見出し画像

半ドンと日曜日。

今年はなるべく、週末に仕事を入れないようにしている。

犬とあそびたい、という下心もあるにはあるのだが、それ以上にぼくはもうずっと週末というものを知らずに生きてきた。週末のことを「誰にもじゃまされず仕事に集中できる2日間」くらいに思って生きてきた。フリーランスで生きているかぎり、人生のある時期にそういう10年や15年があるのはいいと思う。けれどももう、ぼくは20年もそんな生活を続け、今年で45歳だ。自分の生き方・働き方を見なおすためにも、せめて今年は週末を休もう。実際にそう決めきれたのは4月くらいだけど、それでも以来、週末のほとんどを休暇にあてている。やればできるじゃん、と自分にびっくりしている。

これは前にも書いた話だっけ。

かつて土曜日は「半ドン」と呼ばれていた。半ドンの「ドン」とは、丼のことではなく、ドンチャン騒ぎのことでもなく、ドン・コルレオーネのドンでもなく、「ドンタク」のドンである。そしてドンタクとは博多のお祭りでもあるのだけど、もともとはオランダ語の「日曜日」や「休日」を意味することばで、要するに「半休日」のことを半ドンと呼んでいた。

それではなぜ、土曜日は半ドンとなったのか。

きっと安息日に絡んだ、キリスト教まわりの宗教的な由来があるのだろうと思っていたのだが、どうも違う。たしか産業革命以降のイギリスで、深刻なブルーマンデー問題が蔓延したのがきっかけらしい。月曜日から土曜日まで働いた労働者たちは日曜日の夜、へべれけになるまで飲む。べろんべろんになる。結果、月曜日の炭坑や工場はみんながみんな深刻な二日酔いで、ちっとも仕事にならない。なんなら事故の危険性も高く、リスクだらけである。そこで賢い雇い主たちは熟慮の末、「土曜日は半ドン」のルールを設けた。「きみたち、酒を飲むのはいい。おれも酒は好きだ。でも、飲んで潰れるのは土曜日にしなさい。そして日曜日に丸一日をかけて心身を快復させ、月曜からまた元気に働きなさい」というわけだ。

勤勉な労働者でありながらおのれの雇い主でもあるぼくは、このルールに従ってなるべく金曜や土曜にだけ、お酒を飲むようにしている。それがどうしたと言われればそれまでの話なのだけど、でも「土曜日」って制度が企業の論理でつくられて、ここまで浸透したって話、ちょっとおもしろくないですか。二日酔いありきな制度ってことも含めて。

いやね、週末の自分はなにをしたんだっけなあ、と思い返して、土曜の夜に少しお酒を飲んで、日曜はゴロゴロしながら本を読んで、なんでもない週末だったなあ、と気づいたときにこの話を思い出したんでした。日曜って本来そういう日だもんね、と。

あ、きのうはぺだると河川敷に行ったんだ。

風がぴゅーぴゅー吹き抜けて、気持ちよかったなあ。今週も暑くなりそうですが、がんばっていきましょうね。