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くるんでごまかすオヤジギャグ。

ズラタン・イブラヒモビッチというサッカー選手がいる。

サッカーファンにとっては語るまでもない超有名選手でありながら、一般的な知名度はそれほど高くない選手といえる。少なくとも、メッシ、イニエスタ、クリスチアーノ・ロナウドほどには知られていないスウェーデン人だ。一般への知名度が低い理由のひとつとして、ワールドカップで目立った活躍をしていないことが挙げられる。

しかしながら、少しでもサッカーが好きだったなら、彼のプレーヤーとしてのすごさと、人間としての尊大さ、傍若無人さはよく知るところだろう。パリ・サンジェルマンを退団する際の「おれはキングとして降り立ち、伝説として去る」の発言も有名だし、ファウルは犯しまくるし、監督やチームメイトとの確執ネタにも事欠かない。なんといっても母国スウェーデンの国語辞典には「ズラタンする(zlatanera)」という動詞が「支配する」という意味で登場するのだそうだ。

そしてサッカー好きであれば、一度はそのばかばかしい誘惑に駆られたことがあるだろう。

すなわち、「つらたん・イブラヒモビッチ」なるオヤジギャグを口走る誘惑である。過重労働に追われ、気力体力が限界に達したおのれを自覚した際、思わず「つらたん」と口に出す。そこですぐさま「……イブラヒモビッチ」と続けることで、なんとかユーモアの衣にくるんでごまかす。そういう経験が、一度ならずあるはずだ。


ぼくはもう、きょうだけで3度ほど「つらたん・イブラヒモビッチ」の技を使った。この note を書き終えたらもう一度つぶやき、ソファに身を投げたいと思う。……徹夜仕事のむずかしい身体になってきた。