わたしもここらで、変わらなきゃ。
調べてみたら、1995年のことだった。
1994年の紅白歌合戦が終了し、民放のどこかにチャンネルを変え、なんだかんだと新年を迎えた一発目のテレビコマーシャル。つまりは1995年の冒頭に当時オリックス・ブルーウェイブに所属していたイチロー選手が、「変わらなきゃ」と宣言した。日産自動車のテレビコマーシャルである。
本格的な経営危機から仏・ルノーの傘下に入り、同社からカルロス・ゴーン氏をCEOに迎え、「リバイバルプラン」という名の大リストラ策、「変わらなきゃ策」に着手したのはそれから4年後、1999年のことだった。
おそらくは1995年の時点でもう、巨大な広告費を投じて「変わらなきゃ」とおのれの尻を叩かないといけないほど、日産自動車は追い込まれていたのだろう。いや、自動車業界の話には暗いのでなんとも言えないのだけれども。
本日、年に数度の恒例行事として、税理士さんとのミーティングがあった。会社と個人、両方の税務を見てくださっている税理士さんだ。
表計算ソフトに示されたざまざまの数字を見て、「やばいなあ」と思う。
売上げがやばいとか経費がやばいとかではない。そこに並んだ数字になんの関心も持てず、「はーっ」とか「へー」とか「ほーぉ」とか、は行の間投詞しか出てこない自分に、やばいなあと思ったのだ。
長すぎたフリーランス生活のせいでぼくは、いまだに売上げまわりの話について、「要するにこれは儲かってるのか、いないのか」くらいの関心しか持てずにいる。事業計画など立てようもないフリーランスだと、それ以上に考えるべきことなんてほとんどなく、あとは「とにかくがんばる」で終わってしまうのだ。
さすがにもう、フリーランス気分ではいけないし、会社としてもうちょっとなにか「会社だからできること」をやっていきたい。
そんなこんなで「変わらなきゃ」。1995年のイチロー選手、そのまぶしい勇姿がふいに浮かんだのだ。「はーっ」とか「へー」とか「ほーぉ」とか言ってる場合じゃねえぞ、と。
それにしても「変わらなきゃ」と宣言した4年後に経営危機がやってくるってのは、なんだか人間組織っぽいリアリティがあるなあ。