことになる。そして酸素が不足していれば疲れやすくもなるだろうし、たぶん眠気も起こりやすくなるだろう。もしもこの鼻が、すーすー通ってくれたなら。ダイソン掃除機ばりの吸引力を発揮し、脳や筋肉に大量の酸素を送り込んでくれたなら。

はい。この下半期、どっかの段階で鼻炎のレーザー治療を敢行したいと思います。残暑の厳しいさなか、ほんとどうでもいい話題ですみません。