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写真が苦手なわたしのお手本。

写真が苦手である。

写真を撮ることについては、もう完全に下手である。知識も技術もセンスも根気も、なにもかもが足りない。ここで「苦手」と書いているのは、写真を撮られることの話だ。被写体になることの話だ。

たまにインタビューを受けたときなど、フォトグラファーさんに「じゃあ、笑顔でお願いします」なんて決めショットを求められることがある。これなどはほとんど拷問に近いリクエストで、笑顔を意識すればするほど表情筋が硬直し、頬のあたりに粘土を貼りつけたような顔になってしまう。

なので集合写真に入るときにも無表情であることを基本とし、ぜんぜんたのしくなさそうな人としてそこにいる。十分にたのしいのだけれども、感情をカメラの前で表すことがひたすら苦手なのだ。

しかしながら犬と暮らすようになって以来、硬直していない笑顔の写真が増えてきた。とくに散歩中の、あるいは旅先の、でっかい公園やドッグランであそびまわっているときの写真は、自分でも見たことのない表情をしていたりする。


もしもスナップ写真の一義的な役割が「記録」だったとした場合、それは状況や場面の記録というよりも、感情の記録であり、つまりは表情の記録なんだよな、と思う。表情を見れば「たのしかったんだなあ」とわかるものね。犬も人も。

その意味でいうと不自然な笑顔を避けるために無表情のまま写真におさまる自分の自意識はどうにかせねばならんのだけども、「じゃあ、笑顔でお願いします」はちっともおもしろい場面じゃないし、まさしく感情が無になってる場面だからなあ。

いずれにせよ、犬くらい豊かに、屈託なく感情表現できるナイスガイになりたいな。