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困ったひとであり続ける。

あるところに、困っているひとがいる。

そこに、やあやあやあ。恰幅のよいおじさんが現れて、きみが困っているその問題、わしが解決してあげよう、と救いの手を差し伸べる。わーい、恰幅のよいおじさんありがとう、あなたのおかげで万事解決しました。……みたいな話、じつはあんまりない。期待するひとは多いけど、基本ない。

困っているひとがいたとき、その困りを解決してくれるのは、意外と別のなにかに困っているひとだったりする。

たとえばバンドメンバーの募集。ジョン・レノンとポール・マッカートニー。ミック・ジャガーとキース・リチャーズ。彼らはみんな、「きみの困りを解決してあげよう」と手を差し伸べたのではなく、「おれの困りをどうにかしてくれ」と叫んでいたのだ。困ったひと同士がくっついて、互いの穴を埋め合ったのだ。たぶん、恋愛だってそうだよね。

やあやあやあ、とステッキ片手に現れるおじさんじゃなく、いつまでたっても困りを抱えたひとでありたい。そして恥ずかしがることなく、自分の困りを表明していたい。

それがたぶん、ほんとのいい仕事につながるんだろうなあ。