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その名前を選んだ理由。

ワールド・ベースボール・クラシック。略してWBC。

よくわからない名前である。ちなみにサッカーの国際大会、いわゆるワールドカップの正式名称は「FIFAワールドカップ」だ。FIFAとは国際サッカー連盟の略称であり、FIFAワールドカップとは「国際サッカー連盟が主催する、ナショナルチームによる国際選手権」という意味になる。これに類するものとして野球界には「IBAFワールドカップ」なる大会があった。IBAF(国際野球連盟)が主催する世界選手権だ。しかしながらこの大会はオリンピックと同じくアマチュア限定の大会であり、後にプロ解禁もなされたものの、メジャーリーガー及び日本のプロ野球選手の参加が一部にとどまり、いまいち盛り上がりに欠けていた。そこでMLB(メジャーリーグベースボール機構)とMLB選手会が「真の世界一決定戦」として起ち上げた大会が「ワールド・ベースボール・クラシック」、すなわち現在開催中のWBCということになる。

スジ論でいうならIBAFが主催する正真正銘の「ワールドカップ」にするのが正道なのだけど、それだとMLB側の協力が取りつけにくく、いくらプロ解禁を謳ったところでメジャーリーガーが参加しない。そこでMLB主催の大会になったわけだ。

で、このへんの話はウィキペディアなどを見ればいくらでも書いてあるのでいいとして、問題はWBCという略称である。ふつうのスポーツファンであればWBCと聞いたとき、ボクシングの団体を思い出すだろう。ワールド・ボクシング・カウンシル。すなわち世界ボクシング評議会である。ボクシングの世界にはWBA、WBC、IBF、WBOという4大団体があるのだけれど、新興団体の印象が強いIBFやWBOに比べ、WBAとWBCは本格派の雰囲気が漂う。だれもが認める団体であり、王座だ。

だったら野球の国際選手権をはじめるにあたって、わざわざ「クラシック」なんて文言を添えてWBCにする必要はない。たとえばサッカーのワールドカップが一般的に「サッカー・ワールドカップ」と呼ばれているように、野球も「ベースボール・ワールドカップ」にすればいい。そうすればBWCの略称になり、ボクシングとの混同も避けられる。

しかしながら2021年、「バトンズ・ライティング・カレッジ」という学校をつくったぼくは知っている。当初、この学校のことをぼくは「BWC」と呼ぼうと思っていた。ツイッターなどでも「#BWC」のハッシュタグをつけて、いろいろ呼びかけようと思っていた。ところが、英語圏でこのBWCという頭文字は、非常に卑猥な俗語として用いられているらしく、ツイッターでそのハッシュタグを覗くとロクでもない画像ばかりがヒットする。そこで学校の通称を「バトンズの学校」に変更したのだった。

WBCをつくった人も、最初はBWCで考えたのかなあ。それで俗語の存在を知り、あわててBとWを入れ換えたのかなあ。

WBC関連のニュースを目にするたび、いつもそれを思うのだ。