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振り返る間もなく明日は2月。

行員矢の如し。

矢のごときスピードで札束を数える銀行員を指したことわざである。ちなみに近年は紙幣を自動で数える機械が導入され、ほとんど死語と化している。なんてつまらない冗談しか浮かばないほどに光陰矢の如し。なんだか1月、あっという間だった。これを12回、いやあと11回くり返せば2023年も終わるのだから、今年もなにがなんだかわからないうちに暮れを迎え、蕎麦をすすったりするのだろう。

そういえば年末年始、蕎麦をつくった。年越しに近所の蕎麦屋で食べたなんでもないかけ蕎麦があまりにおいしく、年が明けてから自分でつくることにしたのだ。

年越し蕎麦にありつくわたし

つくったと言っても蕎麦を打ったわけではなく、スーパーに売ってる冷凍蕎麦を、めんつゆメインでつくった出汁に投じたに過ぎない。けれども海老天を載せたそれはことのほかおいしく、またつくろうと思った。

またつくろうで言えば、雑煮である。毎年雑煮をつくるのはぼくの仕事になっていて、福岡県の筑後地方にルーツを持つぼくは焼きあごにするめを加えた出汁によって、大量の雑煮をつくる。これまた大変においしく(だから毎年ぼくがつくっている)、正月だけでなく普通のときにも雑煮をつくろう、この味を愛そう、と毎年のように心に誓う。

しかしながら結局、正月休みが明けて以降、ぼくは一度も蕎麦をつくらず、雑煮もつくらなかった。そういうものだ。

「そういうものだ」といえばカート・ヴォネガットである。彼の代表作『スローターハウス5』に出てくる名フレーズである。

早川書房さんがヴォネガット生誕100周年を記念して、「そういうものだ」がプリントされたトートバッグを発売した。もちろん日本語で「そういうものだ」と書くのはためらわれたようで、英語の "So It Goes." となっている。もちろん買った。

この英文を「そういうものだ」と訳した伊藤典夫さんはすごいなあ。

というわけで多忙の極みにあるわたしは、このなんら中身らしい中身のない話で、本日の投稿を終える。

So it goes.
——そういうものだ。